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演劇

演劇は只人や狼や虎、兎、蜥蜴などの数多くの獣人、エルフなど種族が住む栄えた都市から始まった。


その都市の外れで一人の子が生まれた。名はリオルト・アグナ


彼は母、父と幸せに暮らしていた。世は生に満ち溢れる平和以外の何ものでもなかった。


──しかし、平和な生活は一瞬にして崩れ去ってしまうのだった。


リオルトの父は知り合いから一つの予言を聞いた。──全世界を巻き込んだ大戦争が始まると。


父はリオルトを育てた。リオルトには武の才能があった。心を痛めながらも限界まで、何があっても絶対に生き残れる力を与えた。


そしてリオルトの特訓が終わって間もなく、予言通り大戦は突然始まった。各種族が神の預言を受けたと各々が覇権を争い始めたのだ。


少年だったリオルトはすっかり青年となった。彼は思っていた、敵味方関係なく全てを救いたい、と。

思っていただけではなく実際に彼は敵の命すらもとらず、ただ無力化を目指した。


しかし、それではダメであった。


無力化したはずの敵は故郷を襲い、母の命を奪った。


リオルトは自分の甘さを恨み、まるで意志がそのまま肉体になったかのような感覚に包まれて感情の行くままに敵地で暴れ回った。今の彼には敵も味方も関係ない。


──殺し、殺し、殺す。屠って、砕いて、斬り倒した。


誰もが屈し、受け入れるしかなかったその凶行を止める者が現れた。


リオルトと同じくらいの歳で、細く高い背。その男は素手で剣を止めていた。


「お前は……」


「俺の名はローランド・ギルマだ。こんな所で暴れ回っている君に頼みがあるんだ。──俺の仲間になってくれ」

青年──ローランドは恥ずかしげもなくそう言い切った。


暴れ回るリオルトに恨み言を言う奴は多くいた。が、こんなことを言ったのはローランドが初めてであった。


「ふざけるな」

しかし、彼の心には響かなかった。受け止められたままの刃に力を込めていく。


「やっぱり聞いてくれないか。じゃあ、力でねじ伏せるしかないなあ」

剣を弾き飛ばしたローランドはその拳を突き出した……。



その戦いはものの数分で決着がついた。


「強すぎだろ……」

ローランドの惨敗であった、リオルトの力は強すぎた。苦悶に満ちた表情をして地に伏せるローランドに対し、余裕の表情で立っているリオルト。


このままであれば他と同じくトドメを刺されるだけ。


しかし、ローランドは他とは違った。圧倒的な強さを誇るリオルトに確かな傷をつけ、ダメージを負わせてみせた、足りない力を意思で補って。


その事実は確実にリオルトの心を動かした。ローランドを見下ろした後、剣を鞘に戻した。


「殺さなくていいのか……」


「お前は特別だ」

そう言って去っていくリオルト。


──この出来事が後の運命を変えた。


明くる日も明くる日もローランドはリオルトを追いかけた。


「特別だといっても、仲間として認めたわけじゃない」


「どうすれば認めてくれるんだ」


「強さだ。敵を薙ぎ倒し、只人たちを救うための強さ」


「全ての生きるものはいいのか」


リオルトはキッとローランドを睨みつけた。

「黙れ、そんな事はもうやめた」


「そうか。俺はいいと思うんだけどなあ」


「良し悪しじゃないんだ。現実的に考えて、全てを拾うことなんて出来ないんだ」

その言葉はどこかリオルト自身に向けて言っているようにも聞こえた。自分のせいで母を失ったことはいつまでもリオルトの心を抉り続ける。


「全てを拾うことか……。まあ、そうだな」


それより、と一言おいて

「どうやったら手っ取り早く強くなれる?」


「意思を肉体に換えるんだ」

暴れ回った時の感覚をリオルトは既に掴んでいた。


「詳しく教えてくれ」


リオルトはローランドに分かっていることの全てを教えた。ローランドは初めこそ要領を得ない様子であったが、地の才能は高くあっという間に習得してみせた。


「これは凄いなあ」

ローランドは力、速さともに上がった拳を素振りするとそう呟いた。呟かざるを得ないほどの成長幅であった。


「俺にだけ教えて良かったのか?」


「お前は特別だと言った。才能や根性があるお前なら出来ると思ったんだ。だからお前だけに教えた」


しかし、リオルトやローランドは気づいていなかった、この稽古を盗み聞きし、盗み見をしている存在に。そのものによって技術は伝えられて大惨事が起こることは今の彼らに知る由もなかった。



