表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
堪らないわね、この異世界  作者: 佐藤釉璃
冬海 雪音
17/32

16.変化

 

「うぅ…知らない天井…」

 この世界にきてから二度目のこの台詞。


「お、起きたか。」

「えっ?」


「リン…君?」

 私が寝ているベッドの隣にはリン君が座っていた。


「なんだよ、俺が居たらわるいのかよ。」

「いえ、そうじゃなくて…ふふっ。」

 きっと私が眠っている間もこうやって側にいてくれたのだろう。

 私の事、すきなのかしら…? なんてね。

 不安そうになった綺麗な整った顔。


「な、なににやけてんだよっ!」

 そういって怒ったリン君は頬を赤く染めてそっぽを向いてしまう。


 異世界の貴族のお坊ちゃまなんて、

 悪い方に性格が曲がっていてお金に物を言わせて好き勝手やってると思っていたが、

 そんな固定概念はリン君には当てはまらないようだ。

 あ、少しだけ曲がってるわ…可愛いツンデレ君だもの。本当に可愛いわ。


「リン君、ありがとう」

 そっぽを向いている可愛いツンデレ君の頭をそっと撫でてみる。

「ま、まあ元気なら、よかった…って、撫でるのはやめろっっ」

 ますます赤くなった。可愛い。


「あら、ユキネちゃん目が覚めたのね!二回戦、本当に驚いたわ!」


 ドアが開いたと思うと、サーシャさんの美声が飛び込んできた。

「えっと、サーシャさんとリン君のアドバイスがなければ負けていました…

 ありがとうございましたっ。」


「私は何もしてないわよー?あえて言うならリン君のおかげかなぁ?…ねっ?」


「はっ!?…俺は、思ったことをいっただけで…別に、ユキネのためとか…」


「あらあら、いつの間にか呼び捨てだなんて…リン君もやるわねぇ。」


「なっ…そんなんじゃねーし!」


「うふふっ、リン君ったら…照れちゃって可愛いわねぇ。」


「サ、サーシャっ!その可愛いって言うのやめろって言ってるだろ!!」


「うふふ、だって…可愛いんだもの。仕方ないでしょう?」


「俺は…か、かわいくなんてないっ!」


「そうやって赤くなって怒るところが可愛いのよ?リン君っ」


「う…も、もうこの話はいいだろっ!

 ったく、いつもいつもサーシャは…それで…


「ふふっ、試合ならニアが見ているから大丈夫よ?」


「ま、まだなにも言ってないだろ!」


「リン君の考えてることなんて、すぐわかるわよ?」


「はっ!?」


「ユキネちゃんの左足も大丈夫よ?さっきから気になってたものねっ?」


「ぐっ、…大丈夫…なのか?」


「ええ、もちろん。心配ないわよ?ふふっ」


「そ、そうか…。って、ニヤけるなっっ!!」


 ……。


 とても仲良く話す2人。


 お互いに信頼しあって、何も言わなくてもお互いを理解わかってる。

 悪態をついてもお互い離れることはない、

 寄り添うのではなくただ、近くにいてくれる…ずっと。

 照れて不機嫌そうにしてるリン君はサーシャさんの事を大切に思って、

 もちろんサーシャさんもリン君を大切に思ってる…。


 私と香澄もこんな感じだったわね…。

 香澄……元気にしてるのかな。私が、いなくなってどうしてるかしら。

 私のお葬式には…きてくれたのかしら…

 きっと、泣いてしまったわよね、かすみ…。

 もう、話したりできないのよね……。卒業、一緒にしたかった…。

 そういえば私、香澄に何もお礼言えてない…。

 孤高の美女を気取っていた、私を、いつも見ていてくれた。

 いつも、香澄だけは私をわかっていてくれた。何も言わずに…ごめんね…香澄…。








「……帰りたい?」









「…え…?」

 俯いていた顔をあげるとそこにはリン君も、サーシャさんもいなかった。

 目に浮かんだ涙を袖で拭って部屋を見渡す。




「香澄ちゃんのいるところに帰りたい?」




 緑の綺麗な右目と赤く()()()()()()()左目。



 綺麗なサラサラの銀髪に白い大きな猫耳。

 小柄な彼女は私の命の恩人でこの世界で初めて出会った…。



「あ、あなたは…?」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