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おしまいのものがたり  作者: stのおっさん
35/44

廻 空11


「……みつ……け!……はぁっ……はぁっ……」


 車を背にしておじさんが呆然と立っているのが見える。よかった、間に合った。


「何で……ここに……?」


 急いで来たせいで息が整わない。


 私は息も絶え絶えにおじさんに、ちょっと待って、と伝えた。


「ほら……」


 それを見かねてか、おじさんは困った顔で後頭部をぽりぽりとかくと、車からミネラルウォーターのペットボトルを放ってよこした。


「あり……がと……」


 遠慮なくキャップを開けると、むせないようにゆっくりと水を喉に流し込む。乾燥して喉が張りついていた感覚が消えていく。呼吸も整っていく。


「それで、何でここに?」


 私の様子を見て、もう大丈夫だとおもったんだろう。さっきと同じ問いかけをしてくる。


 もう驚いた顔はしていない。というか、あんな驚いた顔は出会ってから初めて見た。何かあったときは、大体驚きじゃなくて困り顔だったような気がする。

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