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イケメンの定義  作者: kunio
本編
9/11

イケメンと海②

その②です。

よろしくお願いいたします。

別荘の中からする物音。

まさか、泥棒!?

私は、鞄を握りしめた。心配性の私は、色々なものを鞄の中に入れているため、結構な重量の鞄となっている。これで殴れば、ダメージを加えられるはず。佐野先輩が私をかばうように前に立った。その時

「あーれ、坊っちゃんじゃん!」

出てきた人物は、金色の髪に半袖半パン。凛に、親しげに声を掛けていた。凛が眉をひそめる。

「八か。その呼び方、やめてくれない?」

八と呼ばれた人物は、凛の肩を何度も叩く。

「だって、坊っちゃんは坊っちゃんだろ?久々!来てたんだ」

「あの、凛とお知り合いですか?」

八さんは、私の方を見ると、人懐っこそうな笑みを浮かべた。

「凛とはいとこだよ」

凛は、大きく息を吐いた。

なるほど、いとこか。確かに、目元なんかがよく似ている気がするが、雰囲気はまるっきり違うようだ。大学生くらいだろうか?

「八!待ってよー!」

何人かの女性と男性が出てくる。

「何で、八がいるの?」

「おじさんが、来ていいって言ったんだよ」

「八。行こう」

一人の女性が八さんの服の裾を引っ張る。

「そうだね。じゃあ」

八さんは、笑顔で、彼らを引き連れて、別荘を出ていった。

「八が来てるなんて。面倒」

凛は、不機嫌そうに呟く。

嫌いなんだ…。

「そんなことより、井上先輩!早く着替えて行きましょう!」

向井くんがにこやかに凛の背中を押す。

「…凛って呼んで」

凛と使用人さんに案内され、奥へと入っていった。


「桜!行こう!」

悠里が海へ走り出す。海なんて何ともないと決め込んでいた悠里だったが、実は楽しみにしていたらしい。

「ちょっと待って!今行く!」

私は、ビーチボールを膨らます手を動かしたまま叫ぶ。

「俺がやるから、行ってきなよ」

孝史くんが隣に座った。

「でも…」

「任せとけって」

笑顔で私の手にある空気入れとボールを取ると、背中を軽く押した。

「ありがとう!行ってきます!」

私は、笑顔で手を振ると、悠里の元に走っていった。


海を泳ぎまくる私と悠里。そこに、ビーチボールが投げ入れられた。

「お待たせ!」

孝史くんである。

「孝史くん、ありがとう!」

「ありがとうございます!」

悠里と声が重なり、二人で顔を合わせて笑う。佐野先輩がそのボールを奪った。

「ちょっと!」

「悔しかったら取ってみろや」

「こら!」

海の中を優雅に歩く佐野先輩に対し、私と悠里はダッシュで追いかける。

「とりぁあ!」

「あ、このチビ!」

油断している佐野先輩の手の内にあったボールを取ったのは、向井くんだ。

「さっきのキャップのお返しですよ。はい、須藤先輩!」

向井くんが私に向かってボールを軽く打った。見事に、私の腕に当たり、レシーブをする。

さすが、元バレー部。

そのボールが、海にゆったりと浸かっていた凛の元へ飛んだ。

「凛、レシーブ!」

「凛先輩!」

凛は、驚いたように構えるとレシーブをしたボールはきれいに弧を描き、悠里へと向かった。

「ナイスレシーブ!はい、向井くん」

「おい、俺を無視すんじゃねぇ!」

佐野先輩の怒号が飛ぶ。反射的に、私と悠里は気を付けの姿勢。

「玲士、二人が怖がってる」

凛が佐野先輩に冷たい視線を送った。困ったように、眉を寄せて腕組をする佐野先輩。

「まだ、俺のこと怖がってんのかよ。てか、お前はなんで、俺の下の名前で呼び捨て…」

「凛って呼んで」

私と悠里、向井くんは声に出さずに笑っていた。


「疲れたあ!」

ひとしきり遊んだ私は、輪を抜けて、砂浜に上がってきた。

「お疲れ」

孝史くんが笑いかける。その横で、日下くんは夢の中だ。

「喉渇いたね。別荘に行ってくるよ」

今日、皆で持ってきていた飲み物が別荘にあったことを思い出し、歩き出す。

「俺も行こうか」

「いいよ、私一人で大丈夫」

私は、それだけ言うと、再び歩き出したのだった。


別荘に戻ると、私は、二リットルのペットボトル二本と紙コップをビニール袋に入れ、持ち出そうとしていた。

けっこう重いな。

私は、やっぱり孝史くんに着いてきてもらえばよかったと少し後悔しながら、別荘を出ようとした。

「あれ?君一人?」

話しかけてきたのは、さっき、八さんと一緒にいた男性二人だった。

「あ、飲み物取りに来てて」

ここで、思いっきり人見知りスキルを発揮する。ボソボソとした言葉は彼らの耳にはっきり届かなかったようだった。

「そんな、怖がらなくても。それ、重くない?」

「大丈夫です。すみません」

「もう、そんな怖い顔しないの。かわいい顔が台無しだよ」

「お前が怖がらせてんだよ。そうだ。よかったら、俺たちと遊ばない?」

彼らはからかうように笑った。

こういうノリ、あんまり好きじゃないな。

私は、戸惑いからか動揺を隠せない。

この状況、どうしよう。

私は、困り果てるばかりであった。


#続く

ご覧いただき、ありがとうございました。

次で、この海の話は終わりですが、まだまだネタがあるので、続きそうです。

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