1話:悲惨な幕開
ガタガタ...ドコンッガタガタ
転生した後俺の意識は白い世界へと
ドコンッガタガタドコンッ!!
「あああああうるせーな!」
旅立ったが余りの騒音に目を覚ました。
「知らない天井....じゃなくて知らんおっさんが目の前にいる」
薄茶色の麻布の服を着た見窄らしい格好に手錠をはめられていた。
「おぉ坊主目が覚めたか。いきなりおっさんとは随分じゃねぇか!こう見えてもまだまだ24だぞ!」
等と軽口を叩いている。
ヒヒーーーンガタガタ
どうやら俺は馬車で運ばれている。少し落ち着いてまだ周りと自分自身の格好を見た。
おっさんと同じ服を着せられ手錠をはめられている。他にも何人か同じように捕まっていた。中には手錠だけでなく足にも口にもはめられて身動き取れなさそうな人もいる。女性もいた。共通点と言えば皆項垂れ、目は死んでいたくらいだ。
「なんで俺捕まってんだ!!!こっち来ていきなり犯罪者かよ......」
「坊主も若いのに大変だな。俺らは帝国軍と反乱軍の戦に巻き込まれたみたいでな。その隣にいるのが首謀者のウルファだ。」
「なるほど訳がわからない」
首謀者という男は口も手も足も頑丈にしばられている。
「俺の名はロシム。故郷に帰ろうと馬かっさらって逃げようとしたんだが途中で捕まっちまった...」
「随分とドジな馬泥棒だな。俺の名は....」
思い出せない。異世界に来たばかりだからまだこっちの器と魂がなじんでないのだろう。
「そんなことより、これからどうなる?」
俺はおっさんに聞いた。
「そんなことって、まぁいい。どうせ処刑されるだろうからな」
処刑される、その言葉が何度も頭の中で反芻する。そしてその言葉を理解するのに小一時間かかった。
「異世界に来ていきなり処刑かよおおおおおおおおおお」
と大声をあげてしまい周りからの目が刺さった。そして御者の方から
「うるさいぞ!黙らんか!!!」
とドスの効いた声が聞こえた。恐らく俺らを捕まえた帝国軍であろう。
「もうすぐ街に着くそれまで大人しくしていろ!!!!」
そしてしばらく経ち街についた。街並みは在り来たりな言葉を使うならヨーロッパの下町のようだ。
石畳に木や土壁でできた建物が立ち並んでいる。
「おいお前あそこの列になれべ!これから名前と色々照合してもらう。」
反乱軍であろう面々から女、子供、老人までがその列に並んでいた。
「反乱軍は誰これ構わず処刑ってか…」とついことばしってしまう。
反乱軍は青を基調とした鉄鎧やローブを着ている。帝国軍は赤を基調に鉄鎧や赤のローブだ。一般市民もいるようだが緊張感に顔を強張らせている。
この町はどちらの軍勢だろうかと思ったが首謀者は捕まりこれから処刑されようとしているのだ、火を見るよりも明らかである。
列の先頭には帝国兵と思われる男とローブを纏ったエルフがいる。名前などを聞いた後何かを踏ませようとしていた。踏むのを拒むと叩き倒されそのまま連行されている。あれは恐らく踏み絵のようなものだろう。巻き込まれた戦は恐らく宗教戦争的な何かだ。
そしてしばらくすると順番が巡って来た。そんな時(((((((ギャオーーン....)))))))とどこか遠くで何かの鳴き声が聞こえた気がしたがそんな鳴き声も
「おい貴様、シンタ・ベルセウスだな?」
とエルフに問いかけられ遮られ、またあの目眩に襲われる。
そう、俺の名は.....
