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男運のない私、だと思っていたけど……?!  作者: 山之上 舞花
佐野樹里亜は男運が悪い?
3/49

3 酔っぱらって……の、愚痴

「だ~か~ら~、聞いてますー、主任~!」

「聞いてる、聞いてるから。俺のネクタイを引っ張るのは止めろ」


 あれから、主任の部屋に着いてひとしきり泣いて、泣き止む頃には少しすっきりしていました。


 けど、主任にそう言っても信じてもらえるわけはないよね。結局何があったのか、洗いざらい吐かされました。


 夕飯用に買ったお惣菜をつまみに、買ってきたチューハイを飲みながら。話を聞いた主任は何故かワインを持ってきてくれて、チーズたらをつまみにちびちびと飲んでいる所です。


 あっ、私が買ってきたチューハイを飲み切ったわけではないですよ。買ったものから飲んだのは一缶だけですから。きっと主任は誕生日だというのに振られて可哀そうな私を慰める為に、ワインを出してくれたのでしょう。


 というか、このワイン、美味しすぎます。ドイツのアイスワインというもので、デザートワインだとか。えーと自然に凍ったブドウから作られるとか、何とか……。

 デザートワインというだけあって、甘口で口当たりがいいです。


 美味しいワインに気を良くした私は、先ほどから主任を相手に、今までの彼氏に関する不運を語っている、というわけです。


 ◇


 私、今まで四人の人とつき合いました。


 最初は中学の時、彼からの告白でした。

 小学校も同じだったけど、彼のことはあまり覚えていないです。

 だって、小学校の時に同じクラスになったことはなかったんですよ。

 えーと、尾野君といったかな。

 告白されたのは……中二の時です。

 彼はサッカー部に所属していたけど、部員数が多くて補欠にもなれない状態でした。

 が、その後、成長期のおかげか背も伸びて体格にも恵まれて、三年生が引退した後、部長に任命されていました。

 それから、彼はモテるようになって、中三の夏前に別れることになりました。

 理由ですか。

 腹立たしいけど、他に好きな子が出来たそうです。


 その後は高校が別でしたので、会うことはありませんでしたけどね。

 えっ? 

 尾野君がどうしているかですか?

 友人から聞いた話では、高校ではあまりパッとせず、レギュラーになれないまま終わったと聞いてます。

 大学ですか? 

 さあ? 



 次の彼氏は高校の時です。

 一年から同じクラスで隣の席で……。

 まあ、いわゆるケンカップル的な感じでした。

 でも、高二の秋に……。

 ええ、主任も察したように文化祭で、出会いをしたそうです。

 えーと、彼は……山谷君といいました。

 彼は友人とバンドを組んでいまして……。

 ライブハウスで演奏することもあったそうです。


 私がライブハウスに行ったか、ですか?

 行っていませんよ。

 うちはそういうことには厳しくて。

 母が高校のうちから行くことは許さないと言っていました。

 自分でお金が稼げるようになってから、そういうところに行きなさい! 

 です。


 はい? 

 別れてからですか? 

 別に、なんとも。

 というか、私、気づいたことがあるんですよ。

 山谷君とはお互いに告白してつき合ったわけではなかったんです。

 隣の席で話しやすくて……なし崩し? 

 いや、なんとなく周りに囃し立てられて、それなら的な感じでしたので。

 だから、彼氏にカウントしていいのかどうかとも、思ったりします。


 ん? 

 山谷君のその後ですか? 

 バンド活動を頑張っていたようですけど、やはり狭き門というのか、それとも実力がなかったのか……。

 メジャーなバンドでも名前を聞きませんし。

 あー、彼はベースマンです。

 ……そうですね。

 実名でなければ私には分かりません。

 顔だってビジュアル系にでもなって化粧をしていたら、気づけないですよ。



 三人目は大学の時です。

 これもありがちですが、講義が幾つか被ったのと、バイト先が同じでした。

 川辺君と云って、おとなしい人だったんですけどね。

 彼もバイトの後輩にあっさり取られました。


 はい? 

 先の二人より話が短いですか?

 だって、それほど思い出はないですから。

 う~ん、デートと云っても特に出掛けることはしなかったし、ほぼ毎日会っていましたし。

 いやいや、同棲なんてしてませんから。

 たまたまアパートが道を挟んで隣だっただけですってば。


 えっと、言い方を変えれば、私たちは似た者同士でしたね。

 真面目で面白みがないというか。

 大学生になれば遊べると言われていたけど、やはり家計の足しになるようにバイトでお金を稼ごうと考えてました。

 一人暮らしをしてみて本当によくわかったんですけど、家賃や光熱費などいろいろかかりますよね。

 生活費も切り詰めようにも、切り詰めきれるものではないですし。

 必要最低限の金額が、毎月ウン十万となると、のんきに遊び暮らすなんてできなくて。


 えっ? 

 そんな考え方の彼なら、私を捨てるなんてありえない……ですか?

 まあ、男の人って、頼られると弱いじゃないですか。


 う~ん、卒業後は会うことはないから知らないですよ。

 地元に帰ると言っていたから、帰ったんじゃないですかね。



 で、まあ四人目が先ほど私を振ってくれた伊崎です。

 会社の同期で、一応彼からの告白でつき合いました。

 はい。見る目がなかったですよね。


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