地下の魔法陣 【月夜譚No.107】
地下にある魔法陣は、時折誤作動を起こす。
何か物音がするなと下りていってみたら、小さな竜やゴブリン、農民などが異世界から召喚されていたりするのだ。以前は、どこぞの世界を支配せんとする魔王が喚び出されていて、どうしたものかと頭を抱えた。魔法で暴れようとしたので、半強制的にお帰り頂いたが。
この魔法陣は、強大な魔力を持った前図書館長が作ったものだ。様々な世界から書籍を集める為に、使われていたという。
しかし彼が亡くなり、次期図書館長が就任した時にはもう、魔法陣の動作は不具合を起こしていたそうだ。
強力な魔法で作られた魔法陣を新しく描き換えることも、正常に戻すことも、誰にもできなかった。その為、魔法陣はそのまま残され、誤作動で喚び出されたものを元の世界に帰す他には、もう使われなくなってしまった。
図書館の業務をこなしつつ、地下での異変を感じ取って状況収拾に向かう。これが、我々図書館員に課せられた仕事なのである。