「あぁ、シンタ・ベルセウスだ」
「子供のくせに生意気な口だな。まぁあの憎っくき家系だ仕方ないのだろう。」
と腕を組み、腕を組み...その腕の上には豊満なお乳様が乗っていた。
「あの家系ってなんだ?!そしてエルフのくせに巨乳だと!?トー○キン先生に謝れ!」
「!?おまけにませガキか!し、失礼だぞ貴様!即刻処刑じゃ!!!それにトー○キンなぞ知らぬは!」
と踏み絵もせずに俺は処刑されることになるが、踏み絵をせずとも彼の名、もとい彼の家系は子供だろうが処刑を免れることができない存在であった。
そして大男に連行され処刑場へと連れてかれた。その時彼は「殴られなかった」等と呑気な事をお思っていた。
(((ギャオーーン)))とまた鳴き声が聞こえた。流石にこの時ばかりは周りにいた者も気がついたのかキョロキョロしたり空を見上げている者もいた。
「何か不穏な鳴き声が聞こえたな」
「どうせ気のせいだろ」
「いや、あれはドラゴンの鳴き声だな」
「ドラゴンがこんなとこに来るわけないだろ!はははは」
「おいそれはフラグだろ!本当に来たらどうすんだ!」
と帝国兵は呑気に話していた。すっかり帝国軍側は戦勝モードである。そしてどうやらこの世界にもフラグがあるらしい。もっともこのフラグはしばらくして回収されるなど誰も思いもしなかった。
処刑場は大きな塔の前の広場だ。大きなギロチン台が目に入る。そこには固く拘束された反乱軍首謀者ウルファが添えられていた。
他の反乱軍分子はそのギロチンの前で斬首されるらしい。辺りは鼻を覆いたくなるような血生臭い臭いが漂う。処刑された後の遺体は馬車の荷車に纏めて乗せられている。あまりの悲惨な光景に息を呑んだ。
どうやらウルファはまだ処刑されていないらしい。先に反乱分子を目の前で処刑した後に行われるようだ。
この惨たらしい光景にさすがの彼も心を折られるだけではすまないであろう。彼をしたいその理想果たされず目の前で仲間が死んでいくのだ。そして処刑される間際、彼らは一言言う事を許可され処刑される。
「我が身朽ちるとも我が志は死なず!!!」「若き血が貴様らを殺すだろう!」「お前さえ反乱をおこさなければ!!!」「俺は死んで理想郷へ行けるだけの戦いをしただろうか....」「ローラ...愛している」
そんな彼らの最後を見届けさせられる彼はもう流れる涙も無いくらいに涙を流していた。
そしてもうすこしで己の番となる時、事もあろうか
「俺は故郷に帰る!!!帰るんだあああああ」と叫び逃げ出したとある馬泥棒は周りにいる兵士から逃げられず首と胴体が永遠におさらばした。
ついに自分の番となろうかとした時、(ギャオーーン)とまた鳴き声がした。流石に無視できないくらいの大きな声であったからかこの時になって初めて帝国軍は周囲を警戒しだした。
「おい!ぼさぼさするな!何だか不穏な空気がただよっている」と恐らく大将クラスであろう御仁が声に出した。
「ハッ!では取り急ぎ処刑を続行致します!」と
この後彼らは捕らえた時に真っ先に首謀者であるウルファを処刑しなかった事を後悔する事となり、終わったではず反乱は一時の勢いはなくすも着実に牙を向くようになってしまうのだ。
俺は小さな処刑台に首をかけられる。屈強な大男が斧を構えた。「さらば、我が同胞」と小さな声が聞こえた気がしたがこんな男がそんな事を言うはずもないと俺は耳を疑ったが彼の目からは一筋の光が流れていた。
そして斧を振りかぶろうとした時、大きな揺れが襲って来た。
「おい!何事だ!!」
帝国軍はひどく慌てていた。この隙を逃すまいと反乱軍は多くのものが逃げ出そうとしたが、逃げる事が叶わず帝国兵に切り捨てられ処刑場はみるも無惨に一方的な殺戮の場と化してしまった。
そんな時でも敵大将は冷静だ。周りを見渡しその揺れの正体を探していた。
またさらに揺れがした時その正体が明らかとなった。
「ドドドドドドドラゴンだ?!!!!」
「本当に来ちまったぞ!!!」
「お前がフラグたてるから!!」
「し、知るかよ!死にたくねぇ!!!」
塔の上にドラゴンが現れた。
帝国兵は取り乱したが「静まれぇえええ!!!」と大将の一声に剣を取り、呪文を唱えドラゴンを迎撃し始めたと同時に、1人も逃すものかと反乱軍を血祭りにあげていた。
そして、''アルラシム・ラノーデ''ドラゴンから大きな火の塊が放たれた。その一撃で辺りは火の海、阿鼻叫喚の地獄絵図と変わった。
その頃俺はというと、何故か手錠などを処刑人の大男が外してくれてその場を離れた。
「何故俺を逃した?」
