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森 賢吾1
「おじさん、何か食べ物あった?」
「缶詰めとかカップ麺とか、そんなものかな。 生物は流石にね、もう駄目だ」
彼女の問いに僕はそう返す。
今いるコンビニは無人で、ただ、荒れてはいるけど物が取られた形跡はない。
僕たちはそんなコンビニから勝手に商品を持ち出しているわけだ。
何故か。
襲われたんだ。何かわからない、生き物なのかもわからない化け物に。
なので絶賛サバイバル中、と言うわけだ。
「とりあえず隠れ家まで急ごうか。今のところ、見つかっても直ぐどうこうなるわけじゃ無さそうだけど」
「私、こそこそするの苦手なんですよねぇ」
「それでも死にたくなきゃこそこそしてね」
僕たちは物資を持てるだけ持つと、拠点にしている自宅に戻った。