リオルトとローランドが出会って半年が経った頃、大戦は更に激化していた。


「リオルト、この大戦が激しくなった理由を調べてきたぞ」

別の大陸で任務に当たっていたはずのローランドが駆けてきた。ずっと走ってきたのだろうその額には大粒の汗をかいている。


「理由はありがたいが、通信魔法で事足りるだろう。任務はどうした」

各本部には通信魔法が設置されているのに、ローランドはいつも使用せず、顔を見せにきた。

実際、リオルトが理由について探って欲しいと頼んだ時は通信魔法だった。


「リオルトの顔を見たいからに決まっているじゃないか」

普段は何ともないのだが、ローランドは偶に子犬のような態度を見せる時がある。その理由は分からないが、同性にこう来られると少し気味の悪いものを感じていた。


「んで、理由は」

ズレた話を戻すが如く切り開くと


「──神だ」


「神?そんなことがあるか。空想上の存在だろう」


「違かったんだ。預言があったという話も本当だった」

大戦初期の飛び交っていた噂だが、誰もが信じていなかった。しかし、本当となると──


「何が目的なんだ」

この世や人など万物を創造してきたものは何を望むのか、全く分からない。絶対にいないと思っていた存在がいただけでも衝撃的だが、そんな者たちが何を望むかなんて想像が出来ない。


「そこまでは……分からなかった。ただ」


「ただ?」


「争いを望んでいるようだった」

その時、エルフの集落の中央が爆ぜた。その直後、甲高い悲鳴が響いた。遠目だがかなりの者が今ので死んだ、転がっているのは死体が殆どだろう。


あの日から自分も多くの者を殺してきたがこうも無惨に命が散る光景は見ていられなかった。

「っく、何が!?」


爆発元の上空から人にようなものがゆっくり降りてきた。その者が手を挙げると一つの巨大な灼熱の刃が上空に発生した。

その炎の刃は轟々と音を立てながら伸びていった。


「真っ二つにする気か。抑えにいくぞローランド」


いつまで経っても返事が返ってこない。


「ローランド?」

振り返ってその姿を見ると、足が震え顔は恐怖に染まっていた。初めて見せた顔だった。


「あんなのに挑む気か。死ぬぞ」

ローランドを包んでいるのは死への恐怖。しかし──


「死ぬかもしれない」

ポツリと一言。


「だが、やはり俺は全ての者を救いたい」

蓋をした心から溢れる気持ち。母を殺したその甘さ。しかし、本当は願って、叶えたくて仕方がない夢。


(誰も死なせない)


炎の大剣が振り降ろされる。


「「「きゃああああああ」」」


ありったけの思いを力に換えるんだ。しかし、まだ足りない。神でも何でもいい、俺に力をくれ。


「龍王ノ牙──断ッッッ」

炎の刃と決意の刃がぶつかり合う。


(力が足りない、押される)


背後には守りたい者たち。押し切られれば彼らは死ぬ。

「っく、ぐぐぐぐぐ。ハアアアアア」


リオルトの剣にヒビが入る。が、炎の刃にもヒビが広がっていく。


「ハアアアアアアアアアアア」

ピキ、ピキという音が辺りに広がり、炎の刃は砕けた。


リオルトは勢いのまま上空にいる男の方に飛躍して──その胴を斬り裂いた。


男は光となって散っていく。


「俺が大戦を終わらせて多くの生命を救う」

鞘に収めたリオルトがそう言い放つと幕が降りた。 

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厨二病が治ったら、可愛くておっぱい大きくて可愛い君に出会えたってマジ?

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