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10話:墓所とつるぺたと骸骨と

振り向くとそこには女性がいた。

ゴブリンをはじめ魔物に捕まった女性の末路と言えば、犯され、子供を作らされまくって精神がおかしくなるとかよく聞くが装備を剥され裸ではないのでどうやらそいった類のことはされてなさそうだ。

見た目は金髪に碧眼、透き通るような白い肌、身長は150くらい、かわいい系美人、つるぺた。つるぺた。

大事な(ry




「いやー助かりましたよー!このままここで野垂れ死ぬところでしたー!」



「ゴブリンに捕まったのか?」



「はい・・・私冒険者でもトレジャーハンターとして活動してましてこの墓所を目指したのはいいですが・・・」



彼女はどうやらトレジャーハンターらしい。一口に冒険者と言えどいろいろスタイルがあるようだ。

クエストを受けて報酬をもらって生計を立てるというのが基本だが、魔物狩り専のハンター、遺跡などで宝さがしをするトレジャーハンター等各々スタイルで冒険者として活動しているとのことだ。

そしてどうやら商人からクエストを受けてこの墓所の奥へ行くための鍵をもらい、お宝取って一攫千金ってことで来てみたわいいが、他にも仲間が居て全員冒険者ランクEのほぼ駆け出しで、ホワイトラビットから逃げているうちに墓所へ来てゴブリンと鉢合わせ、挟み撃ちに会いかながら逃げおおせたかも分からないそうだ。

ゴブリンには縄に縛られて放置されただけで何もされていないが、ここのゴブリンはそういう嗜好なのだろうか?彼女をただ愛でていたいというのはわかる。ただそこにいるだけでいい、そんな類の美人だ。

それともあれか、つるぺたのせいで女性と判断されなかったのか・・・・



ぐぅう と腹の鳴る音が聞こえた。


「へへへどうやら安心したらお腹がなっちゃいました」



案外たくましいのかもしれない。快活で明るい感じの子でもあるし。



「そうね、聞きたいことはいろいろあるけど、とりあえずご飯にしましょうか!」


とエルルは張り切ってるが、料理スキルは未知数である。母親に料理を教わったらしいが、それでもあの父親と兄が脳裏をよぎり一抹の不安がよぎる。



雪山を登るのだからとしっかり準備して来て正解だった。

とりあえず俺はこの異臭漂う中食事をとるのが気が引けたので、生活魔法の浄化と消臭をあたり一面に掛けた。生活魔法は便利である。他にも洗浄やら治水やら便利なものがたくさんある。これも全て教会の人に教えてもらった。

トレハンの彼女は、すごいっす!生活魔法でもこれだけの広さを一辺に!と驚いていた。

あまり魔法は乱用しないほうがいいのかな・・・




「そういえば名前を聞いてなかったな」



食事の準備も終わったので、食べながらいろいろ話すことにした。

安心してほしい、

エルルは肉をこがしたり、鍋をぶちまけたりするドジっこ属性はないようだ。

少し残念ではあるが・・・

彼女は一週間ぶり食事なのでパンバージョンのおかゆにウサギ肉を刻んで入れてあるものだ。



「はい!私はフィーネ、14才、ベルルガンドの孤児院出身の冒険者っす!」



お互い軽く自己紹介を済ませた。

フィーネの故郷であるベルルガンドは広大な湖があり、この自治領で唯一水産業が盛んな街だ。

また豊かな水資源のおかげで酒類製造業、酒があるとこにドワーフありということでドワーフの人口がこの自治領でも一番多く鍛冶産業も盛んだ。又、冒険者ギルドの本部もここにあり、首都以上に繁栄しているとも言われている。

その反面彼ら自身は義賊を自称しているが冒険者崩れや軍崩れ等が盗賊ギルドを作っているので治安が悪いらしい。

冒険者になったのはこの街が嫌になって出てきたのが理由だそうで。

他にも何人か孤児院出身の仲間と一緒に冒険者になったはいいが今回の件で・・・ということだ。無事を祈るしかないだろう。

俺はわざわざ探してやる義理もないし、逃げおおせてどこかの街や村に逃げてる可能性もあるわけだ。




「これからどうするんだ?」




「そうですね、しばらくベルクさんのパーティに入れてもらって一緒に行動させてもらえませんか?」



俺はエルルに目配せをする。



「別に構わないわよ。また一人にして行き倒れたなんて嫌ですもん」



至極真っ当なご意見です。



「ちなみにその鍵はフィーネが持ってるのか?」



「運よくというのも気が引けるっすけど私が持ってます」


しかしこの顔に似合わぬ下っ端口調は盗賊ギルドにいたころの名残だそうだ。



「そんじゃ、フィーネはベオに乗せてもらってこのまま進むとするか」



「この子犬に乗るっすか?」



BOOON!!!と煙を立てたりはしないがベオが大きくなった。

それを見てフィーネは目を丸くする。


「ウォン!」


子犬じゃないやいとばかりに吠えるが、敵意のない人に対しては基本人懐っこいべオ。


こうして墓所の捜索を始めることにした。













墓所は辛気臭い一本道で、所々に遺体が安置されておりその遺体がアンデッド化しており襲ってくるという厄介なダンジョンとなっている。アンデッドは扱い上魔物に分類んされる。死んでアンデッド化したら人に非ずってことだ。アンデッドとひとくくりにしているが、ここで出てくるのは所謂マミー系。他にもゾンビ、助さん、スピリットなどもいる。

