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イティラと尊敬

時は戦乱の世。種族同士が自らの領土を得るために鎬を削り合う。


多くの者が殺され、死んだ。


しかし、この大戦は終わらない。


──アイツらのせいだ。


この大戦を終えるために俺はアイツらを──。

─────────────────────────────────────


僕らが乗っていた電車が急停止した。


「何かあったのでしょうか」


「分からないけど、一応行ってみよう」

僕らは荷物を持って先頭車両に向かった。


操縦席から見えるのは数頭の熊であった。


「熊が進路を塞いでいるのか」


熊は今にも周辺の人を襲おうとしている様子。


「助けに行きましょう」

僕らは電車から降りると同時に熊が車掌を引っ掻こうとしていた。


「三の閃──爆雷刃」

ロニエが熊に接近して居合い斬りをするとその衝撃で後ろの熊まで吹き飛んだ。


「大丈夫ですか」


「はい。ありがとう……ございます」

死が目の前に迫っていた恐怖からか車掌はブルブルと震えていた。


「もう大丈夫です。熊はお任せください」

そう言って肩に触れると少し震えが収まった気がする。


僕は剣を構えて熊と対峙する。


熊は仲間がやられた事に気付いたのか興奮し気味にこちらに襲いかかってくる

「二の塵──身躱し連斬」


熊の巨大で鋭敏な爪をギリギリで躱して背後から連斬。

その隙を狙っていて噛みつこうとしてくる別の熊も同様に斬り伏せた。


ロニエの方に視線を向けるとそちらもどうやら終わったらしい。


「大丈夫ですか?怪我があったら言ってください、直します」

僕は周囲の人にそう投げかけると


「かっ……」

一人の少年が立ち上がって


「かっこいい!!!」

とても興奮した様子で手をブンブンと振って全身でそう伝えてくれる。


「はは、ありがとう」


(初めて学院長を見たときの僕みたいだな)

あの時は、人々から慕われて凛とした風格を纏う勇者様が格好良く思ったんだよなあ。


今も学院長は格好良いと思うけれど、関わってきて少し印象が変わった。

ずる賢かったり、悪戯が好きだったり子供みたいな時もあるけどやる時はちゃんとやる凄い人だと尊敬している。


「おにいさん、お名前は?」


「イティラ・トロムです」


「イティラにーちゃん!」

その子供はキャッキャとしている。


「ごめんなさい、うちの子が」

人の間から一人の女性が出てきた。


「いえいえ、こうして素直に褒めてもらえると嬉しいですから」


「アルス、イティラさんは魔剣士学校の先輩なんだよ」


「先輩?にーちゃんはにーちゃんだ」

兄弟がいない僕にはお兄ちゃん、お兄ちゃんと慕われたことがなかったから新鮮で良い。


「ということは、アルス君は魔剣士学校に?」


「はい、二年生です」


「そうなんですか」


「イティラさんはどちらへ行かれるのですか?」


僕は実家へ、と答えるとアルスがくっついてきて

「僕もにーちゃんと行く」

と言い出した。


「ダメです。イティラさんに迷惑でしょう」


「えー、やだやだ付いて行く」

これが本当の駄々をこねるというやつか。学院長にはやってほしくない。


(学院長のこんな姿、想像…………出来るかもしれない)

突然浮かんだ恐ろしい考えを投げ捨てる。


「家はどちらなんですか」


「中央都市、郊外にあります」


「そうなんですか。僕も郊外で」


「そうなんですか!?」


「はい、もしよろしければこの子の相手をしましょうか」


「では、日を改めてお願いします」


「そういえば今日は学校はお休みなんですか?」

今日は平日だけれどこの親子はここにいる。


「はい、学校祭の準備期間でお休みなんですよ」


「ああ、なるほど」

魔剣士学校の学校祭は生徒が作るけれど、三年生までは作成に参加しない。

その間は休みであった、と思い出した。


「電車の出発を行います、ご利用の方はお早めにご乗車ください」


「イティラ君、行きますよ」

ロニエが寄ってきてそう言った。

僕が話している間、熊の片付けを手伝ってくれていたらしい。


「うん。僕の家は──」

家の場所を伝えて別れを告げると


「またね、にーちゃん」

アルスは飛び跳ねながら両手を手を大きく振ってくれた。

また会えると分かって今日はダメなことを納得してくれたらしい。


僕は手を振りかえして電車に乗り込み外を見るとアルスがまだ手を振ってくれていた。


しばらくして僕らが乗る電車は進み始めたが、未だにアルスは手を振ってくれている。

僕は段々と小さくなって行くその姿を眺めていた。


「イティラ君は小さい子、好きなんですか?」

不意にロニエが聞いてきた。


「自分よりも小さい子とあまり関わったことがないから分からないけど、嫌いではないかな」


「そうですよね」


「???」

何故、肯定されたのか分からない。


「イティラ君、物凄くニコニコしていましたし」


「そうだった?」


「はい」

そう言うロニエも何故かニコニコしていた。

イティラは教えるのと子供が好き…………将来は先生!?

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厨二病が治ったら、可愛くておっぱい大きくて可愛い君に出会えたってマジ?

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