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森 賢吾23
頭が回らない。考えが纏まらない。声を発する事も儘ならない。
どうして、そんな事を言う?
何で僕に価値を見出だす?
さっき君も言ってたじゃないか、屑野郎ですね、って。
それでいいんだ、僕はその評価しか必要としていない。
僕は、必要とされたくない。
「――何でっ、何で僕なんだ?もっと好い人はいただろう!こんなひねくれた、おっさん崩れの、人の気持ちも考えない――糞野郎を選ぶ必要なんて、ないだろう!!」
気がつくと怒鳴っていた。こんなに大声を出すのは、何年ぶりだろうか。
子供相手になりふり構わず怒鳴り散らす大人か。彼女の方が余程大人だ。自分はやっぱり歳だけ重ねたガキだ。
「一緒に生きようなんて、一緒死のうなんて……軽々しく言うなよ!!もっと自分を大切にしろよ!!」
どの口が言うのか。自分が出来ない事を他人に強要している。
「何で……僕なんだ、よ……」
――パンッ!
もう自分でも何を言っているのかわからなくなって、最後にはまた同じ言葉を繰り返す僕の両頬を、廻が掴むようにひっぱたいた。
「……っ」
「何で僕なんだって、当たり前じゃないですか!何でわからないのか逆に不思議です」
顔を掴まれたまま、目を真っ直ぐに見つめられる。僕は目を逸らす事も赦されない。




