3/44
3
森 賢吾、29歳、独身、フリーター。
毎月、生活できる金額だけを稼いでは、人を避けるように生きていた、社会に適合出来なかった人間。
それが僕だ。
ざっと思い浮かべただけで、何故今生き残れているのか分からんようなスペックをしているが、更に柄にもなく、人を助けてしまった。
廻 空。
僕についてきて、一緒に食料を探していた彼女だ。
高校2年生、聞いた話だとこの辺では、割りと偏差値の高い高校に通っていたらしい。
彼女の両親は共働きで。
あの日。
奴等が街を襲ったあの日。
両親の休みが合わせて取れて、買い物にご飯と、家族団欒と言うやつなのか。
家を出てしまったらしい。