最高の大将
(狙うべきは一番小さな個体)
十人いる中から小さな一人を追い続けること、そう思いながら確認するも
(分からな、素早くてバラバラに動いているから全然分からないんだけど)
「『再生聖歌』」
レミリーがエヴィックに向かって魔法を使おうとすると
「させるかよっ」
横から飛び入ってきたディバイドが飛び蹴りをしてくる。
「はあっ」
俺はレミリーを守るように蹴りを受け止めた
(これは本体だ)
悍ましいまでの怪力で俺を吹き飛ばさんとするディバイドが本体であると直感した。
「五の閃──雷鳴鬼刃兜割」
俺は飛び上がって剣技を仕掛けるとディバイドはサマーソルトを放ってくる。
その蹴りに合わせて剣を手放し、俺の剣は離れたところに飛んでいった。
俺は蹴りを受け止めなかったから勢いが残っていてそのままディバイドに突っ込む。
ディバイドの心臓部に触れながら押し倒して着地をし、瞬時に離れる。
「てめえ、よくもこの俺を踏みつけやがったな」
激昂したディバイドは跳び膝蹴りをして高速で迫ってくる。
「一の閃──雷轟」
イティラ君が使ったように敵から逃げる目的で雷轟を行う。
到着先で剣を拾って、近場にいたディバイドを斬り伏せる。
「死ねえ゛え゛え゛」
(かなり離れたのに瞬きをする間に目と鼻の先に来るとはやはり速いな)
興奮して大振りな蹴りばかりをしてくるから対応は楽であるが、力が強い。
「ぐっ、二の閃──鏡雷斬」
蹴りよりも速く連斬を仕掛けて胴を斬る。
「効かねえなあ」
(やはり本体は硬いか。やはりアレをするしかないか)
「ローズ、ザック、レミリー、こいつを頼んだ」
「分かった」
三人は一斉に本体に向かって駆けてくる。
「ちっ」
ディバイドは退こうとするが
「させねえよ」
退いた先でザックが剣を振り下ろした。
「邪魔だあ」
退いた勢いそのままに回し蹴りを放った。
「うおっと」
「大丈夫、ザック」
ローズによってディバイドの動きが完全に止まった。
「三の閃──爆雷刃、八連」
俺は急いで分身体を斬り伏せていく。
剣技の多段仕様によって身体の疲労感が多大なものとなってしまっても構わない。
三人によって足止めされているディバイドの方へ歩いていく。
「ちっ、邪魔だあ」
物凄い勢いで暴れ出して三人を吹き飛ばした。
「きゃ」
「すまない、セキグ」
「構わない」
剣を鞘に戻してディバイドを見据える。
ディバイドが迫ってくるが、息を整えて集中をし直して構える。
「オワリノ閃──瞬雷百鬼斬」
直後世界から音が消えた。否、俺は音の速さを超えた。
そのまま迫ってくるディバイドに突っ込んでその胴を一閃する。
「効かねえっ、ぐっっっ」
俺によって斬られた部位は百度の裂傷が生じて硬いディバイドの胴を抉っていく。
「ぐはああああああ」
多量の鮮血を撒き散らしながらディバイドが膝をついた。
「くう」
剣技によって疲労感が限界突破してしまった俺は四の型の効果が切れて同じように膝をついた。
「畜生めが、ぶっ殺す」
ディバイドを倒すには百では足りなかったようでギリギリで耐えられてしまった。
俺に向かってゆっくりと歩いてくる。
「ザック、俺の地雷を魔法に変えろ」
「了解した。『音爆破』」
彼がそう唱えるとディバイドの身体は心臓を中心にして四散した。
「おめえらぁ、良くも」
そう言うと彼の身体は光となって霧散した。
「終わったか」
俺は寝転がってそう言うと
「ええ、終わったわね」
ローズがそう返した。
「ううん」
エヴィックが目を覚ましたようだ。
「あれ、ディバイドは」
エヴィックは首を振って辺りを見回して言った。
「勝ったよ」
「そうか、また俺は気絶している間に終わったのか」
そう悔しそうに言った。
「どうする、南へ行くの」
「すまないが俺は動けん、このまま横にしておいてくれ」
オワリの型──どの流派にも存在する最高にして最強の剣技だ。使うと四の型の強化が解けてしまう上に疲労感で動けなくなってしまう諸刃の剣だ。
「そんな弱ったセキグを見るのは久々だなあ」
ザックが近付いてきた。
「けど、仲間を見て敵を見て、的確な判断を下す。やっぱりお前は最高の大将だよ」
「ありがとう」
皆んなは南へ、と言いかけたところで大きく魔力が働いた感覚がした。
「なに、この感じ」
ローズも感じ取ったようだ。
「南の方だな。これは遮断魔法か」
俺たちの中で一番魔法に対する知識があるエヴィックがそう言うからには間違いないのだろう。
「これはまた凄いことが起きそうだな。これは休憩なんかしてないで行かねえとな」
俺は気合いで立ち上がった。
「ちょ、大丈夫なの」
ロースが心配そうな声をして聞いてくる。
「ああ、困っている人がいるかもしれないからな」
「そうだな」
「それじゃあ行くか」
俺たちはほどほどの速度で駆けた。
学院長の方で一体何が。




