学院長と教え
「あっ、イティラ君が目を覚ました」
一人のクラスメイトがそう言うと
「イティラは流石の強さだ」
「イティラ君はやっぱり凄い」
「ああ、そうだな」
みんなが僕を褒めてくれた。
「ええっと、何があったの」
僕は意識がはっきりしていなく、状況を理解できていなかった。
「何って、あいつに打ち勝ったんだろ」
「あいつ……ってああ。」
僕は影との戦闘をはっきりと思い出した。
「アレン以外誰も倒せなかったのに、凄いよ」
心の底から称賛してくれているクラスメイトに僕は嬉しくなる。
「ありがとう。ところで学院長、何故知らせてくれなかったのですか」
少し怒りながら言うと
「ああ、面白そうだったから……つい」
申し訳なさそうに言った。
「イティラ、大丈夫だ。先にやられて戻ってきた俺らが学院長を責め立てておいたからさ」
そうクラスメイトの一人が僕の肩に手を置いて言った。
「そうですか。学院長、もうダメですよ」
「はい……」
いつになくしゅんとしていた。
「──さて、イティラも帰ってきたことだし話をしよう」
学院長は切り替えてそう言った。
「魔導書内の自分はどうだった」
「つよかった〜」
「なんなのあの強さ」
「すぐ倒されちゃった」
所々から声が上がる。
「イティラはどうだった」
「そうですね……。とにかく攻撃速度が段違いでした。
けど、剣筋が僕に似ていて参考にもなりました」
「イティラ、いい気付きだ。
あれは自分だ。あれから剣を学び、身につけることで魔法を習得出来るだけでなく、更に剣を上達することが出来る」
真剣な眼差しで教えていく。
「この学院が入学始めに魔導書を渡しているのも、それが理由の一つだ」
卒業ならまだしも入学にこんなに豪華な贈り物をしていた理由が分かってスッキリした。
けど
「学院長は魔法を習得出来なかったから渡しているのではなかったでしょうか」
「ああ、そうだ。倒せはするんだが、何故か習得出来なかったんだ」
肩をすくめて言った。
「そんなことがあったのですか」
「ああ、もしかしたら魔法力が達していないからかもな」
「魔法力と魔力って違うんですか」
「違うさ。それはまた今度授業で取り扱うから待っていてくれ」
「はい」
知らない事を知るのはとても好きであるから、ワクワクする。
「しばらく、訓練の授業では魔法の取得に専念する。習得出来たものはそれを自在に扱える様にする。
後、伝え忘れていたんだがバトル・ロアイヤルの上位三名はオレを含めた教師陣といつでも戦えるから覚えておいてくれ」
「「「「そうなんですか」」」」
「ああ。後もう一つこの学院も他と同じ様に決闘をすることが出来る。
例えば、教師陣と戦いたければイティラやアレン、ロニエに決闘を挑め」
「先生たちと戦いたいけどロニエちゃん達に勝つなんて」
「イティラやアレンに勝つなんて無理だろ」
諦めの声がちらほら。
「こらこら、戦う前から諦めてちゃ剣士失格だぜ。
誰だって努力を積めばいくらでも彼らの様に強くなれる」
「ほんと〜ですか」
クラスの中で最もおっとりした女子がそう聞いた。
「ああ、本当だとも。アレンが毎晩素振りをしている事を知っているか」
「「「「そうなんですか」」」」
「そうだろ、アレン」
「ああ」
アレンは毎晩素振りをしているのは本当だ。僕も偶に混ぜてもらっている。
彼の一撃がとても強いのは単に鍛錬の積み重ねによるものだ。
「強い奴はそれだけ努力もしている。その事は覚えていておいてくれ。
この世に天才なんていないんだ」
しみじみと言った。
「じゃあ、学院長も努力をしてきたんですか」
「ああ、そりゃあもちろん。オレは物心つく前から剣を振ってきたんだから」
自信満々に質問に答えると
「物心つく前から剣を振れていたのは天才だからじゃないんですか」
おっとりした女子が顔を見上げてそう言った。
「え……。」
勇者絶句




