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絶体絶滅

ごめんなさい、遅れてしまいました。

「はああああ」

「…………」


「しつこい。『操氷』」


私とキョウカちゃんはもう両手で数えられないほどの回数をヘイルに斬りかかった。

しかし、ヘイルの『操氷』によって私たちは十分に踏み込めていなかった。


「あなた達はどうしてそんなにしつこいのかしらね。癪に触るわ」

上からの態度は変わらないが明らかに最初よりも私たちを殺そうと躍起になっている。そのせいで『操氷』が大雑把になっている気がする。


──勝機はそこだ。


「キョウカちゃん、お願い」

私が頼むと周辺の邪魔な氷山を壊していった。


私はその隙にヘイルに迫り

「二の閃──鏡雷斬」

連斬を繰り出すと氷山を出してくる。


(どうすれば良い……どうすれば)

状況を理解して策を考えていると


「ファントム、こっちを手伝ってちょうだい」

痺れを切らしたのか、同級生にぶつける魔物を大量に生み出していたファントムにそう言った。


「了解した」


「これでもぶつけておけば良いでしょう。『操氷』」

また氷山か、と思ったらそうではなかった。ヘイルが創ったのは氷の巨人兵であった。


「『憑依』」

ファントムが近くにいた魔物を斬り、そう言うと巨人兵は動き出した。


それは皆んなの方に向かっていって

「何だこいつ、硬え」

「っく、強い」

その巨体から巨大で強大な拳を振り回してみんなを薙ぎ倒していく。


「余所見をするなんて随分余裕がおありなんですね」

視点を元に戻すと目の前には扇子を振り上げているヘイルがいた。


剣で防ぐことは叶わない、回避も間に合わない。

(っっっまずい、やられる)

顔を逸らして目を瞑ると身体に衝撃が走った。


「……大丈夫?」

案外小さい痛みに驚き目を開くとキョウカちゃんに抱えられていた。


いまいち状況を掴めず呆けていると

「平気……?」

キョウカちゃんが首を傾げていた。


「……キョウカちゃん、助けてくれたの?」

彼女はコクリと頷いた。


「そっか、ありがとう」

気を取り直してヘイルの方を向くと腹立たしげにこちらを見ている。


「ファントムは私が相手をする。だからキョウカちゃんはヘイルをお願い」

さっき教えてもらったが、キョウカちゃんは魔力の流れが何となく掴めるらしい。

氷山の発現もいち早く気付く彼女に任せるのが適している、と思った。


(ヘイルをキョウカちゃんに任せるのはいい。けど、ファントムが未知数過ぎる……)

今のところ魔物と氷の巨人兵を動かしたところしか見ていない。その背に背負った大剣を使うのだろうけど……。


「考えても仕方がない。一の閃──雷轟、二の閃──鏡雷斬」

接近して連斬を繰り出すとすんなりとその胴体に当たったが硬く、刃が通らなかった。


(鍛えられすぎでしょ……。筋肉が鋼鉄のように硬い)

次の攻撃をしようとするとファントムが視界から消えた。


背後か、とも思ったがそうではなかった。

警戒しつつ辺りを確認していると右の脇腹から全身に激しい衝撃が走った。


「きゃっ、ぐうううう」

あまりの痛みに膝を折って苦しんでいると今度は左の肩から衝撃が走った。


「うっ、痛っっっ」


相変わらずファントムは目に見えない、しかし攻撃されている。

つまり──

「透明化……」


「正解だ」

そう言うとファントムは目の前に現れた。


「それより、お前たち魔王様の配下にならないか。お前たちは十分強い、魔王様の役にも立つだろう」

まだ、俺たちしかいないからな、と遠くを見て呟いた。


「絶対に嫌です。正義のためにこの学院に入ったのにそんなことするわけないじゃないですか」


「そんなこと、か」

相変わらず虚空を見つめてそう言った。


「何かおかしいですか」


「自分の尺度で物を言うな。魔王様にとっては死んだ魔族のための正義の行いなのだ」


「死んだ魔族……何を言っているんですか」


「まあいい。では、ここで死ね」

ファントムは背中の大剣を抜いて構えた。


防がないと、と思ったけれど、さっきの攻撃で骨が砕けてしまったように痛くて肩が上がらない、キョウカちゃんも遠くでヘイルと戦っている。

今度こそダメだと思った。


ファントムの剣が首の皮に触れて激痛が走る。


「くきゃあああ」

痛い痛い痛い、首が痛い。焼けるような熱が広がる。


「えっ」


首の皮を破って肉を断とうとしたところで剣が止まった。


「ロニエさん、早く離れて。こいつ、力が強すぎて破られる」

助けてくれたのはウィグル君だった。『魔障壁』で守ってくれているようだ。


私はすぐに飛び退いた。

「ありがとう」


背後を見ると丁度氷の巨人兵が倒れるところだった。

「よっしゃあ」

「強かったあ」

「向こうを手伝いに行こう」


皆んなが駆けてくる。

「ロニエさんは少し休んでいて。私たちで時間を作る」


「『火炎大車輪』」

「『氷礫』」

二人が魔法を行使して突っ込むと

ファントムはふん、と言って回し蹴りで吹き飛ばした。


「『電雷砲』」

「『爆烈』」

他の二人も突っ込むが結果は変わらなかった。


「皆んな、やめて」


「そんなわけにはいかないよ。ロニエちゃんとキョウカちゃんは私たちのために一人で戦ってくれていたんだから」

「それよりごめんね。誰も回復魔法とか鎮痛魔法を使えなくて……」


「皆んなのせいじゃないよ、謝らないで」

皆んなは次々に突っ込んでいく。


そして、

「そろそろ、面倒くさいな」

そう言うと剣を抜いて袈裟斬りを放った。


「ぐ、ぐぬ……ぐっ」

袈裟斬りが当たってしまった男子がばたりと倒れた。


「一の閃──雷轟」

私はその男子の元に近づき、抱え上げて離れた。


「くうう」

無理矢理抱え上げたせいで肩の痛みが増してしまった。

男子は傷は深いが幸いにも致命傷にまでは至っていないから地面にゆっくりと寝かせた。


私が皆んなの方を見るとキョウカちゃん以外全滅していた。


「そんな……どうすれば」

膝を折って策を考えても浮かばない。


剣を持てず戦えない私。倒れた同級生たち。ヘイルで手一杯のキョウカちゃん。


「どう考えてももうだめだよ」

私は自分の無力さに泣いた。


もっとイティラ君のように強かったら。

もっとイティラ君のようになれたら。

もっともっとイティラ君のように────。


「イティラ君……」

その声は虚空に散った



──はずだった。


「大丈夫」

振り返るとそこにはいつも頼もしい二人。


「あとは僕たちに任せて」

学院長はどこへ。

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厨二病が治ったら、可愛くておっぱい大きくて可愛い君に出会えたってマジ?

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