表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/467

誤解と恋バナ

「それらしきのは見当たらなかった」


「そうか」

やつらの集団襲撃がある日を境にぴたりと止んだ。それによって時間に余裕が出来た俺とローランドは元凶を探して各地を駆け巡っていた。

しかし、碌な情報も得ることが出来なかった。


「本当にいるのか?元凶ってのは」


「いるはずだ、あの表情はマジなものだった。絶対にどこかに……」


「そうか。しかし、これだけ探して成果ゼロとは……。いっそのことあの山でも登ってみるか?」

彼が指さす先には雄々しく聳え立つ巨大な山岳。それは天をも突き抜けるという。


「登るにはかなりの時間が必要だ。地上の危険に対して反応出来なくなってしまう」


「なんで二人で登る前提なのか……。そこまで思ってくれるようになって嬉しいなあ」


「お、俺はただ元凶ともなると二人で行った方が良いと考えただけだ!」

全くこいつはいきなり何を言い出すか。


「冗談さ。俺は地上に残る。お前は行ってこい、惚れた女を絶対に守れ」


「ああ。行ってくる」

登山の準備などいらない。この想い一つにあの絶壁を登りきる。

─────────────────────────────────────


「あっ、イティラ……おはよう」


「お、おはよう。父さん」


「きょ、今日もいい朝だなあ」


「そうだね……」

今日は珍しく土砂降りだけど……。家の中まで音が響くぐらい降っているけど。


これが今朝の様子。


「美味しいなあ。イ、イティラ」


「そうだね……」


これが昼食の時。


「お、おやすみ。イティラ」


「うん。おやすみなさい」


「何というか……。気をつけるんだぞ」

それだけ言って急ぎ足でいなくなった父さん。


これが夜の様子。


完全に僕は父さんに気を遣われてしまっている。その居心地の悪さたるや。ロニエのご飯もよく味がしないし、寝ようにも眠りにつくことが出来ない。


「早く、誤解を解かなくちゃ」

と言っても完全に誤解ではないのが厄介なところ。どうすればいいのだろうか……。


「何の誤解ですか」


「うおっ」

考え込んでいたせいで近づかれたのに気が付かなかった。


「驚かしてすみません。で、何の誤解ですか?」

柔らかな笑顔を浮かべて「お父様とぎこちなかったのもそれが原因ですか?」と的確に言い当ててきて怖い。


ロニエには昨夜のことは話していない、というか言えるものか。この先もずっと仲良く、と言った翌日にそんな失望させられてしまうことなんて話せるわけがなかった。


「いいや、な、何もないよ」


ロニエがニヤッとして

「イティラ君が言い淀むなんて珍しいですねえ。やっぱり何か隠していませんか?」


「うぐっ」


「言ってしまった方が楽ですよ。ほら、どうぞ」

発表を求められる形で手を広げて、目を見つめられる。彼女の目からは「言ってください」と精神に直接語りかけてくるようだ。


「えっと、実は……///。ごめん、言えない」


僕はロニエから逃げた。走って走って、とりあえず近場の部屋に入るとそこには生活感のない部屋とともに一人の男性がいた。


「イティラ……。どうした突然」


「あっ、えっと父さん……」


(とりあえず入った部屋が父さんのとは。間が悪すぎる)


「昨日のことなんだけどさ……」

そう僕がいうと父さんがピンと背筋を伸ばした。


「不慮の事故でああなってしまったんだ。僕には経験がないせいで、情動を抑えることが出来なかった」


「そうか……」


(会話が続かない……。本当にやりずらい)


「……」


「あー、えっと。イティラは彼女のことが好きなのか……」

今までのふざけ半分ではない。本気の父としての質問。


「うん。僕は彼女のことが大好きだ。彼女が危険ならばたとえ火の中でも助けに行く」


「そうか……。親子は似るものだな」


「父さんに似る?」


「ああ。今までこんなこと、話したことがなかったが俺は妻。つまりイティラの母親にぞっこんだった」

父さんは照れたように鼻先をかいてそう言った。確かに僕は父さんから母さんの話は聞いたことがなかった。昔は聴くと嫌がったような顔をしたからだ。


「所謂、一目惚れだったんだ。それが会うごとに想いが強くなっていってな」


「そう……だったんだ」


「あの時は本当に楽しかった。だからこそ、彼女がいなくなった時は……」

昔を思い出して悲痛な表情を浮かべる父さん。その顔には後悔や諦め、様々な感情がこもっていた。


「イティラはあの子をその気にさせるなら絶対に離すんじゃないぞ」

その言葉には実感がこもっていて深く胸にささった。


(ロニエを絶対に離さない。言われなくても当然だ。僕は絶対に彼女を離さない)


僕の力強い頷きを見て納得したのか父さんは逆側を向いて退室を促してきた。


「頑張れよ」

戸を閉める直前に隙間から聞こえてきたその言葉を僕は心に留めて、完全に閉めた。


(もっと強くなって、ロニエを絶対に守れる存在になるんだ)

勇者学院にいる以上危険は絶えないのだろう。だったら、その危険によってロニエを奪われないようにする。

そのためにも僕はもっと強くならないといけないイルビィにだって負けっぱなしではいられないんだ。

父さんにもいろいろ過去がある。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

>>>ラブコメもどうですか?<<<
↓下のタイトルを押すと作品ページに飛べます 
厨二病が治ったら、可愛くておっぱい大きくて可愛い君に出会えたってマジ?

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