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堪らないわね、この異世界  作者: 佐藤釉璃
冬海 雪音
13/32

12.嵐の前触れ

※15話から、本格的にユキネが覚醒します。

「ユキネさん、ここが街の中央通りです!」


「すごい…。」


 私は今ミーアアクアリスの中央通りに買い物に来ている。

 石畳の道の両側にはで店のような店がずらっと並んでいる。

 果物が並んでいる店、魚が並んでいる店、本が並ぶ店、

 なかには武器屋、防具屋なんてものもあった。


「ねえ、ミーア。あの大きいドームみたいなのは何?」


 中央通りのつきあたりにある、

 まるでコロッセオのような大きなドーム。


「あれは武闘会が行われている会場です。

 武闘会というのは、2人の決闘者がどちらかが気絶するまで戦って

 その勝敗を観客が予測して、お金を賭けるんです。

 決闘者の勝者にはもちろん高額の配当が与えられます。」


 なによそれ、野蛮な賭け事ね…。

「そう…ミーアもやったことあるの?」


 ミーアのような可愛い子がそんな野蛮な事をするはずがない。

「もちろんですっ!昨日も勝ったお金で馬車を見繕いました!です!」


 なんてこと…

 ミーアがギャンブラーだなんて…しかもやり手の。


「え、えっと…昨日はいくら勝ったの…かしら…?」


 ちなみにこの世界にお金の単位は存在していない。

 白金貨・金貨・銀貨・銅貨の4種類の硬貨で経済はまわっている。

 露店を見て、日本円で換算すると

 白金貨1枚が1,000,000円

 金貨1枚が10,000円

 銀貨1枚が1,000円

 銅貨1枚が100円といったところだった。


「昨日は調子が悪くて、金貨30枚ほど…です。」


 ミーアの表情が一瞬ダークに……気のせいよ。

 つまりこの子は半日で30万円も当ててきたというわけね…。

 意外と美味しいじゃない、武闘会。


「ミーア、すごいじゃない!私も、やろうかしら…。」


 野蛮な賭け事だけれど、その、稼げるのなら、いいわよね?

 お金のない私にとっては美味しい話じゃない。


「ユキネさんもやりますかっ?ですっ!!

 じゃあ早速いきましょう、っです!」


 そう言うとミーアは私の手を引いてコロッセオに走りだす。


 コロッセオにつくと中から歓声が聞こえてきた。

 相当盛り上がっているらしい。

 そんななか、

 ミーアはさっさと受付を済ませて先に走って行ってしまう。

「え、ちょっと。ミーア…。」

 取り残された私。でもまぁ、文字は読めるのだから心配ないわね。


 そう思って受付のガタイのいいお兄さんに話しかける。


「すみません。私も武闘会に参加したいんですけど、

 申し込みはどうすればいいのでしょうか?」


 お兄さんが私を睨む、怖い。


「おぉ?ねえちゃんも武闘会に参加するのか!

 こんな美人なねえちゃんも参加するのか、

 ますます今日の武闘会は盛り上がるな!!ガハハっ

 面倒な手続きは俺がやってやるから、

 ねえちゃんは中に入ってもらっていいぜ!!」


 そう言われた私は紙を持たされて

 ミーアとは違う入場口へと案内された(事にはこの時気づいていなかった)



 案内された部屋には壁一面に刀や剣、槍、弓…所狭しと武器がかけてあった。

 ここまで来て違和感に気づく。


 部屋の中にいるのは屈強な男の人ばかりだということに


 頭のなかで最悪の仮説がたてられる。

 まさかとは思う、この仮説を覆してほしいと心から思う。

 自分の言動を呪う。なぜ「武闘会に参加したい」などと言ったのか。


「いや、きっと…。

 これは、間違いで……これから客席に案内されて…」


 ドアが開く、さっきのお兄さんが入ってくる。


「さあ、決闘者の諸君。今日の掛け金はいつもの2倍はあるぞ!

 存分に戦ってくれたまえ!!」

『うおぉぉぉぉぉぉおっ!!!!』

 部屋に男たちの雄叫びが反響する。




 終わった。




 心のなかでそう呟いた。







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