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堪らないわね、この異世界  作者: 佐藤釉璃
冬海 雪音
14/32

13.「消し飛べっ!」

※15話から、本格的にユキネが覚醒します。

「今日の一般参加者は7人、

 更に特別ゲストで有名な神威使いを招いている!!

 神威使いは強いが、3回勝てば白金貨3枚だ!!」


 私はいかにしてこの場から逃げ出すか、考えていた。

 だが今の説明を聞いたところ神威使いは一人しか参加しないらしい。

「もしかすると…300万、いける?」


「一般参加者の諸君は

 この部屋にある好きな武器を使ってもらってもらう。

 フィールドには障壁が張ってあり、

 君たちにも即死の攻撃を受けても、

 重症程度で済むように魔法がかけられる。

 つまり……相手を殺す勢いで戦ってくれ!!!」


 相手を殺しても死なない…?

 つまり

 私の神威で燃やしても死なないということよね…?


「やるしかないじゃない…。」

 俄然やる気が出てきた。



「参加者の皆さんは自分の名前をこの紙に書いて、

 この箱にいれてください。」


 紙に名前を書き箱に入れる。

 他の参加者も紙をいれ、部屋にある武器をそれぞれ手にとる。

 私もいくら神威を使うといっても見た目上手ぶらで戦うわけにはいかないので

 部屋に掛かっている小さなダガーナイフを手にとる。


「嬢ちゃん、そんな貧相な武器で大丈夫かぁ??」


 後ろから不意に声をかけられる。


「その可愛い顔に擦り傷付けたくなけりゃ、

 さっさと白旗でもあげるんだなっ。げへへ。」


 2mはありそうな背丈に、

 手には大きな斧のようなものを持ち、鎧をつけたヒゲおやじ。

 下衆な目を私に向けてくる。


「ご心配してくださってありがとうございます。

 ですが、まずはご自身の身を案じたほうがよろしいかと思いますよ。」


 可愛くない男には毒々しい口調になってしまう。

 この体質というか口調は現世から引き継ぎらしい。

 告白された時も振り方が酷く、告白してくれた男子が泣いてしまって

 香澄に何回怒られたことか…。


「けっ、強がってられるのも今のうちだぜ嬢ちゃん?

 そんなやる気のない服装で…観客の前で裸体を晒すことになっても

 泣いたりするんじゃねーぞ??」


 やっぱり男なんてクズね。


 確かに決闘するときに制服なのはどうかと思うけれど…。

 あ、ちゃんと別の服もミーアに買ってもらって

 着替えて、洗濯してるわよ?たまたま今日は制服だったのよ。

 戦う女子高生、いいじゃない。


「一般参加者の皆さん、抽選が終わりましたので 

 一回戦に割り当てられている方はフィールドへ向かって下さい。」


 …‥‥‥‥‥‥‥…「私じゃん。」


 一回戦、ユキネ 対 ジェコフ


 あの男だった。ヒゲおやじ。

「お手柔らかに頼むぜぇ?おじょうちゃん。」


 この男を燃やせるなんて、


「堪らないわね。」


 ヒゲおやじの後ろについて歩く。

 明るいフィールドが見えてきた。


『ウオォォォォォォォオ!!!!!!!』


 フィールドに出ると、このコロシアムの大きさに改めて驚く。

 360度見渡すかぎりの観客席は満員。耳がおかしくなりそうな程の歓声。

 まさしく決闘。と言った感じね…。


「一回戦〜。過去優勝回数3回!!

 大斧をつかう巨人!ジェコフッ!!

 今日はコロシアムにヒビをいれないでくれぇぇえ!」


 え、なにこいつ。

 3回も優勝してるの…?

 ただの口だけモブキャラじゃなかったの…?


「対するのは、今回初参戦のユキネだぁぁぁぁぁぁあ!

 男臭いコロシアムに美少女が初参戦だっ!!!

 配当率はコロシアム始まって以来の高倍率、

 なんと50倍だぁぁぁぁぁぁあ!

 当たれば一攫千金!!今回のダークホースとなるかあぁ!?」


 美少女だなんて…司会者は見る目があるじゃない。


「さあ、はじめよう!!!今日もしっかり金をつぎ込んで来たかっ!?

 第1192回アクアリスコロシアム、開始だぁぁぁぁっ!」


 法螺貝の音がなり、観客が大歓声をあげる。


「おらぁ、いくぜじょうちゃん!

 ヤられても文句言うんじゃねーぞぉぉ!?」


 ヒゲおやじが斧を振り上げ向かってくる。


「おっとーっ!開始早々ジェコフが斬りかかるっ!!」


 冷静に、サーシャさんの時を思い出して、

 あの時の感覚を………


 こいつは下衆、クズ、私を辱めようとするゴミ…


(きたっ!この感覚…)


 手を向けて、


「この…下衆……

 消し飛びなさいっっっっっっっ!」



 下衆男の足元に魔法陣が現れ、胸のペンダントが光る。

「な、なんだこれっ!?てめえ、神威使いか…ぐああああっ!」


 周りの空気を巻き込み爆音と共に炎があがる。

 障壁のせいだろうか、コロシアム内で音が反響し観客が悲鳴をあげる。


「な、な、なんということだぁあ!!

 美少女ユキネは神威使いだったぁ!

 猛烈な爆裂魔法がジェコフを襲うっ!

 煙で何も見えないぞぉお!!」


 炎が消え、煙が収まってくる。



 あ、焦げてる。



「な、なんということだぁあ!!

 一回戦、優勝経験もあるジェコフがこんがり焼かれたーっ!

 なんという、番狂わせ…一回戦、勝者はユキネだぁーっ!!」


『ウオォォォォォォォオ!!』


 会場が揺れんばかりの歓声と私に向けられた拍手、

「た、堪らない…わ。」


 何千、何百という人に拍手をもらい

 高揚感で全身の鳥肌が立つ。


「ふふふっ、いいわね。たまらないっ!!」


 新たな快感を得た瞬間だった。


一回戦を圧勝したユキネ。

続く二回戦へとコマを進める。

しかし、反対側のトーナメントではもう一人の神威使いが…?

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