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堪らないわね、この異世界  作者: 佐藤釉璃
冬海 雪音
3/32

2.にやけ顔が止まらない

※15話から、本格的にユキネが覚醒します。

そう、私は全身全霊で自転車を漕いだ。

信号が赤であるのに青に見え、そのまま車道に飛び出してしまうくらいに。


「こらぁーーー!!あっぶねーじゃねーか!!」


轢かれかけた。


「っす、すみません!!」


生まれて17年、初めて死ぬかと思った。

いくらラノベの新刊が楽しみだからといって少し、浮かれすぎていたわね。

交通量の多い国道で信号無視して、生きてるだけ奇跡よね…。

片側3車線の国道は信号が少ないためか、どの車も50キロ前後で走っている。


「でも、今のトラックに轢かれていたら異世界に転生できたのかしら」

なんて、独り言が言えるくらいには冷静さを取り戻し、

今度は自転車を押して書店を目指す。


安全に、冷静に。


書店が見えてくるとさっきの恐怖と反省はどこへやら、

新刊への期待で胸が高鳴ってきた。

もう少し、次の国道の信号を渡れば到着……あっ!?


私と反対側の歩道にいた一人の女の子、

赤であるはずの信号に気づかないのか、そのままこちらへ歩いてくる。

咄嗟に叫ぼうとしたが、それより早く私の身体は無意識のうちに反応していた。

押していた自転車を放り出し、女の子の元へ走る。

走ってきた車から女の子を守るために抱きしめる。

左半身に衝撃が走り私は意識を失った。否、命を失った。


この時、もっと早くうごけていたら

この時、うまく車を避けていたら


きっと私は…



こんなに心が踊らなかっただろう!!!


_______________________


「冬海様、おめでとうございます!」


車に惹かれる瞬間に目を瞑って、次に目を開けたら…

「天使?マイエンジェル?」


天使がいた。

香澄の奴でさえ比べ物にならないほどの爆乳、

それを覆うのはまさしく天使!な、きわどい白い服。


許されざる乳ね‥。


そして大きく広がる白い羽。「美しい」とはこのことを指すのねきっと。


「まいえんじぇる‥? 私は天使ですよ。

冬海雪音さん、あなたをお迎えに参りました。」


「え、えっと。あなたは天使で間違いないのよね…?どうして私を迎えに?」


「あら、意外と驚かないのですね。

まず、あなたが現世で助けられた方。

あの方は本来、あの場所で命を終えるはずでした。

 それをあなたが自らを犠牲にしてあの方の命をつなぎ留めた。

ここまでは大丈夫ですね?」


「あ……あの子、助かったのね…よかったわ。」


「はい。あなたのおかげで、擦り傷だけですんだようです。

 そして冬海さん、あなたは本来生きるべき時間を失ってしまった。

 その勇姿が私達の主様の目に留まり、

あなたには別の世界で残りの命を生きる権利と

特典が与えられることになりました。」


キタコレ!!!


私の頭のなかで盛大にパレードが始まった。

まさかのまさか、私が異世界に…?ふふふっ。異世界転生か…ふふっ。

いけない、にやけ顔が治らなくなりそうだわ。


マイエンジェルが気持ち悪そうに私を見てる…やめて、私は痛い子ではないわ。

 

「というわけで、冬海様には異世界へ転生していただきます。

 その際にあなたの希望する事、モノ、能力を一つだけ異世界へ持ち込めます。

 なにか、ご希望はありませんか?」


「なるほど、すこし考えさせてくれるかしら?」


胸が踊って仕方ない。ラノベの新刊なんてどうでもいいわ。


魔法チートはどうかしら………テンプレ過ぎて面白く無いわね。

異世界のお金をたくさん………そこまで現金な女ではないわよ、私。

魔族に生まれ変わるのは………やっぱり人でいたいわね。

全能力値をカンスト??………そもそも能力値なんてあるのかしら。

……………………


「やっと決まりましたか。現世の時間で6時間は経ちましたよ。

 それで、何を異世界に持ち込まれますか?」


「私の思想を具現化させる力をもっていくことにするわ。」

そう、何か一つを指定せずにあえてどんなものにでもなりうる。

そんな物を考えていたら、この解にたどり着いた。


「思想の具現化ですか…なんとも合理的…わかりました。

 では、転生を始めさせていただきますね。〜〜〜。ーーーー。???!!!」


天使の周りに光が集まって私まで光りに包まれる。


「では、いってらっしゃいませ。

 申し遅れましたが具現化には多少の制限が……。」


「ちょっと!!あなた今なんていったnーー!!」


かくして、私の異世界生活ははじまった。



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