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二人と朝

過去多めです。

鬼火はチロチロと九尾狐の身体を漂い、やがて地面におちた。


「さあ、存分に楽しませてくれ」

その言葉と同時に九つの鬼火はそれぞれが一尾の狐となった。


(ちっ、好戦的な性格か。面倒な)

集落を攻撃して逃げたことから戦いは好んでないと思ったが……。


自らが戦いを好まない者は一撃で命を狙って大ぶりな技で来るから対処は楽であるが、好戦的な者は駆け引きをしてくる。

特に今回は妙な技を使ってきている。分身系であるだろうが、警戒はしなければならない。


「行け、九尾」

やつが遠吠えをするようにそう言うと一尾狐 (いちびく)は駆けて此方に寄ってくる。


俺は極限まで引きつけて

「龍王ノ牙──散」

俺を中心として無数の飛ぶ斬撃を放ち、九尾を一網打尽にする。


「ぐうっ」


──が、出来なかった。

斬撃が一尾狐当たる時、それが身体を透けて当たらなかった。


引きつけてしまっていたため、俺は全てを回避することが出来ず腕や横っ腹の肉が噛みちぎられてしまった。


(此方の攻撃は当たらないのに、狐からは当たる。どういうことだ)


「はっはっは、面白い顔をするなあ」

俺は剣を構え直して、再度一尾狐に攻撃を仕掛けようとすると


「無駄だよ。君の攻撃は当たらない。だって今、その九尾はただの火なんだから」


やつはそう言っているが、俺の身体についた傷は間違いなく硬い歯にやられた。


「そう疑うな。今はと言っただろう」


「今は……だと」


「ワタシの権能は【変更】だ。だから、火から実体への変更など容易に出来る」


「流石は────と言ったところか。厄介な」

ということはこの変化 (へんげ)も変更で────に代わって行使しているのだろう。

要は舐められていると言う他ない。


「さあ、道化のように踊れ……、っく」

余裕の表情であったやつの顔が一気に苦悶の表情に染まった。

多分、一尾狐と同様に自分の身体にも火であると状態を変更していた故の余裕であったのだろう。しかし、今やつの身体にはあの時の回復封じの剣が刺さっている。


「何故……」


「種明かしご苦労様。俺もあるんだよ権能。別に──ではないが」


「何故だ。──しか権能は持てないはず、っぐふ」


「そんなもの奪ってしまえばいい。ただ厄介なことにこれは対象の性質を知らないと使えないんだよ」

だから、一芝居打つためにわざわざ噛みつかれたというわけだ。別に予定外であったわけではない……。


「お前の敗因は油断さ。じゃあな。龍王ノ牙──穿」


「ぐはああああああああ」

やつが綺麗に散ると同時に周りの一尾狐も消えていった。

─────────────────────────────────────


「今日はこの辺にしておくか」


「はあ、はあ。ああ」


剣を下げ見下ろす青年と地面にだらりと座る僕。


「今日もありがとう、生存本能」

生存本能は人の形にもなることが出来たらしい。稽古初日から人間化して僕の指導をしてくれている。

その姿は僕よりも大分背が高く、獣の頃の姿は影もなくキリッとした格好良い青年となっている。強いて言うならクリッとした目が面影がある程度。


「宿主は確実に強くなっている。この調子で続ければよい」


うん、と頷くと生存本能は元の獣の姿に戻って


「では、戻れ」


「分かった。行ってくる」

目をぎゅっと瞑り開けると、そこは僕の部屋である。


しかし、いつもと違うことが三つ。


一つ、側頭部が何か柔らかいものを下敷きにしていること。

二つ、穏やかで優しい感じが頭を行ったり来たりしていること。

三つ、僕ではない果物のような甘く優しい匂いがすること。


僕が寝返りを打つと双丘で半分以上隠れているが目を閉じて小さく船を漕いでいるロニエの顔が見える。

今、僕は膝枕をされているらしい。


「何をしているんだか」

ロニエは寝ているはずだけど、撫でる手を止めていない。そもそもどうしてこうなったのか僕には分からない。


「ロニエ、ロニエ起きて」

僕は起き上がって、幸せそうに寝ているロニエの肩を揺らすと


「うん、んん……あれ」

ロニエは辺りを見回して寝起きの纏まらない思考の中、状況を考えている。


「おはよう」


「おはよう……ござい、まふ」

思考も回らないが、舌も回らないようで滑舌もよわよわ


「んー、えっと。あっ!ご飯作らないと」

ロニエの意識が覚醒した。


「ご飯なら父さんが作っていると思うよ」


「あうう。やってしまいました」

四つん這いになって落ち込むロニエ。


「ところで何で僕に膝枕をしていたの」


「今日はいつもより早く起きてしまったんです。だから少しイティラ君で暇つぶしをしようとしていたら……」


「暇つぶしで頭を撫でてたの」


「はい。イティラ君の髪は撫でるのに気持ちが良い髪なんですよ。またいつか撫でようと思っていたので」


「またいつか?前にも撫でられたこと、あったっけ?」


そう言うとロニエの肩がピクンと跳ねて

「い、いや……初めてですよ。そうですよ」

早口でそう捲し立ててきた。


「そう……なんだ。それなら良いけど」


「そうです、良いんです。それよりも私、お父様に謝ってきます」

そう言うとピューっと駆けていくロニエ。


「元気だなあ」

朝からこの調子で、生存本能との稽古の疲れは簡単に吹き飛んでいた。

イティラ、段々とロニエの行動に慣れてきましたよね。

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厨二病が治ったら、可愛くておっぱい大きくて可愛い君に出会えたってマジ?

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