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帰郷

「龍王ノ牙──穿」


「グハッッッッ」


正面の巨漢の身体を俺の刃が抉る。


今や肉塊になったそれは後も残さず消えてゆく。


「やはり消えるか。しかしこれで一体」


残りのヤツらも早く討ち、この大戦を終わらせなくては──。

─────────────────────────────────────


電車に揺られて早数時間、そこは僕の故郷であった。


「戻ってきた」

たった三ヶ月ぶりであるが、帰ってきた地元の空気は懐かしく感じた。


「ここがイティラ君の地元」

僕やロニエの視界には一面緑が広がっていた。畑で作業をしている人たちはせっせと働いている。

ここは近郊農業が盛んで農地が多い。電車でもそうだったがロニエはその光景をキラキラとした目で見ていた。


「さて、ここまできたらもう少し、家まで行こう」


僕らは畦道を抜けて家を目指す。


「あんれ、イティラ君じゃない!」

近所のおばちゃんが手を挙げてこっちこっちと呼んでいる。


「お久しぶりです、おばさん」


「本当に久しぶりだねえ。学院は楽しいかい?」


「はい。とっても」


「それはそれは良かったよ。ところでそちらの嬢ちゃんは?彼女かい」

おばちゃんはとんでもないことを言い出した。突然のことにロニエも目をみひらいている。


「いやいや、違いますよ。友達です」


「初めまして、ロニエ・アストロです」

ロニエは綺麗な所作で挨拶をした。


「あんれまあ、いいお嬢さんじゃないか」

見た目や所作、全部をひっくるめてそう評価しているのだと感じた。


「こんないいお嬢さん、絶対に捕まえないとね、はっはっは」

そんなことを言うなり大きく笑い出した。


「お、おばさん……」

「…………」

ロニエの顔も赤くなってしまった。


「そろそろ行きます」

爆弾を放り込まれないためにおばさんと別れようとした。


「行ってきな、レオンも楽しみにしておった」

とれたてのの野菜を渡されてその場を離れた。


「元気な方でしたね」


「うん。今年で九十歳なんて信じられないよね」

この辺の地域の人は見た目よりも年齢が非常に高い人が多い。何か秘訣でもあるのだろうか。


「九十歳、凄いですね」

都市部にはそんなに歳を重ねた人は少ない。ここはロニエにとって本当に珍しいものが多いのだろう。


そんなことを話しているうちに家に到着した。


都会では殆ど見られない木造の二階建て。うち以外にもここの景観を崩さないための条例でどこも木造だ。

木造といってもここの木は丈夫で並の石造りの家よりも強度がある。


「ただいま」

扉を開けてそう言うとバタバタと音が聞こえて


「待っていたよ、我が愛しの息子よ」

いきなり抱きつかれた。


「お、お父さん!?」


「久しぶりだなあ」

頭をガシガシと撫でられる。


「レオンはイティラの帰りを今か今かと待ち望んでいたから耐えてくれ」

後ろから音もなくお爺ちゃんが現れてそう言った。


「うおおおお、イティラ」

父さんは割かし僕の事が好きなのである。


「痛い、痛い」


「おっと、すまん」

やっと父さんの束縛から解放された。


(巨大な万力に挟まれた気分だった……)

締め付けられた部分をさすっていると


「ふ、ふふ、あははは」

今まで黙っていたロニエが突然笑い出した。


「仲がとってもよろしいのですね」

そう言いながらふふふ、と笑うロニエ。


「初めまして。俺はイティラの父のレオン・トロム、いつも息子が世話になっている」

「グランド・トロムだ」


「ロニエ・アストロです。こちらこそイティラ君にはお世話になっています」


「立ち話もなんだ、中に入れ」


導かれるままに僕らは家に入って腰を落ち着ける。


「こんなものしかないが」

そう言ってお爺ちゃんは粗茶を出した。


「ありがとうございます」


「さて、イティラ。有名になったな」

僕の噂はここまで届いていたらしい。


「魔王撃退か……。あのイティラがなあ」

父さんは僕の落ちこぼれようを知っているから、偉業を成した事に心底驚いていた。


「勇者様にまた近付けたんじゃないか」


「学院長に近付く?」

ロニエが不思議そうに首を傾げていた。


「いや、ロニエ。知らなくて大丈夫」

勇者──学院長に憧れる人は多いけれど、僕もその一人だと知られるのはなんか恥ずかしい。

ロニエに知られないようにワタワタとしていると


「こいつはなあ、昔から勇者様みたいになる、って言って聞かなかったんだ」


「ちょっと父さん!」


僕は恐る恐るロニエを見ると

「へえ、そうなんですか」

物凄いニコニコしていた。


「良いじゃないですか、私も学院長に憧れていましたよ」


「イティラ君は強いんですから」

ロニエがそう言うと


「ほう、強いか」

お爺ちゃんが突然現れて

「ならばこの三ヶ月の成長を篤と見せてもらおう。久しぶりに稽古だ」

お爺ちゃんとの稽古!

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厨二病が治ったら、可愛くておっぱい大きくて可愛い君に出会えたってマジ?

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