「例え反乱軍だろうと俺たちは同胞だ。俺はこんな下らん戦等真っ平だったんだよ。」
処刑人の口からとは思えぬ言葉に耳を疑ったが彼の流していた涙は本物だったのだろうと今確信した。
「しかし何処に逃げるんだ!」
「このまま真っ直ぐ行けば地下の隠し洞へ行く塔があるはずだ!流石に地下ならばあのドラゴンも追っては来まい」
「地下ならな!噂をすればドラゴンとかありえねぇよ!」
ドラゴンがこちらに向かい火を吹きながら突っ込んできた。後すこしで塔の中へたどり着けんばかりだったが燃え盛る炎の中、俺は意識を手放した。
「おい!おい!起きろ!生きてるか!?」
と、俺は大きく揺さぶられ意識が戻ってきた。
「あ、あぁどうやら俺は生きてるらしい」
処刑人の彼はあの後、炎の勢いで俺たちと一緒に道が吹き飛ばされ地下へと落ちたと語った。ドラゴンは追撃をせず破壊の限りを尽くした。どれだけの民が死にどれだけの反乱軍が逃げ出したか数えたくもないほどに。
「しかしあんなドラゴンがいるなんて聞いた事がねぇよ....。まさか街一つなくなっちまうなんて。他の奴らも運良く生き延びてくれていればいいが...」
残念ながらこの騒ぎの中、反乱軍首謀者ウルファは生き延びてしまう。悪運が強いのかはたまたこれも何かの導きかなのかこの時は誰にも分からない。
「さてこの後はどうする?」
俺は彼に問い出した。こんな状況でも何故か頭が冷静で居られる。正直この街がどこにあるのかすら分からないのだ。シンタの器であろう過去の記憶はまだ名前しか思い出せない。しかし器の名前が纏心汰と同じ名前であったのは何故かそれは神のみぞ知る事である。
「あんな事があったのにやけに冷静だな」
「頭打って寝てたからかな...」
「まぁいい。運良く地下に来れたようだからこれから近くの村まで行く。そうだ自己紹介がまだだったな。俺の名はスティフ。これから行く村は俺の故郷だ」
「なるほど。スティフか。助けてくれてありがとな。俺はシンタ、あいつらはシンタ・ベルセウスと言っていた」
「ベルセウス!?聞かなかった事にしてやるよ。しかしガキのくせにしっかりしてんな」
「いやいやいや俺はこれでも25って...そうかこっちの器はガキなのか」
「訳がわからん事言ってるがこれくらいにしてとりあえず地下から出よう。この先に備蓄庫もあるからそこからいろいろ拝借してとっとと村に行くぞ。いつどこであのドラゴンに出くわすか分からん」
そう言いながら俺たちは備蓄庫へ向かうが至る所で崩落があり地下にたどり着くのに時間がかかってしまった。
備蓄庫についた時、そこには何人かいたが明らかに反乱軍と分かる鉄鎧を着ていた。
「貴様ら!帝国軍だな!殺せ!!!」
「っち運が悪いな。同胞を手にかけたくないがこっちも死にたくないんでね!」
「何が同胞だ!てめぇの格好でそんな事が通じるかよ!」
そう、マスクはしてないが明らかに処刑人と分かる彼の服装では全く説得力がない。残念ながら彼ら反乱軍は処刑人の斧により意識を刈り取られた。
「なんかさお前言ってる事が言ってる事なのにやってる事は全くきれいに正反対だな」
「仕方ないさ。彼らも生きるのに必死でこちらが死に兼んからね。とりあえずそいつらの武器でも使いなよ。見た目にしては筋力ありそうだし使えるんじゃないか?」
「そうする。他に食料と...この本はなんだ?」
「あーそれは魔道書だよ。その年じゃ知らないのも無理ないか?」
「魔法が使えるのか!ひゃっほーーーい!」
「いやいや普通読んだだけじゃ使えねぇよ!」
「そういうもんか。ないよりましだから取っておこう。他には?」
「そこの箱あける鍵があれば防具はあるかな?」
「鍵かー なさそうだぞ?」
「あいつらが持ってたかもしれんな。死体を弄るのは好きじゃないが探すか……」
死体を探したり周りを探したりしたが鍵は見つからない。しかし反乱軍はなぜかピッキングできそうな鉄棒をもっていた。
「これでピッキングして開けられないか?」
「さすがにそんなんで開かないだろうな」
といいつつもスティフはその大きな体に似合わずピッキングを始め、暫く無言のまま10分ほど経って
「よし!開いたぞ!」
「その体格で器用なこって」
そして彼らは防具をとりだし装着しようとしたがシンタは明らかにぶかぶかでスティフに関しては全くサイズが合わず着る事が出来なかった。
「ないよりましだが動き辛いな」
「俺は入らなかったんだからとりあえず着ければいいさ。新しい防具は村に行けばなんとかなるし」
と言いながら彼らは備蓄庫を後にしてさらに奥の地下洞へと向かうのであった。
これからぼちぼち更新していきます。




