決着
「四の翼──武神解放」
そう言ったアレンから風の様なものが発された。
「アレン、これは何……というか四だって」
風の様なものに身体が流されない様に体勢を固めて聞くと
「そうだよイティラ。これは四の剣技、強化の技だ。
虎翼流の四は力の増強と強靭さを上げる」
四の剣技──習得するには才能と身体の強さ、そして多大な集中力を持った者が何年もかけて習得するものだ。
それを十五歳余りで使える者など聞いたことがなかった。
「そして、俺から出ているのは気だ。集中が限界まで高まると発せられるんだよ。
俺からこれを引き出したのは勇者くらいだ」
「そうなのか」
「ああ。という訳でもう一戦仕切り直しだ」
四の剣技の影響で彼の傷は殆ど治っていた。
「臨むところだ」
学院長を除いて彼は今まで戦った中で一番強いと確信すると何故かワクワクしてきた。
「二の翼──真空斬り」
「ニの塵──身躱し連ざ……ぐっ」
彼の斬撃は速く、そして威力が物凄く増していて、受け流すことが出来なかった。
何とか受け身をとり体勢を立て直して
もう一度魂と肉体の結び付きを意識し直す。
「三の塵──五月雨斬り」
「一の翼──三段袈裟斬り、五連」
十五の斬撃に対して十五の斬撃がぶつかり合う。
僕はアレンの十四の斬撃を弾きつつ、内側に入り込んで斬撃を繰り出すも
「硬い」
しっかりと斬撃が入ったはずなのに小さな傷しか出来なかった。
その衝撃に気を取られてしまった。
彼の残りの一撃が僕に襲いかかってくる。
まずい、そう思った時、頭よりも先に身体が動いた。
その一撃はさっきまでのとは比べ物にならないくらい速く鋭かった。
そして
彼の剣を弾き飛ばし、彼の右腰から左肩まで深く斬撃が入った。
「ぐあっ。いってえ」
顔を顰めてバックステップをしたその瞬間
また僕の身体は意識を超えた。
彼の着地点に入り僕は
「三の塵──五月雨斬り」
高速の十五連斬りが彼を襲う。
十五全ての斬撃が入ってしまった彼はその場で倒れた。
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「はあ、勝ったのか」
彼は全く動かない。彼を場外に運ぼうとすると
「隙ありです」
高速でロニエが突っ込んで来た。
僕の正面に来ると
「二の閃──鏡雷斬」
太刀による六つの斬撃が僕に襲いかかる。
「三の塵──六切り」
六度の斬撃を六連斬りで立ち向かった。
そして
僕は最後の一斬りの勢いを利用して後ろ蹴りを脇腹にした。
「きゃっ」
ロニエはそのまま吹っ飛ばされて場外に出た。
闘技場を見回すと僕以外に場内にいる者はいなかった。
「勝者、イティラ・トロム」
学院長の興奮した声が響いた。
「おおおおおお」
「凄かったなあ」
「勇者とやりあったって本当だったんだ」
いつの間にか場外で気を取り戻した同級生たちが声を上げていた。
「イティラ君も凄いけど、アレン君も凄かったよな」
「ああ、なんだよあの衝撃」
「風に吹かれる枯葉になった気分だった」
「ロニエちゃんも強かったよ」
「殆どの女子を相手に一人で戦っていたのよ
「しかも無傷で」
一時はどうなるかと思ったが、僕たち推薦者化を認めてくれた様だ。
「いっててて」
アレンが目を覚ました。
僕は側に寄り手を差し出す。
彼は僕の手を掴んで立ち上がった。
「本当に楽しかった」
「俺もだ。同い年にやられたのは初めてだ。
というか最後の速さなんだよ」
彼の顔が少年の様に緩んだのは束の間、戦っていた時以上に本気な顔で聞いてきた。
「僕も分からないんだ。
頭で考えるよりも先に動いていたみたいな」
魂と肉体の結び付きと関係している様な気がするけれど詳しくは分からない。
「そうか。次は勝つから覚悟しろよ」
「僕もその分強くなるよ」
僕とアレンは爽やかな笑顔で握手をした。
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「ってちょっと待ってください」
ロニエが意識を取り戻して走ってきた。
「何二人だけでやっているんですか。私も混ぜてくださいよ」
僕とアレンはぽかんとしていた。
「私もそれ、やりたいです」
意味を理解した僕は
「三人で握手は無理だから拳で」
僕が拳を前に突き出すと
二人は自身の拳を合わせた。
「これからも頑張ろう」
「ああ」
「はい」
そう言って僕らの距離がもっと近付いた。
イティラの超強化の要因は一体




