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イケメンの定義  作者: kunio
本編
10/11

イケメンと海③

イケメンと海、完結編です。

よろしくお願いいたします。

「さーくらちゃん」

後ろを振り返ると、

「日下くん」

まだ、眠そうな日下くんは、私が持っていた飲み物の袋をごく自然に持つと、私の肩に腕を回した。

「ごめんなさーい。この子、俺の彼女になる予定の子なんで、困らせないでくださいね」

仮面スマイルを彼らに向ける。彼らは突然現れた日下くんに、慌てたように

「別に困らせてねぇよ」

と、その場を去っていった。日下くんが、小さく息を吐く。

「日下くん、何で…」

「須藤が飲み物取りに行ったって言うからね。わざわざ来たわけ」

「わざわざ」

何とも恩着せがましい言い方だが、助かったのは事実なので、丁寧にお辞儀してお礼を言う。

「日下様、ありがとうございました」

「苦しゅうない苦しゅうない」

手をパタパタと振りながら、胸を張る日下くん。私は、哀れむような視線を送るが、日下くんには通用しないようだ。

「行こうや」

別荘から出ていこうとする日下くんの後を追おうとしたとき、急に前で立ち止まられたものだから、鼻を彼の背中に打ち付ける。

「急に止まらないでよ」

「須藤」

日下くんは、片手で私の頬を挟んだ。

「あんまりモテるのは禁止」

「え?」

日下くんの真剣な眼差しにうろたえる。顔がみるみるうちに赤くなるのがわかった。心臓が唸りをあげる。

「そんな可愛い顔したら、キスしちゃうぞ」

いつものふざけた口調にウインクが加わり、私は乾いた笑みを漏らしたが、それでも、鼓動の速さは緩まない。日下くんは、大きく伸びをすると、さっさと先に行ってしまった。

急に、あんな顔しないでよ。

赤くなった顔を両手で叩くと、私も歩き出すのであった。


夕方になると、別荘のすぐ近くにあるバーベキュー場でご飯を食べていた。

「おいしい。やっぱり、焼きたて良いね」

悠里は、口いっぱいに、食べ物を頬張る。こういうときに、焼き担当になるのは、もちろん孝史くんだ。

「須藤」

佐野先輩が隣に立って、食べていた。

「何ですか?」

「何て言うか…意外と、楽しかったな」

「そうですね」

今日、はしゃいでいた皆を思い返し、笑う。

「あのさ、今度、花火大会行かないか?」

「花火?」

「ほら、夏休み入ってすぐにあるだろ?」

私は、学校へ行く道中にいくつも張ってあったチラシを思い浮かべた。

「あ!そうでしたね」

「ああ」

「行きましょう!」

「ほんとか!?」

「皆で!」

「…え、みん…」

私は、佐野先輩が唖然としているのに気付かずに、皆にその事を伝える。皆も大賛成のようだ。

「楽しみですね」

「そうだな…」

こうして、その日は終わっていくのであった。

ご覧いただき、ありがとうございました。

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