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イケメンの定義  作者: kunio
登場
7/11

イケメンと求愛

ついに、五人のイケメンとの物語が始まります。

よろしくお願いします。

「き、急に言われても」

私は、声を震わせる。佐野先輩は、苛立っている様子で

「煮えきらねぇな。だから、バカなんだよ」

「それとこれとは、関係ないでしょ!」

日下くんは、いつものように意地悪に笑う。

「まぁ、須藤は効率悪いよね」

「日下くん!」

「ちょっとちょっと!須藤先輩を苛めないでくださいよ」

向井くんが慌てたように割って入った。佐野先輩は冷えきった目で、向井くんを見据えた。

「はぁ、チビがヒーロー気取りか?」

「チビって言わないでください。背は小さいけど、心はビックです」

「え?何?ピッグ?豚なの?」

日下くんが、口の端に笑みを浮かべる。

「ビック!大きいって言ってるんです!」

私は、心の中でため息をついた。それを察したように、隣に孝史くんが立った。

「ずいぶん賑やかだね」

「うん。本当に」

ふいに、服の袖を引っ張られる。

「桜」

「…凛、どうしたの?」

凛が口を開こうとしたとき、それを遮るように、佐野先輩の声が重なった。

「何でお前は、須藤の下の名前で呼んでんだよ」

凛は、眉をひそめる。

そうとううざがってるな。こりゃ。

孝史くんは、まあまあ、と佐野先輩をなだめた。

「そんなことより」

「そんなことってなんだよ」

孝史くんは、言葉に食い付く佐野先輩を気にすることなく、続ける。

「桜ちゃん、結局どうする?」

「どうするって?」

「俺らの中で、誰を選ぶ?」

全員が静かになって、私を見つめた。心臓の鼓動が唸りをあげる。

「そんなこと言われたって、私、孝史くん以外のこと全然知らないし、決められないよ」

私の言葉に、皆からの大きなため息。

私、何か間違ったこと言ったか?

「まぁ、確かに、絡みはそんなになかったからね」

口を開いたのは、日下くんだった。

「日下くん」

意外な人からの助け船に、思わず感動してしまう。日下くんは、爽やかな笑みを作り、私の肩を叩いた。

「ね。さ、く、ら、ちゃん」

「は、はい」

下の名前を呼ばれただけで、ここまで恐怖に震えることがあったなんて。さらに、日下くんは耳元で囁く。

「なら、俺のことじっくり教えてあげよっか」

甘ったるい声。普通の女の子なら、顔を赤くしているはずだが、私は違った。

ぉ、恐ろしやぁぁぉああ。

「ごめんなさいでございます」

「直也、何言ったの?」

凛が日下くんを睨む。

「べっつにー」

凛は、もう一度日下くんを鋭いめつきで見ると、私に向かって

「桜、海行こうよ」

「海?」

「七月になったし、うちのプライベートビーチがあるから」

「プ、プライベートビーチ?」

凛って、いったい何者なんだろう。

その疑問に答えたのは、日下くんだった。

「さすが、グランドプラチナホテルの社長の一人息子!」

「直也。やめてくれる?」

「ぐ、ぐらんどってあの?」

私の驚きの声に、凛は嫌そうに頷く。グランドプラチナホテルは、日本随一のホテルだ。つまりは、凛は相当なお坊っちゃまということだ。前から不思議に思っていた気品ある感じは、そこからだったのかもしれない。

「海か!行ってやろうじゃないか」

佐野先輩は、ノリノリなのを隠しきれないようだ。凛は

「あなたを連れていくなんて言ってません」

「海!俺も行きたかったんだよね!」

向井くんが目を輝かせる。あまりにも純粋な態度に、凛は考え込んだ。孝史くんは畳み掛けるように

「皆で行けば、自分のこと知ってもらえて良いんじゃないかな?」

それに、ついに凛も頭を縦に振る。

「わかった。桜に早く答え出してもらうために、皆で行く」

「あの、私行くなんて言ってない―」

「やった!須藤先輩、楽しみですね」

向井くんの輝く笑顔に、もう何も言えなかった。あれよあれよと、孝史くんの仕切りで日程が決められる。今週末ということだ。ここで、向井くんからもうひとつの提案が出される。

「あの!あの!自己紹介しません?」

「自己紹介?」

その他の皆が首をかしげる。

「だって、せっかく皆で海に行くんだし、どうせなら仲良くしたいじゃないですか」

「はぁ。何でお前らと仲良くしなくちゃなんねぇんだよ」

佐野先輩が悪態をつく。

「俺は賛成だな。どうせ行くなら楽しみたいしね」

孝史くんからの答えに、向井くんは大きく頷いた。

「そうだね。じゃ、須藤どうぞ」

日下くんの無茶ぶりに、ええ?とすっとんきょうな声を上げる。

「何で、私から」

「なんてったって、主役だから」

日下くんの納得いくようないかないような答えに、嫌々ながらも口を開く。

「須藤桜です。高校二年生です。趣味は、バスケで、好きなものは紅茶です。あと、えーっと、よろしくお願いします」

まばらな拍手が飛ぶ。

「じゃあ、じゃあ、次どうぞ」

向井くんが佐野先輩を指す。佐野先輩は、何か言いたげだったが、大人しく自己紹介を始めた。

「佐野玲士。高校三年。趣味は同じくバスケ。以上」

「短い」

凛が冷たく言い放つ。佐野先輩は、凛を睨んだ。向井くんが間に入って、次は凛を指名した。

「凛です。高校二年生。美術部です。終わり」

「お前も短いじゃねぇか」

佐野先輩と凛との間で、火花が飛び散る。孝史くんは、それを振り払うように、笑顔で

「鶴見孝史です。22歳で法学部に通ってます。来年の春からは、都市部のロースクールに行きます。皆よりもおじさんかな?桜ちゃんとは、幼馴染みで。よろしく」

「よ!好青年」

盛り上げようと、私は努めるが、佐野先輩と凛の雰囲気はピリピリしている。

「次は俺ね。日下直也でーす。高校二年生。成績は学年一位の秀才です。よろしくね」

日下くんは、人の良さそうな笑みと共にピースする。

「秀才って、自分で言っちゃうんだ」

私の突っ込みに、日下くんは事実でしょ?と笑顔を崩さない。次に、向井くんは、勢いよく喋り始めた。

「最後は俺ね!向井光。15歳の高校二年生。中学の時は、バレーしてたけど、怪我して、今は帰宅部です。須藤先輩とは、保健委員で一緒です。朝はご飯と目玉焼きと鯖とわかめの味噌汁食べてきました。どうでも良いですね。はい、よろしくお願いします」

向井くんは、弾ける笑顔を見せ、礼をした。

そんなこんなで、私とイケメン五人との物語は幕を開けるのであった。

ご覧いただき、ありがとうございます。

これからも、よろしくお願いします。

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