襲来
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'僕'は上空から落ちてきた人影を確認すると
「どう……して」
僕の目に映っていたのは
「よお、久しぶりだなぁ落ちこぼれが」
イルビィ・グラムがそこにいた。
彼の見た目は最後に会った時から大きく変わっていた。
整えられて艶だった金髪はくすみ、綺麗な赤色だった目は赤黒くなっていた。
「なんだ?再会が嬉しくて言葉も出ないか」
滑り滑りとしたその言い方が魔剣士学校の時の記憶を思い出させる。
「何のようだ」
「あのイティラが俺にそんな口の利き方。一回勝ったくらいでいい気になるんじゃねえ」
苛立ちが限界に達して彼は剣を抜き、迫ってきた。
僕は何とかそれを受け止めてイルビィを弾き飛ばした。
「へえ、ちょっとは強くなったようだなあ。けどなあ、どれだけ強くなろうと落ちこぼれは落ちこぼれなんだよ。
一の翼──三段袈裟斬り、付与『星如魔弾』」
イルビィは無数の魔力の塊を張り巡らせて剣技を放ってきた。
僕は魔弾によって思うように回避を出来ず、三撃の内、二撃が当たってしまった。
そして──
「はああ」
その掛け声と共に僕の周りの魔弾が僕に向かって飛んでくる。
僕はそれを斬り裂こうとしたが魔力の密度が高すぎて斬れなかった。
全ての魔弾が僕に当たってしまった。
僕は飛び退き体勢を整える。
「『超回復』」
僕の身体中の傷が消える。
「へえ、魔法も習得したんだあ。凄いねえ」
嫌味ったらしくそんな言葉を吐いた。
「けど俺も新しい魔法を習得したのさ」
にやあと笑みを浮かべて
「『爆殺』」
僕は嫌な予感を察知して雷轟で瞬時にその場を離れると
僕の立っていた地面、空間が爆ぜた。
「なんだ、あの強さは……」
僕は気持ちを整えて、魂と肉体の結び付きを極限まで意識する。
「驚きすぎて、言葉も出ないかあ。それは良かった、奴らに扱かれまくったお陰だな」
独り言のように呟いた。
僕から一瞬意識が外れたのを逃さず僕は
「一の閃──雷轟、三の塵──五月雨斬り、三連」
急接近をして四十五の斬撃をイルビィに放つ。
イルビィはものともせずに全てを弾いたが
「一の塵──六切り」
僕は最速の連斬を彼に放った。
「くはは。奴らの厳しさに比べると塵ほどだなあ」
しっかりとその身体に斬り込んだはずなのに彼は表情一つ歪ませず、笑っていた。
「手加減はやめだ、本気を見せてやるよ」
僕を相手にするのが飽きたように急に落ち着き
「四の翼──武神解放」
彼の身体から風のようなもの、気が発せられる。
そして──
「五の翼──神如翔崩剣」
イルビィは無数に高速で縦、横、斜めと斬撃を繰り出してくる。
僕は弾き、去なして反撃を仕掛けようとするも
(速すぎて前に進めない)
イルビィの才能が四の型によって底上げされた剣技は宛ら障壁の如く僕の攻撃を阻んでいる。
更に、去なせなかった斬撃は僕の肩や胴を裂いていく。
「ぐううううう」
僕はイルビィの剣技が終わるまで斬撃をくらいながら、去なしていると
イルビィの口角が上がった。
「『爆殺』」
剣技と魔法の同時行使だった。
僕の中で警報が響いたが遅かった。彼の魔法に直撃してしまった。
「ぐがあああ」
そして、衝撃で壁まで吹っ飛ばされた。
「ぐあふ……」
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'私'の剣技は影の剣を弾き飛ばして影を一閃した。
「汝、試練を突破せし者。祝福と共に『筋力増強』を授ける。よくぞ成し遂げた」
そう言って影は私の中に入り込んだ。
私は目を開けると無機質な空間はなく訓練場が広がっていた。
私はイティラ君を探そうと辺りを見回すと
訓練場の色々な所に窪みがあり、立っている男の人と壁に寄りかかっている男子が見えた。
「……イティラ君!?」
寄りかかっている少年はイティラ君であった。
更に彼は至る所に傷がありから血が流れていた。
私は駆け寄ろうとすると
イティラ君は立ち上がった
──ぐるがああという声と共に。
イティラはどうしてしまったのか。
そしてイルビィはどうやって強くなったのか……。




