大事な地球を守るため
世界中で近年、環境保護が声高に叫ばれている。
日本のプロ野球でも、それに関して、さまざまな取り組みを行っていた。
たとえば、球団が日常的に使っている備品、その素材を、リサイクル可能なものへと、積極的に交換したり。
また、バットに使う木の育成なども含めた、球場周辺の緑地化事業を進めたり。
他にも、球場で使う電力、その一部ををまかなうため、自然由来の発電方法を導入したりなど、数々の取り組みを、各球団が行っていた。
どれもお金がかかるものの、直接の利益は生み出さない。
が、大事な地球を守るためだ。仕方がないと、ほとんどの球団が割り切っていた。
そんな中、ある球団の取り組みが、脚光を浴びることになる。
その球団の本拠地は屋外球場で、外野は天然芝だが、内野には土のグラウンドを採用していた。
その土を使った新商品、「植物の鉢植え」を販売することにしたのである。
「えー、緑を身近に感じていただける、素敵な商品になっております」
球場前の仮設売り場で、にこにこしながら球団職員が説明する。
第一弾は、オリーブの苗木。
第二弾は、デイジーの花だ。
初回売り出し分に限り、どちらの商品も、大サービスの3101円(税込)。
「すなわち、『緑がいっぱい価格』になっております」
そう言いながら、球団職員はほくそ笑んだ。
この球場の土、そのままでは植物の成長に向かないので、「特殊な処理」を施している。
といっても、いつもは球場の黒土に混ぜている浜辺の砂を、まったく混ぜていないだけ。あの砂が、植物の成長には向かないのだ。
おっと、これは重要機密。外部には内緒だ。
特殊な処理をしていて、それなりに手間がかかっているのだと、もっともらしい顔でアピールする。だから、3101円は決して高くなく、むしろお買い得だと、にこやかに語りかけた。
第三弾では、黄色いクロッカスを予定している。さらには、第四弾として、タイガーリリーの花も検討中だ。
なお、これも重要機密だが、いずれの鉢植えも、「利益率的においしい商品」となっている。
植物を販売する上での大変さはあるものの、地球の緑を増やしつつ、球団のお金儲けにもなるのだ。
次々と売れていく鉢植えに、笑いの止まらない球団職員だった。