そしてこの世界のダンジョンは2種類ある。墓所、洞窟等といったものや階層のあるみなさんご存知のあのダンジョンだ。後者は迷宮と呼ばれており、最下層に魔石がありその魔石を破壊すると迷宮が破壊されるらしい詳しいことは迷宮に行くことになったらわかるだろう。

迷宮の発生原因は魔石によるものだが前者のダンジョンは単純に魔物などが住み着いている場所を指すことが多い。



「しかし、こいつら一体どんだけいるんだよ・・・」



「そうね・・・きりがないわ」


エルルは肝っ玉が据わっているのかアンデッドに驚いたりせず、残念なことに抱きついてくるなどのラッキーイベントは発生していない。



「お役に立てず申し訳ないっす・・・」



とは言うが、鉄格子の扉、扉のレバーを引くと弓やが飛んで来るなどのトラップがあったもののフィーネの活躍により難なく潜り抜けることができた。彼女は斥候として有能かもしれない。

罠の解除方法は盗賊ギルドで習ったそうで、そうした経験からトレジャーハンターを目指してあの街とおさらばしたかったそうだ。

しかしいかんせんアンデッドの数が多い。ここら一体の墓所は約1000年前の神大戦争時の死者が祭られていたり、ベルセウスに纏わる墓所、遺跡が多いそうだ。

由緒ある墓所故にお宝も多く、それを狙ったトレジャーハンターも多い。






1時間ほどたっただろうか、ようやく広い所に出た。



「ここにはアンデッドはいないようだな」



「奥のほうに扉があるっす!本当にこの鍵で開くかは不安ですが・・・」



確かにうまいクエストではあるが、Eランクでも受けれるとなるとうさん臭さが増す。

とは言えそれしか頼るものがないから仕方がない。


「開け!ごま!」


これ一度言ってみたかったんだよな。

何故開けごまなのかその由来は・・・なんて要らないか。


すると扉が開く。決して開けごまに反応したわけではないだろう。だよな?



「本当に開いたっす・・・」



「油断するなよ?だいたいこの先にボスがいるはずだ」



改めて武器を構えなおし、扉の先へ1歩踏み入れた瞬間、壁の松明に一斉に火が灯る。

これはやばい、絶対強いボスがでるよ!!!

エルルも驚いたのか腕をつかんできた。

そして松明に照らされたその先に玉座に座った骸骨がいる。



''我が眠りを妨げるものはどこのどいつじゃ・・・!!!''

とこころなしか女性っぽい声が聞こえた。



「えーとこんばんわお邪魔します。私、シンタ・ベルセウスと申します。お休みのところ大変申し訳ございませんでした、これにて失礼いたします」


といい俺たちは全力で扉の向こうへ走り出した。



''ま、まてい!べ、別に怒っておる訳ではない!頼む戻ってきてくれい!''


と骸骨が走って追いかけてくる。

なんてホラーだ!!!



「え?え?なんて?」



「だから待たれい、定命の者よ!」



今度ははっきりと聞こえた。



「この骸骨しゃべってるっす!!!」



「驚くこともあるまい。我ほど高貴なものとなればその位詮無き事よ」



「確かに高位アンデッドは魔法が使えたり知能があったりってのは聞いたことがありましたが・・」



「そのようなことどうでもよいわ。其方からあのお方の加護を感じる。そしてその狼、神獣ベオウルフ様ではないか?」



「あぁその通りだが、よく分かったな」




「私めあの御方に忠誠を誓った身、忘れなどしませぬ。やはりべオ様でしたか。しかし当時の面影もありませんなwwwww」


盛大に笑ってやがる。

べオも怒り心頭の面持ちである。



「ごっほん、失礼いたしました。まだ本来の力を引き出せないのでしょう。それは貴方もそうではないですか?」




「そうなのか・・・?」




「えぇ。貴方からはあのお方の力は感じますが、まだ制御できていないのではありませんか?」





「まぁ確かにな。特に魔法に関してはからっきしって感じだ」




「はてさてどうしたものか・・・・。9大神であるヴァナディース様をお尋ねになってみては如何でしょうか?」



説明しよう!ヴァナディースとは9大神の1柱であり、愛と豊穣の女神として崇められている。他にも美、性、魔法の守護を司っているのだ!



