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死にたい、と思いながらも心の端の方で考えていた。
実際に命の危機が迫ったら、恥も外聞も無く死にたくないと、足掻く自分がいるんじゃないかって。
そんなことは無かった。
僕の命は、結局、自分の中で、最も低かった。
最底辺だった。
もう、命を捨てる理由が、出来てしまった。
人の為に、命をかける事が出来ると、分かってしまった。
もう一度襲われたら、僕は嬉々として彼女を助けるだろう。
意味の無かった僕の命が、意味を持って消えて逝くのだから。
さぞ気分が良いだろう。
糞野郎だな。
自分の事しか考えてない。
助けた、としても僕の命を、背負わせるのだ。
偶々、今回は二人とも生き残った。
次はそうなるかわからない。
なら、僕は真っ先に自分を棄てる。
嬉々として、棄てる。
廻は大分落ち着いて来ている。
彼女の為にも、僕は彼女から離れなくてはならない。
自分の命の責任くらい、自分で持たないと。
意味の無い物で、彼女に罪悪感を与える事は出来ない。
まだ生きてる人間達のコミュニティを探そう。
僕が生きているんだ。
きっとある。
それが、一番、いい。