57. At least last.
……今回、ちょっとスランプ気味です…。
すみません(~_~;)
目の前の光景は到底信じられるものではなかった。
暗闇の森でミユキが倒したはずの魔女もだが、それよりも…
「し…シロ……」
懐かしい仲間がそこにいた。
……いや違うか…こいつの正体は神だったのだ。僕たちの知るシロはニセモノだったのだ…。
「ハ?あんたなんか勘違いしてナイ?」
「え?」
響いた声は聞き覚えがあるものだが、どこか雰囲気が違う。
「ボクはシロじゃない。ボクはクロ…悪魔だ」
「クロ?え…でも……」
「髪とか目の色とか違うダロうが、ちゃんと見ろヨ馬鹿人間」
なぜか暴言を吐かれたがともかく…たしかに髪の色も目の色も名前どおりの真っ黒で、闇しかないここではそれが同化してしまいそうなほどだ。
だが…だとしてもやはりシロという存在が頭をよぎってしまう。気づけばその気持ちは言葉として口をついていた。
「シロは…」
「あいつは死んだよ。当たり前ダロ」
クロの言葉に目を瞬いた。
何を言っているんだこいつは…シロは神の仮の姿……死ぬなんてことがあるはずない。
「ナルホドね、ここも勘違いしてるわけダ。ダメダメだなアンタら」
「ちょ、ちょっと…さっきからなんなのよ!」
さすがに頭にきたのかセイナが声を上げた。
しかし…
「誰が話していいと言っタ?餓鬼は黙ってイロ」
ずっと口を閉ざしていた魔女が低い声で唸り、セイナは一瞬で黙った。
森でのこともあって魔女は苦手なのだろう。まぁ、苦手でなくてもこの威圧感なら誰でも黙るだろうが。
「魔女、お前こそ黙っていろ。時間の無駄だ」
「調子に乗るナヨ…私ハ私を蘇らセたあのトカゲ以外の指図ハ受けん」
クロが嘆息する。
なにやらもめているようだが、すぐに僕らに顔を向けると話を再開した。
「……とにかく時間がナイ。僕らが先行スルから付いて来い」
「ちょっと待ってくれ!せめて答えろ。……シロは…神じゃなかったのか?」
背を向けていたが僕の声にしばし動きを止めると顔だけ向けて答えてくれた。
「アイツは神に身体と意識を乗っ取られていたダケのいたって普通の魔物ダ。…お前だって同じヨウニなるはずだったんダガな」
「………シロが…」
「…少なくとも神に操られながらもアイツはお前たちを大切に思っていた。それだけは覚えておけ」
「………っ!」
セイナが息を飲む。
「あいつが…」
トウヤがつぶやく。
「……………」
ミユキが押し黙る。
海賊船で「僕」が神に乗っ取られかけた…そんな僕だからわかる。
それはとても辛いことだ。
心の奥底に生きる「僕」の意思など関係なく体が動き、考え、話している。
それはとても辛いことなのだ。
ましてや仲間が神の標的とされていると知ったら気が気ではない。
そんなことをシロは背負わされていたのか…。
それなのに僕たちはてっきり「シロは神」と勝手に思い込んでいたのか…。
「まぁ…おかげでボクが生まれたわけだがな……」
クロが最後に何事か呟いた気がしたがそれは僕の耳には届かなかった。
だが、その代わりクロとの先ほどの会話がどうにも気になっていた……。
「トニカクいいから付イテ来い!主様の元へ急ぐぞ!!」
「赤髪の餓鬼、ソノ魔物二ついて来るよう言いナ」
「っ!!さ、サーモン!クロについて行って!」
声を荒げて言うクロにより我に帰ったミユキは魔女の言葉に従いサーモンに指示を出す。
「それじゃ行くヨ」
「遅レヌようにナ」
言うや否や魔女とクロは宙を蹴り、跳躍した。サーモンはそれに遅れぬようその後ろに続いて超特急で上昇していった。
その勢いは息もできぬほどで顔を埋めて耐えるばかりだった。
これほどのスピードを出さなければついて行けぬほどの速度でクロたちは主様…ドラゴンの元へ向かっている。それはつまりそれほどにドラゴンが危機的状況に陥っているということなのだろう。
………一体、神は何を…?
────…しばらくして、まぶたの裏に光を感じ、目を開くとそこはやはり闇。
しかし、目の前にはそれ自体が燦然と輝き光を放っている島…らしきものが浮遊していた。
島が光るとか、島が浮いているとか……非現実のオンパレードだ…まったく。
「なによ…ここ」
「これは…」
「ココが神の島。この世界を照らす光であり神の住処ダ」
「簡単な話、コレがオ前達が見てきたコノ世界の太陽がこれサ」
「えっ?!」
魔女の言葉に僕らは思わず目を見張った。
これが太陽の正体なんて…確かに光ってはいるけどとても信じられない。
それに、ここに神がいたなんて…通りでだれも神を見つけられないわけだ。
『暗く閉ざされた空間』か…。確かにその通りだった。
「……ここから先はボクは主様の足手まといにナルから行けない。後はお前達ダケで行っテくれ」
そんな折にクロが先ほどまでの勢いは消え、弱々しく言った。
「代わりに私ガ最後までツイテ行ってやるヨ。まぁ、此奴とは違イ神の場所なんて知らナイけどネェ」
代わって魔女が嫌味ったらしい笑みでサーモンの横に漂ってきた。
「なら神はどこに…?」
「島の中央。祭壇にいるはずダ」
ミユキの質問にクロはすかさず答えると、もう用はないとばかりに背を向けた。
こいつは…このためだけにここまで来てくれたのか?
いや、違う。
こいつは……
「クロ!お前は…なんだ?」
最後に聞いておきたくて問いかける。
「なんだ、藪から棒に…」
「答えろ」
「………………」
凄むとしばしの沈黙の後、クロは僕のそばへ寄ってくるとようやく口を開き、そしてすぐに僕から離れていった。
彼は言った。
「ボクハ…悪魔。ただの心の闇ダヨ」
…そう、言っていた。
「サーモン!島の中央へ!!」
ミユキの声でサーモンが動き始める。
「………後悔という…タダの心の闇なんダヨ…」
…そう、言っていた。
サーモンは速度を増し、クロを置いて闇を駆ける。
「……何もできなくてごめん、ソラ…」
……そう、言っていた。
思わず振り返るが、クロはすでに闇に溶けて消えていた…。
(解説)
わたしの表現力不足を感じたので一応…
クロの正体は悪魔。
でもただの悪魔ではなくシロが死ぬ寸前に心に抱いた「後悔」から生まれた悪魔なのです。
しかし、悪魔はその媒体となる心の闇がなければ消えてしまいます。(我が小説の設定上)
その他の悪魔は大衆の心の闇から生まれたので大丈夫ですが、クロの場合その媒体はシロの心の闇オンリーなのでシロがいない今、消滅の危機が迫っているのです。
だから「時間がない」のですね。
はい、以上。解説でした。




