称賛と主席合格
「おめでとう、君の勝利だ」
目を覚ましたセキグ先輩がそう言った。
「決闘の取り決め通り、君は僕らに何でも言うことを聞かせられる。
どんな事を僕らにさせたいかい」
「ありがとうございます。
それなんですけど、保留にしておいてもいいですか」
先輩達に何をしてもらおうか全く思いつかなかった。
「ああ、いいだろう」
「あ、すみません一つ聞きたいことがありまして…」
戦いの途中で先輩達は『付与』というのを使用した。それが何か分からず質問すると
「ああ、『付与』は魔法を魔法や剣技と一体化させる技能だ。初年度の半ばくらいに習うだろう」
一体化……如何にも強そうだと考えていると
「それよりもまさか負けるとは思っていなかったなあ……。
けど、この戦力差で負けたんだから納得するしかないな」
セキグ先輩が空を見上げてスッキリした顔で言った。
「ああ、強かった」
「あそこでああやって避けるなんて想像もつかなかったよ」
「私、殆ど何も出来なかった……」
「俺もだ」
セキグ先輩以外の先輩も近づいてきてそう言った。
「ありがとうございます。先輩方も物凄い連携でした」
半年前から練習してた、と言っていたがそれを裏付ける強さだった。
「そう言ってもらえると嬉しいよ。これからも俺らと戦ってほしい」
拳を突き出された。
僕が拳を合わせると他の四人も合わせた。
「これにて本日の決闘を締めます。六人、お疲れ様でした」
「「「「「うおおおおおおお」」」」」
学院長と観客声が響き決闘は終わった。
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翌日、僕が教室に行くと沢山の生徒で溢れていた。
「これどうしたの」
偶々近くにいたアレンに聞くと
「イティラと勝負をしたい人が集まってきたんだよ」
肩をすくめてそう言った。
「あっ、イティラだ」
「イティラ……いやイティラ君、俺と勝負してください」
「いいや俺と」
「私と」
教室中が大騒ぎとなってしまった。
(これは困ったなあ)
そういえば、魔剣士学校でイビィルと決闘した後も教師が僕と勝負したいって騒ぎになったなあ。
騒ぎの中、扉が開いた。
「なんだなんだ、この騒ぎは」
教室に入ってきた学院長に事情を説明すると
「いいじゃないか、全て受けてやれ」
「でも……」
放課後の時間がなくなってしまう。そうなったらロニエとの訓練もしばらく出来なくなってしまう。
「大丈夫だ。イティラには回復魔法があるだろう。
一日、十人相手にしたら、三日で終わる」
「そういう問題ではなくてぇ」
そのまま押しきられて結局全員と勝負することになった。
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「一気に学院の人気者だな」
アレンが揶揄うように言った。
「でも、凄かったですよね決闘の時のイティラさん」
思い返してしみじみと噛み締めるように言った。
「それよりもバトル・ロアイヤルの時よりも強くなっていないか」
「あ〜、『超回復』を習得したからじゃないかな。アレンも影を倒した時力が強くなった感覚がしたでしょ」
上手く濁しておいた。
「そうだが……あそこまで強くなれるか?それか、あの時手を抜いていたんじゃあ」
目を細めて疑う様に聞いてきた。
「それは断じてない、本当に絶対に」
「まあ、そんな事疑っちゃいないけどよ」
ふっと笑って冗談だ、冗談と言ってくる。
「まあ、ロニエに紫電流の一を教えてもらっていたのも大きいよ」
「それは良かったです。これからも特訓に付き合ってくださいね」
「……もちろんさ」
太陽の様な笑顔で一瞬、意識が持ってかれた。
「アレンさんも一緒に特訓しませんか」
「ああ、偶に混ぜてもらおう」
「特訓……私も混ぜて……」
横から突然声が聞こえて横を見るとそこには
透き通るような白い肌に鈍色でボブカットの髪。宝石のように美しい青色の瞳に珍しい尖った耳。幼そうな顔に可愛らしさよりも格好良さを感じさせるすらりとしたスタイルの女の子がいた。
「あっ、キョウカちゃん」
ロニエはふっと気づいて
「こちらキョウカ・シルミィちゃん。一般試験を主席合格した子なの」
紹介すると、キョウカさんはペコリと頭を下げた。
「どうして、ロニエが知っているの」
ロニエはいつも僕らと一緒にいる、他の子と関わりはないはずだけど…。
「バトル・ロアイヤルの時に私と最後まで戦っていて、物凄く強買ったんです」
まるで自分の事のように胸を張って褒めた。
「そんなこと……ない」
頭を振りながら言った。
「どうしてそんな話し方なの」
「小さい時から……あまり喋らなかった」
「そうなんだ。あと、その耳についても聞いていい」
彼女の耳は尖っている。現代、耳が尖っている人はごく少数だ。
今は滅びたというエルフ族の耳は尖っていたらしいが関係あるのだろうか。
「分から……ない」
「そっか。それよりもこれからよろしく」
「……うん」
特訓にキョウカが加わるようになった。
キョウカは今までどんな生活をしていたのか……。




