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GAME after DEATH  作者: 硴月 楸
死者たちは生を求める
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68. Two Night.

跳躍と共に翼を広げると、船長はそのまままっすぐ神の方へと加速していった。

「セイナにだけいい格好はさせねーさ」

いつの間にかすっかり強くなった部下を想い、つぶやく。

単なる思いつきでソラたちにセイナを預けてからというもの、随分と成長したものだ。長い間を共にしてきただけあってなんだか我が子のように思っていたが……セイナの成長は嬉しいと共になんだか少し切ない。船長は悪魔故、この気持ちがなんなのか…は正直わからない。それは、負の存在にとっては縁遠い感情だ。

「本当、皮肉なもんだな」

悪魔でありながら「愛情」を持ち合わせている。

「ある意味俺とあんたは似た者同士だよ。……なぁ、神様?」

声をかけるも答えは無い。代わりにうめき声をあげ、神だった存在はズルズルと大樹の裂け目から這い出続けていた。あたりの草木はみるみるうちに枯れ、朽ちていく。これも神の力によるものだろう。

目の前にすることで尚更船長は嫌な役目を押し付けられたものだと息を吐いた。

「とは言え、だからこそ俺があんたをくいとめなきゃならないんだ。あなたを救いたいって馬鹿が居るようだしな」

船長は先ほどセイナから受け取った短剣を取り出すとそれを構えた。

「知ってるか?俺の物この件は元はバジリスクの財だったもんだ。昔あいつとはいちど手を組んでな、その時にもらったのもなんだが…これがまた便利なするものでな、奴の魔の力が込められている…この意味わかるよな?」

ピタリと化け物の動きが止まり、船長は薄く笑んだ。その表情はまさしく悪魔そのものだ。バジリスクの力…それは背にある瞳が宿す「石化」の力……

「つーわけで、しばらくあんたを封印させてもらうぜ、神様よっ!」

刹那、船長の手から短剣が放たれ、化け物の額に刃が突き刺さった。化け物はつんざくような悲鳴をあげ、あらぬ方向へのたうちまわる。その度に剣の柄と船長の手を繋ぐ細く白い糸のような光の線が揺れる。

この短剣は最後にその柄に触れた者の力を使用して魔の力を発動できる特殊なものだ。だが同時にものの数分で悪魔の力を全て喰い尽くすほどに力を使用してしまう危険がある。この光の線はその力の供給ラインとなっている。

「……っ………さすがにつれーな、こりゃあ…」

身体中から力が吸い出されいく感覚に思わず顔をしかめる。しばらくは力の温存をしていたため通常よりはまだ長く保ちそうだが、さすがに危機を感じる。化け物の動きもだいぶ鈍くなってきているが、果たしていつまで保つか……

「早くしろよ……ソラ、ミユキちゃん…っ」


****************************

「いいから早く乗れ!!」

島に残るの逆神会たちの避難を急ぐセイナたちは、船長のおかげあってとりあえずは順調に避難を進めることができていた。

「しかし…ミユキさんを残しては……」

「そのミユキの頼みだよ、ほら行け」

どうしても留まろうとする猫目の少年の背を押して行かせて最後だ。幸い、逆神会たちはセイナたちより化け物の出現に対しては冷静だった。2人が来る前にすでに自分たちでも避難を再開していたのだ。さすがの一言に尽きる。

「よし、これで終わりだな」

「うん。あとは……」

瞬間、叫びが轟いた。

耳をつんざくような悲鳴に2人は思わず振り向いた。あの化け物の声のようだ…

「船長…?」

「一体なにやってんだ…あの人」

苦しそうにもがく化け物の姿を見るに、おそらく船長が何か手を打ったようだが……2人には皆目見当がつかない。

「と、とにかくアタシたちも行こう!」

「そうだな…………っ!?ちょっと待て!」

不意に気配を感じたトウヤは踏み出そうとしたセイナの手を引き、受け止めた。

「え、ちょっ!?」

「……どうやら、そう簡単に船長のとこまでは行けそうにないみたいだ」

苦々しく言うトウヤにつられ、先程行こうとしていた方角を見ると、そこには逆神会たちが倒したはずのゾンビたちがゆっくりと身を起こしていた。神の叫びによって再び復活したようだ。

「うそ……」

「俺はゾンビゲームとかあんま得意じゃないんだけどなぁ…」

冗談めいたことを言いながらトウヤは巨大な刃を構えた。

「あ、アタシも…」

腰に手を当ててハッとする。ついさっき船長に短剣を預けてしまった。つまり、セイナは丸腰なわけだ。戦えない……その事実が今になってひどく胸に刺さった。

「心配ないって」

青ざめるセイナにトウヤは笑った。

「俺が守るからさ」

「……ごめん、なさい…アタシ……」

「謝んなくていいって。セイナちゃんにはセイナちゃんにしかできないことがある。それだけだろ」

セイナの弱音なんて聞かず、トウヤはただ笑っていた。それがセイナにはとても心地よかった。そうだ、今は弱音なんて吐いていられないのだ。

「……わかったわよ…守られればいいんでしょ」

「そういうこと。じゃ、ちょっと待ってな」ぽんぽんと肩をたたくと、トウヤはセイナを背に構えた。目の前には一千もの敵の姿。しかし、トウヤはひるむことなく言い放った。


「…すぐ片付ける」



───そして、暖かな声が響いた。


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