アレンとデストロイ
天井と壁が無くなった教室で斬り結ぶ二人。
「本体に強いな、アレン」
デストロイがそう言った。
「そりゃあ、どうも」
「『爆炎』」
何もかもを破壊して燃やし尽くすその魔法が発現すると同時にアレンは
「『操氷』」
自分の周りに氷を張って身を防ぐ。
「一の翼──三段袈裟斬り、三連」
アレンがデストロイの胸を斬り裂こうと連斬を放つと
デストロイは完全にそれらを弾いた。
互いの実力は拮抗していた。
「なあ、アレン。今、本気じゃないだろう」
目を細めて見極めるように聞いてきた。
「そう言うお前もじゃないか」
はっはっは、とデストロイは笑って
「そうだなあ、ここで相談だ。互いに本気でやり合わないか。命を張った真の殺し合い、好きだろう」
その空間は一瞬静かになって
「ああ、違いねえ」
両者、戦闘狂の顔をして微笑んだ。
「俺から行くぜ。『魔力進化』」
「四の翼──武神解放」
デストロイの身体からは燃えるような魔力がアレンからは気が吹き出して元々荒れていた教室が更に状態が酷くなっていく。
それほど両者は凄まじいものであった。
「行くぜ。『爆炎』」
今までの様子見のような火力ではなく本気で命を滅ぼそうとする魔法を前にしてアレンは笑った。
教室中を駆け回り、魔法の合間を縫って仕掛ける。多少掠っても気にせず駆けたが
「熱っつ」
デストロイの剣と魔法の同時攻撃によって左半身をモロに焼かれてしまった。
「やっと当たったか。どうだ俺の魔法は」
「ああ、最高だね」
顔を少し顰めつつも余裕な態度は崩さなかった。
「アレンと戦うのは本当に楽しいよ」
そう言うと
「『蒼炎』」
デストロイを中心に蒼い炎が噴き出した。
アレンは気にせず突っ込もうとするが
「俺の氷が溶け出すってどんだけ熱いんだよ」
アレンの氷の剣から水が垂れ出している。
それは良かった、と言って蒼炎ごと接近して剣を振り抜いてくる。
デストロイの周辺を大きく守るように上がる炎のせいでアレンは深く踏め込めなくなってしまっていた。
(どうしようか)
アレンは今までに類がない強敵を前にして手を考えていると
「『爆炎』」
容赦なく全てを滅ぼす魔法が発現される。
「どうした、さっきまでの勢いがないよ」
アレンは目を見開いて微笑んで
「『操氷』」
いつもの剣を想像する魔法を発現させた。
しかし今回創ったのは自分を模した氷像であった。
「特訓すれば何とかなるもんだな」
アレンは魔法に関する諸々が低く、『操氷』で創れるのも武器のみであった。しかし
強化期間中に猛練習した結果ある程度のものまで創れるようになっていた。
「ほう、それでどうするつもりだ」
デストロイは興味深そうに見て言った。
ふん、とアレンは鼻を鳴らして唱えた。
「『意識分割』」
魔法を行使してから少しすると氷像が動き出した。
「ほお、これは凄いな。ディバイドと似たような感じだ」
アレンと氷像はそれぞれバラバラな動きをしてデストロイに迫った。
氷像が蒼炎の中に入ると
「その氷がいつまで持つかな」
デストロイはそう言った。
「三の翼──暴衝打ち」
アレンは衝撃によって炎を消し飛ばし、氷像の進む道を作り出した。
デストロイは氷像の連斬を弾いて
「『爆炎』」
消し去ろうと魔法を発現させたが
直後、何!?、という声が響いた。
──氷像は壊れていなかった。
デストロイが氷像に気を取られた瞬間、アレンはデストロイの背後に周り
「五の翼──神如翔崩剣」
「油断した。ぐはああああ」
アレンは背中を何度も斬っていく。
「はあっ」
最後の一撃を終えるとデストロイは倒れたかのように見えた。
しかし、
「はあ、はあ」
デストロイは辛うじて耐え抜いた。
「今のを耐えるか……流石は魔族だな」
「アレンこそいい戦法だ」
血を垂らしながら苦しそうに顔を歪めて言った。
「勝負あったみたいだがどうする」
「俺は魔王様に最大の忠誠を誓っている。流石に生きては帰れんよ」
そう言った表情は命を惜しむようにも誇らしそうにも見えた。
「そうか。じゃあ最後だ」
アレンは剣を構えて
「三の翼──真空斬」
アレンの一撃を受けたデストロイの身体は光のようになって消えた。
無欠のアレンは更に完璧になっていく。