「9大神ってそう安々と会える系神様なのか?」




「いえ、9大神ともなれば他の神々と違い滅多なことが無ければ定命の世に関与は致しませんが、貴方様はあの御方の加護を受けておられます。彼女の聖堂をお尋ねください。きっと貴方の存在にお気づきになられ、手を差し伸べてくださるでしょう」



なんだかものすごく面倒なことに成って来た気がする・・・

エルルとフィーネは訳が分からないよと言わんばかりに天を仰いでいる。その先は天井だけど。

本来の目的をすっかり忘れていた。


「そういえばこの墓所に来た目的を忘れてたな。後お前の名前を聞いていなかった」



「そ、そうっす!お宝はあるんすか?」



「これは大変ご無礼を・・・お許しください。私の名はスクルド、この墓所に眠る御方の剣の守護を与りし者。恐らくお宝と言うのはその剣の事でしょうか。玉座の奥にございます。しかし如何せん時が経っております故、打ち直す必要がありましょう。ただそれだけの技術があるものがいるかどうか・・・」




「わ、私には無理だと思うわよ?」



「まぁ今すぐって訳でもないし他にもいるかもしれないからな、ベルセポネに行ってからそれも考えよう」



そして玉座の奥にある宝箱にその剣はあった。

丁寧に鞘に納められている。鞘から抜いてみると彼女?が言っていた通り、使えるものではない。凄く錆びた剣という感じだ。

柄の彫刻や鞘の装飾はかなりこったものだと分かるが、結局剣が錆びて使えないから放置され続けたのだろうか。


「これがお宝の正体ですかーなんか残念っす・・・」



「確かにこの状態じゃ誰もお宝だなんて思わないだろうな」



「その通りでございます。過去に幾人か来てはその剣をみて肩を落とし、去っていくのを見ておりました。もう100年早ければ他にも金貨などが入っていたのですが・・・」




「そりゃ無理な話だ。でも本命はこの剣なんだろ?俺たちが真のお宝を手に入れたってことでクエストは大成功じゃないか。ただこのことは商人には言わないでおくがな」




「そうっすね。さすがの商人も錆びた剣なんて要らないでしょうから」




「なんだかいろいろあって疲れたわ・・・帰りましょ」




「その娘らは貴方のお仲間ですか?」




「あぁそうだが」




(あのお方も周りに女性を侍らせておりました。私もその一人ですが、それもあのお方の加護の影響なのでしょうか・・・・)

「そちらの赤髪の、其方は神の加護を受けるだけの素質があります、日々精進を怠らなければ恐らく神様も微笑んでくださるでしょう」



「は、はい!頑張ります!」



エルルまでも神の加護を?

なんだろ、仲間になる1人1人が加護持ちになるとかないよな・・・


「これで私の役目は終わりです。短い時間でしたがまたあの御方のお役に立ててうれしく思います」

と言い俺が言葉を出す間もなくスクルドは灰となって消えた。彼女は成仏したということなのか。












帰り道、さっきまで襲ってきたアンデッドが一転、主でも見送るように敬礼やらしていてとても不気味だった。

墓所を出るとあたりはすっかり暗くなっている。雲がかかり星空が見えないのが少し残念だ。

夜になると魔物が凶暴化すると言うことはないが、このあたりの夜行性の魔物はウルフ系が多くやっかいなので今日は墓所のゴブリンが住んでいたところで野営することにした。

エルルには特に今回の件でいろいろ話しておくべきだと思ったのだ。

取り敢えず、たき火を焚き暖を取る。フィーネはぐっすり眠っているようだ。




「なぁエルル、俺はさベルセウス家の人間で、あのベルセウス神の加護を受けていて、宿命やらなんやらややこしいことを背負っているんだ。それにベオは本当にべオウルフで、今はこんなだけど俺自身も成長すればこいつも本来の姿になれるらしいんだ」




「そうなんだ・・・あのベルセウス様の家系だったのね。べオちゃんもあのベオウルフで・・・」




「黙ってて悪かったな。故郷に戻ってから話そうと思ってたんだ。その上で改めてエルルがどうするか決めてほしくて」



「私は大丈夫。あの骸骨さんも言ってたけど私にも加護がつくかもしれないんでしょ?それは多分あなたに付いていったらそうなると思うの。あ、でもそれをシンタの宿命に巻き込んだとかそう思わないでね?私自身で決めたことでもあるの。あの日からきっと私が変われるってそう思って・・・だからシンタも宿命だとか言わないで、あなた自身が決めたことでしょ?」



エルルはやっぱり強い子だな・・・



「っふ、そうだな。そうだった。宿命なんて関係ない。俺は俺が思った、決めた通りにするさ。例え神に抗ってでも」




「うーん神様に逆らうのはどうかと思うよ?」



意外と心神深いんですね・・・

でもこの世界ってそういう面が強いのかもな。



「さて、俺たちもそろそろ寝ますか!」




「そうね。今日は色々あって疲れたもんね。おやすみなさい」



「うん、おやすみ」







そうして次の朝を迎えるのでした。

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