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イティラと勇者

(考えろ、考えろ。ルアンを救い、ラデックスを倒す方法を)

考える間にも俺の身体の傷は増えていく。しかし、ルアンの事を思えばそれぐらい大したことはない。


(完璧な統率、一つの意識……一つの意識?もしかしたら出来るか?)


迷っている暇はない。俺は剣でラデックスの集団を薙ぎ払い

「【封印】」

直ぐにラデックスのルアンに対する意識を封印した。


するとラデックスがルアンから手を離して一斉に攻撃を仕掛けてきたが、もう遅い。


「龍王ノ牙──乱」

一体残らず斬り裂き、消したはずだったが──


「一体だけ隅っこで隠れているのに俺が気づかないと思ったか」

少し離れた岩陰に一つ気配を感じる。俺がそう言うと逃走を図ろうと動き出した。


「逃がすか」

俺は仕方なく剣をまっすぐ投擲してラデックスの身体に突き刺したが、その動きは止まらず空中で消えた。


「逃しちまったか」

ご丁寧に俺の剣は置いていってくれたが、その姿はもうどこにも見えなかった。


「どうして……どうして最後、整合神は私を離したの?」


「ふっ、それは俺の権能のおかげさ」

前髪を掻き上げて端の歯を光らせると


「キモい」


「はい、すみません」

そんなに不快感丸出しにしなくたっていいじゃないか……。


「あなたはそのままの方が格好いいわよ」


「本当か!?」


「ええ」

若干頬を赤く染めて俯いてそう言う彼女はとても可愛らしかった。


「好きだ、ルアン」

─────────────────────────────────────


「勇者、なんて余所余所しいなあ。俺は悲しいぞ」

そうラデックスに話しかけていたのは──


「父さん!?」


「危ないところだったなあ、イティラ」

父さんはいつも通りの笑顔の中に少し真剣さを込めた表情だった。


「なんで父さんが……。戦えないんじゃないの?」


「まあ、その辺は後で。まずはこいつをどうにかしないとな」

ラデックスは怪訝な顔をして父さんのことを見ている。


「百年ぶりだし本気で忘れちまったのか……ってそうか、名前を封印していたんだったな」


ラデックスは目を見開いて、まさか、と言わんばかりの顔をして

「我の権能も反応を見せている……。お前は異色者……」


「やっと思い出したか。そうだ、俺はリオルト・イグナだよ」

リオルト・イグナ──それはついこの前の学校祭で見た劇の主人公と同じで……、あの劇の名前も勇者の誕生。


「神に対してもこの権能が効いてくれていてありがたい限りだ。だったらイティラも隠し通したかったんだが、何故だろうか……」

後頭部を掻いて困ったような顔をした。


「異色者リオルト・イグナ、今度こそは仕留める」

目には闘志を浮かべ、だらりとおろした剣を構え直した


「やれるものならやってみろ」

直後、ラデックスが姿を消すと同時に父さんのいた位置が爆ぜた。


「父さん!?」

僕は父親の安否を心配したが、爆ぜた所の土煙が晴れても父さんの姿を見つけることが出来なかった。


僕は父さんの姿を探すがどこにも見つからない代わりに、あちらこちらから剣戟が響く。

しかし、肉体と魂の結び付きを目だけに意識を寄せるとなにが起こっているのかすぐに分かった。


薙ぎ払いを防いだラデックスは勢いで吹き飛ばされて、父さんはそれを追いかけて追撃を仕掛ける。ラデックスが反撃に転じようとするとそれ以上の速さで斬撃を繰り出す。


父さんは攻める一方で、ラデックスは辛うじて防いではいるが攻撃に転じれていなかった。


父さんは確実にラデックスの傷を増やしていく。


「凄い……」

もし父さんが本当に全世界大戦に終止符を打った勇者なのだとしたら、納得の強さだ。

押して押して押す。傷一つついていない父さんに対して満身創痍のラデックス。


あと一撃で決まる、その時だった。突然父さんの動きが鈍くなった。

その時間にすれば一瞬ともとれる間にラデックスの刺突をもらってしまった。


「ぐふっ……。はあはあ、流石に百年間、碌に剣を振るっていなきゃ体力も落ちるか」

身体に剣を刺されたまま、楽しそうに微笑んでそんなことを言い出した。


「父さん!」


「イティラ、大丈夫だ。あの時代ならこれぐらい軽い傷だ。それよりも手伝ってくれ。俺は体力が足りなくてバテた」

父さんは肩で息をして地面に座り込んでしまった。


「あいつの剣は俺の腹に刺さっている。つまり、あいつは素手だ。俺の体力が回復するまで耐えていてくれ」


「分かった」


僕はラデックスに向かって右正面から接近して

「一の塵──六切り」

最速の剣技を父さんが開いた傷に合わせて斬り込んだ。多少傷は大きくなったが父さんの技ほどの威力がない。ならば僕は──


「一の塵──六切り、十連」

速さで手数を増やすしかない。


父さんのように一度も攻撃をもらわない、というのは不可能である。しかし、父さんから猛攻をくらった上に剣を失ったラデックスはさながらヒレを失った魚、包丁を失った料理人の如く本来の力の半分も出しきれていないように感じた。

しかし、手を緩めるわけにはいかない。僕はひたすらにあらゆる方向から傷をなぞる。


(何故か権能とやらも使ってこない……いける)

僕は六切りから五月雨斬りに繋げて更に攻撃を仕掛けようとすると僕のラデックスが逃げるようにして僕から離れた。ラデックスが行く先は父さんの所。

父さんに接近したラデックスは蹴り飛ばされ、吹き飛ばされてきたが、したり顔だった。


──その手には剣が握られていた。剣がなくなった父さんのお腹から血が溢れ出す。


「立派になったな、イティラ」

僕の頭に手を置いてガシガシと乱雑に撫でてきた。


「うん」


「あいつも手負い、あと少しだ。協力してくれ」

お父さん!

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厨二病が治ったら、可愛くておっぱい大きくて可愛い君に出会えたってマジ?

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