ロニエと影
授業をし始めて一週間が経った頃
僕が授業を始めようと教壇に上がろうとすると扉が開き、女性の先生が入ってきた。
「先程、学院長から今日は通常授業を行わないという連絡が入りました」
女性の先生は説明を始めた。
今日の授業はクラスを二つのグループに分けて行うらしい。
一つは僕を付き添いとした訓練場で魔法の取得を目的とするグループだ。
ロニエ達、魔導書で影を倒せずにいる子たちが入る。
もう一方はアレンを中心とした山で猛獣や魔物で魔法を練習するグループだ。
こちらはキョウカ達、魔導書で影を撃破した子たちが入る。
最近、魔王の魔力によって生み出された魔物の確認数が増えているらしい。
その魔物たちの殲滅も目的としている。
「アレングループは私の付き添いの元、山に行きます。準備をしてください」
女性の先生が言った。
「じゃあ、僕たちのグループは訓練場に行こう」
そうして初めての分断授業が始まった。
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「イティラ君、どうすれば影を倒せるかな」
訓練場で茶髪の女子が聞いてくる。
「そうだなぁ──」
授業をしていて知ったが、影は魔導書の階級や魔法の性質によって強さが変わるらしい。
この女子は中級魔導書の攻撃魔法であるからかなり強い影と戦っている。
それを踏まえて助言を行う。
「ありがとう、頑張ってくる」
女子が助言を終えると魔導書を開いた。
僕以外の子は魔導書内で影と戦うため意識があるのは僕一人だけになる。
だから藁束に斬りかかり剣技の連携を練習したり剣を振りながら『超回復』を使用出来るように練習をしていると
背後からんん、という声が聞こえた。
僕は振り返るとロニエが目を覚ましていた。
「駄目でした」
しょんぼりしながら言った。
「そっか、気を取り直して。今日はたくさん時間があるから」
普段は授業をする時間も訓練に充てられているから一日中影に挑める。
「そうですね。どうして勝てないのでしょう。毎日イティラ君やキョウカちゃんと訓練しているのに……」
ロニエは訓練によって腕を上げているが影を倒せていないという事実が彼女気を日に日に落としている。
そのせいで影との戦闘中に実力を出しきれていないのだと僕は思う。
「肩の力を抜いて落ち着いて戦えば大丈夫だと思うけどなあ」
「肩の力を抜いて落ち着いて戦う……。分かりました、やってみます」
そういうとロニエの意識は魔導書に入っていった。
その直後、ドカンという音と共に上空から人が降ってきた。
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'私'は魔導書内に入った。
「汝、新たな力を欲する者。力を欲するならば自らを超えろ」
影はいつもの言葉を言い、剣を構える。
(肩の力を抜いて落ち着いて戦う)
私はイティラ君の言葉を反芻させて気を落ち着ける。
それの終わりを見計らい、影は斬りかかってきた。
私は正面から影の剣を受け止めて
「『放電』」
回避不可能な距離で魔法を放つ。
バックステップによって直撃は避けられてしまったが電流が影を掠った。
そして影が着地する直前に
「一の閃──雷轟、二の閃──鏡雷斬」
イティラ君から教わった剣技の連携を繰り出した。
影はその六連斬を弾き、袈裟斬りをしてきた。
剣技の後隙を狙ったその攻撃は
「対策済みです」
後隙を狙った攻撃はイティラ君の得意技の一つだ。
そして、影の速さはイティラ君ほどでない。
私は身体を逸らして最小限の剣難で済ませて身体を戻す勢いで袈裟斬りを行った。
その斬撃は影に深く入って、影の一部が身体に入り込んだ。
「やった、初めて……」
「ニの閃──鏡雷斬」
そう喜んでいるのも束の間、影が剣技を仕掛けてきた。
「一の閃──雷轟」
イティラ君のような使い方で影の剣技から逃れた。
(危なかったぁ、集中)
影が魔法の源だという言葉を思い出して私は魔法を使うイメージをした。
すると、全身の力が強くなる感覚が少しした。
その状態で
「三の閃──爆雷刃」
離した距離を詰めて影に居合い斬りを行った。
私の斬撃は影の剣を弾き飛ばして──
降ってきたのは何者でしょうか




