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堪らないわね、この異世界  作者: 佐藤釉璃
力を持つ者
19/32

18.お酒

 

「おいっ!ターランスが棄権したぞ!!」


 ドアを勢いよく開けて飛び込んできたのはニアさん。

「おい、ユキネ! お前優勝したら少しは酒奢れよっ!?」


「え、えぇっと…?ターランスが棄権したというのは…?」


 ターランス。

 風の神威カムイ使い。

 アクアリスではないが、正都市サジウスのコロシアムで130連勝していて、

 その試合を実際に見たけれど、到底勝てそうにない。そう思っていた。

 そんな最強の彼が、棄権…?願ったり叶ったりだけれど…どうして?




「魔族か…。」



 そう呟いたのは隣りにいたリン君だった。


「ああ。サジウスに魔族の襲撃があった。

 ターランスはサジウスの魔道士とも仲がいいからな、

 頼まれたから棄権してでも向かったんだろ…。」

 ニアさんの表情はいつものような悪戯に満ちた笑みではなく、

 どこか、深く考えているようなそんな暗い顔をしていた。



「それにしても、サジウスの魔道士様が要請を出すなんて…

 今回の魔族は相当に強いのでしょうね…。」

 笑顔の似合う女神、サーシャさんでさえ表情が硬くなる。


「まあ、俺達の関わることじゃないさ。

 それよりユキノ、さっさと勝ってパーッと飲みに行こうぜ!!」




 ーーーーーーーーーー「私…未成年です…。」


「あぁ!?未成年だから、なんだぁ…!?ひっく、

 お前の金なんだから、飲めよぉ!あーっ!しらけるぜぇ!…ひっく。」


 面倒くさい。ニアさんが酔うと面倒くさいわ。


 あの後、決勝では準決勝の時に戦った、

 トレクの足元にも及ばないような相手と戦った。

 風の力を使わない爆裂魔法で、

 相手が倒れた時はなんとももどかしい気持ちになった私は

 戦い慣れしてきているのかもしれない。良くない傾向ね。

 戦いに慣れて、油断して、殺されるなんてテンプレにはならないわよ。

 相手に不足があったと言っても、優勝した私には多くの歓声が送られた。


 そして、今に至る。

 優勝賞金として白金貨3枚、日本円で300万手に入れた。

 ()

 案の定というか約束通り、

 マタドールの3人とミーアと私で街の食事処に来ていた。


 サーシャさんとニアさん、リン君は着くと同時にお酒を飲み始めて

 いまではこの通り…。


「あぁー、ユキネちゃん可愛いわねぇ。もう堪らないわ…。」


「ひゃっ!?な、なにするんですかサーシャさんっっ!!」

 酔ったサーシャさんが私のお尻を軽くなでた。


「えぇ?いいじゃないのぉ…。もう、可愛くて…もっと触れたい…わ…。」

 今度は私の頭を、自身のその豊かなお胸に押し付ける。


「うっ、サーシャさん…苦しい、です…。」

(世の中は異世界でも不条理よ、私のは…ステータスよ…ぐすっ。)


「ユキネさぁん、わたしぃ…ふわふわして、心地いいのですぅ…えへへぇ」


 サーシャさんの凶器から逃れた私の隣にいたミーアの様子がおかしい。

 頬を赤く染めて、呂律も上手く回っておらず…可愛らしい。

「ミーア、それ…飲んだの…?」

 ミーアが手にしているのはニアさんが飲んでいた、ウイスキーの瓶。

「ふぇぇ?これぇ、美味しいですねぇ…ユキネさぁん、美味しいですぅ…。」


「ミーア…可愛いわ。大好き。」

 しまった。あまりの可愛さに、つい本音がでてしまったわ。

「えへぇ、わたしもぉ…ユキネさん、好きですぅ…えへへぇ。」


 この後無茶苦茶ミーアを堪能した。

 堪らないわね、このミーア。










今回は癒やし回でした。


次回から、伊邪那美イザナミによって与えられた「役割」

そして力を持つ者の苦悩がユキネを襲います。


戦闘シーン多めでユキネが無双しますが、

戦う意味を見いだせなくなっていき…?

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