三話「カケラ」
「あれ?」
目が覚めると、俺の腕には包帯が巻かれていた。
いや、頭にも包帯が巻かれている。
「目が覚めたか」
「ここって・・・」
森のどこか?
「面倒な事になったな」
悩むその手には、オーが持っているはずの紙を持っていた。
「どうして、貴方がそれを持っているんですか?」
「・・・、お前の仲間が自分の紙を破こうとしたから、隙を見て取った。
ついでに、お前も連れて逃げた」
と、簡潔に説明を受ける。
「自分の紙を!?
嘘ですよね? オーはそんなことをするほど馬鹿じゃないですし」
「じゃあ、仲間に怪我を負わせることは?」
腕を引っ張られ、包帯を解かれる。
「これって・・・」
深々とまっすぐな切り傷が現れる。
まさか、腕に怪我をおわせたのって、オー?
「やっぱり、傷の治りが遅い、あいつカケラをもっていやがるな。
・・・これ、貸してやるよ」
投げ渡されたのは、青色の透き通ったカケラだ。
「お前、森の噂知っているか?」
「ああ、迷い込むってやつですよね」
「実は、それともう一つ噂があるんだ。
宝石を集める事で、膨大な魔力を貰えるってな。
それは、ここから出られるくらいの。
だが、宝石なんてものはない。あまりにも膨大すぎて昔のやつらはカケラにしたからな。
しかしそれでも、それでもカケラは魔力をまとっているからな。
多分あいつ、この森に落ちたカケラを持っている」
「それは・・・」
よく考えてみれば、オーとは途中から合流していたから、オーが貰っている可能性も捨てきれない。
オーがカケラを持っていたから、カケラの影響で俺に襲いかかったのか?
「てっ、俺がカケラを持っていてオーみたいになったらどうするんですか!」
そうすると、なにいっているんだ的な顔をされる。
「それは、お前でも扱える」
確かに感じられる魔力は俺でも扱える。
結構小さいし、間違ってなくさないように気をつけないと。
・・・、ここから出られるくらい?
「あの、これ自分で使わなくていいんですか?
集めたら、ここから出られるんでしょ?」
「・・・ここから出るつもりだ。
だが、お前の仲間が持っているんだ。
それを回収する。
お前に渡したやつも、ちゃんと返してもらうからな」
やっぱりそうだ。
この人も外に出たがっている。
だったら、どうして紙を使わないんだ?
俺達の分があったから、多分持っていると思うんだが・・・。
まぁ、とにかく・・・。
「オーを助けに行きましょう!」