再会とキョウカ
初投稿から三ヶ月が経ちましたねえ。
「どうした!?」
俺は本部に緊急招集をかけられて急いで戻ってくると本部周りの仮拠点が破壊されていた。
「……謀反だ」
「謀反!?まさか」
「ああ、拳闘の連中だ」
拳闘士──その名の通り拳で戦う只人だが、拳に誇りを持つあまり非常に剣を嫌っている。
いつか謀反を起こすのではと言われていたが、まさか有力な剣士が多く出ていたこの最悪なタイミングとは。いや、それが狙われたのか。
更に国の方針に従って拳闘士の数を減らしていなかったことも今回の原因だろう。
「幸いにも指揮長は無事だ。だが、一般剣士に被害が大きい」
「大丈夫か。って、大惨事だな」
どうやら彼も来たようだ。彼も拳闘士であるが、こちら側の只人であるから安全だ。
「拳闘士……」
しかし、一般剣士はそのことを知らない。彼らには拠点を焼いてここを離れた拳闘士がのこのこと戻ってきたようにしか見えない。
更にいつも隣で飯を食べていた仲間がやられた者にとっては拳闘士への憎悪が大きい。
「お前たちのせいでギミルが……」
剣士の一人が彼に掴みかかった。
「謝罪しろよ。おい、謝罪しろよ」
怒りで頭が一杯なようで、自分よりも断然背が高い彼を掴み上げている。
すまないがと言ってその手を払い
「俺はこれを起こした拳闘士から外れている。今の仲間はそのリオルトだけさ」
そう言い切った。
掴み上げた剣士はがっくりと膝を地につけて「お願いだ、謝罪してくれ……」と何度も呟いていた。
「さて、リオルト。これからどうしようか」
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「今日も美味しかったよ、ごちそうさま」
「お粗末様です。ありがとうございます」
僕はロニエが作った極上の朝食を食べ終えた。ロニエの料理はどんなジャンルでも腕を落とすことなく美味しかった。
その後、今日の訓練内容を確認していると突然、脳内にザザッと雑音が響いた。
ロニエの方も同様らしくとても驚いた顔をしている。
「何だったんでしょう今の」
一瞬、雑音が響いただけで今は何もない。
「分からない」
一応のために周囲を警戒していると
『……イティラ、ロニエ』
また脳内に音が響いた。しかし、今回響いたのは聞き覚えのある声であった。
「キョウカだったのか」
設置型遠隔通話魔法を用いてこちらに話しかけてきているのだろう。
「えっと、確かこちらから声を届ける方法は……」
ロニエは彼女の艶のある赤い髪に手を当てると「キョウカちゃん、聞こえる?」と言った。
『……うん』
キョウカの声が返ってきた。
「イティラ君、声が響く箇所に意識を向けて声を出してください」
「キョウカ、聞こえる?」
ロニエに言われた通りにそう言うと
『……聞こえるよ』
と僕の声もしっかり届いたようでキョウカの声が返ってきた。
「どうしたの」
『孤児院……の用事が、済んだ。私も、そっちに行く』
「分かった。いつ頃そっちを出るの?」
『……もう着いた。今、駅』
「もう!?すぐに迎えに行くよ」
『……お願い』
そう言うと音がプツンと消えた。
(キョウカの突発的な行動は困ったものだ)
妹がいたらこんな感じなのかな、と思いに耽けた後、僕は軽く準備をして
「じゃあ、行ってくる」
家を出た。
今朝もまだ早いが農作業をしている人たちは今が昼間であるかのような元気の良さだ。
そんな風景を見ながら走り続けると駅に着いた。
「えっと、キョウカはどこ、っと」
背後から軽く叩かれて振り向くとキョウカがいた。
(全く気付かなかった。前よりも隠密性が上がっているのか)
『魂の転移』の影響なのか分からないけれど背後を取られていたことの驚いた。
「……久しぶり」
「久しぶり。元気だった?」
「……うん」
キョウカの身体は依然細いけれど、少し筋肉がついたように見える。孤児院でも訓練を怠っていなかったようだ。
「荷物は持つから走って家まで行こう。ロニエも待っているし」
「……分かった」
渡された荷物は見かけによらず案外重かった。何が入っているのだろうか。
しかし、これも良い訓練として僕は鈍色の髪を靡かせてかなりの速度で走るキョウカに追いつく。
こうして並走しても分かるが、キョウカの身体能力は間違いなく上昇している。
(これは訓練が楽しみだ)
新たなにキョウカが加わることでどんな訓練が出来るのか、考えるのが止まなかった。
イティラ訓練隊にキョウカが仲間になった。




