六話「四つの選択と他の選択」
真っ暗で、何も見えない。
息苦しく、たとえるならば、海の中にいる感覚がする。
目をあけると、椅子の上に座っていた。
ほのかに香るハーブティ、クッキーも置いてあった。
「ここは一体?」
地面に引きずりこまれたと思ったら、ここはお茶会か何かなのか?
「コンニチハ、迷イ人。
私ハ、一番デス。
ココハ、貴方ノタメニツクラレタ場所」
ずらりと並ぶ椅子の上に置いてある黒い何かがしゃべりだした。
「ここはどこだ?
はやく、あの人と合流しないといけない、解放しろ!」
「オヤオヤ、今度ノ迷イ人ハズイブント荒々シイデス。
攻撃スル事ハ、アリマセンガ・・・。
デスガ、ソレヲ決メルノハ私達デハアリマセンヨ、貴方自身デスカラ!」
「俺自身?」
こいつらは一体、さらっといて何を言ってんだ?
すると、ほかの黒い何かがしゃべりだす。
「今回、オ前ガ来タノハ訳ガアル。
ココニ、四ツノ選択肢ガアル。
一ツ、コノ森カラ、オ前一人デ出ル事ガ出来ル。
二ツ、コノ森カラ、オ前ノ友人二人デ出ル事ガ出来ル。
三ツ、コノ森カラ、オ前以外ノ二人ガ出ル事ガ出来ル。
四ツ、コノ森カラ、オ前達全員ガ出ラレナイ事ガ出来ル。
コノ中カラ、オ前ハドレヲ選ブ?
ソレトモ、他ノ選択ヲスルカ?」
「三番、オ客様ニハ敬語ヲ使うノデスヨ」
クッキーを並べながら話しているが、俺はわからないばかりだ。
当然二番を選ぶにきまっている。
「これを選んで、なんの意味になるんだ?」
「ボスガ、シリタガルノデス。
コノ森ノ、管理ヲシテイルボスガデス。
二番モ知リタイノデス、オ客様ガ、ドウシテ、ドウナッテ、ドウシヨウトシテ、ドノヨウニシテ、ドウシタラ、ドノジンセイヲ、ドウアユンデ、ドウアヤマチ、ドウアガキ、ドウコロンデ、ドウ破滅スルノカヲ!」
「落チ着イタラドウナノ、二番。
四番、ウルサクテドウニカナリソウナノ、ホラ、オ客様困ルノヨ。
マッタク、ボスノ子ハドウシテ、コンナヤツヒキイテタノカシラ!
オ客様、貴方二トッテソノ選択ハ大キク人生ヲ変エルノデス。
適当二決メテイタラ、今マデノ人達ノ様二ナリマスワ」
真剣な声で黒い何かはしゃべる。
「重要な選択? この選択が大きく変わるって言うのか?」
四番の言うことは、どことなく説得力がある。
適当に決めていたら、身を滅ぼしかねないが・・・。
やっぱり、二番を選んで・・・。
「・・・スグ二決メラレルノ?」
「コラッ、五番!」
「オ客様ハ、コノ数分デ答エガ出セルノ?
ダッタラ、スゴイナー、僕モスグ決メラレタラヨカッタ。
オ客様ト違ッテ僕ハ、スグニ選ベナカッタ。キチントシタ答エ見ツケラレナカッタヨー・・・」
突如として現れた五番といわれている影がそんなことを言い出した。
「急二来タカラ、ビックリシタワ!
今マデ、ドコ行ッテタノカシラ!
コレデヤット、五番目ガ出セルワ。三番!」
「ハイハイ。
五ツ、コノ森カラ、オ前達全員ガ出ル事ガ出来ル、サァ」
『選ブノハ、ドレ?』
「俺は――――」