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GAME after DEATH  作者: 硴月 楸
死して生を知る
50/73

49. Now we go.

夜中に失礼。

今回は三人称です!

──────パァン!


突然の銃声にセイナとトウヤの体は固まった。聞こえたのは船内。

見合わせた顔は互いに蒼白かった。

「い、今のって…」

「たぶんソラの銃のだ。…何かあったみたいだな」

いつにも増して緊迫した真剣な声にセイナも自体の大きさに身構えた。

先ほどまで続けていた「盗み聞き」の件についての問答も頭のどこかへ消えていた。

「船長、ソラの部屋に行きたいんだが…場所を教えてくれないか?」

いち早く動いたトウヤが呆然としていた船長に声をかけていた。

船長はハッとしたように部下の一人に聞くと、「案内する」と船内へ駆けて行った。

船長は仮にも悪魔。

気配の察知や精神的波を感じ取るのは得意だ。

しかし、その上をいくのが神。

気配も悟られることなく船長の領地に足を踏み入れるなど神にしか出来ぬ技なのだ。

「ちっ……どうりでミユキちゃんは…」

先ほどトウヤと同じように問いかけてきたミユキはこのことをいち早く察知していたのだろう。

なのにのんびりと彼女を引き止めていた自分に腹が立って仕方がなかった。

「ミユキちゃんがどうかしたのか?」

後に続いて船長の独り言を目ざとく聞いていたトウヤは尋ねる。

「…ミユキちゃんはたぶん気づいてたんだよ」

「気づいてた?」

「……神がソラの精神を喰い始めてる。いや…もうすでに喰われてるのかもな」

それだけで状況を察したトウヤは眉間のシワを深くした。

最悪の事態として想定はしていた。

しかし、まさか本当に来るなんて思ってもいなかったのだ。

それほどまでソラに執着する理由が何なのか…


「チョ〜ット、待ッタ」


突然、目の前に爆風が起きた。

「ココカラハ通スナッテ言ワレテイルンデネェ」

船を破壊して現れたのは真っ黒な燕尾服の青年だった。

トウヤとセイナの顔が引き締まる。

彼がいるということはつまりダビュートが負けたということ。

「…………」

「ダビくん…」

くやしさに二人は唇を噛み締めた。

しかし、そんな中違う反応をしていた者がいた。

「……なんだ、お前かギュリィア」

ほっと安堵したように息をついていたのは船長。

「ゲッ……マクシュラ…」

嫌なものに出会ったと顔をしかめていたのは魔物だった。

二人の奇妙な反応にトウヤたちは目を瞬いた。どうやら船長とこの魔物には何か関係があるようだった。

「船長…知り合いなんですか?」

「ああ、こいつも悪魔だ」

セイナが恐る恐る訊くと実に簡単な答えが返ってきた。

「悪魔?!」

「しかも元俺の部下」

「部下?!」

「つまりお前の先輩だな」

「先輩?!」

いきなりすぎる事実が怒涛の勢いで語られセイナは目が回るようだった。

「そうだよなぁ、ギュリィア」

じとっと見つめると魔物…ギュリィアは反抗的な目をしながらもシルクハットで顔を隠す。それは肯定を表している。

どうやら船長の話は本当のようだった。

「……なんだそれ」

「で、でも船長、この人は神に仕えてる人で…」

「は?何言ってんだ、こいつはド…」

「マクシュラ!黙レ!」

ギュリィアの怒鳴り声に船長はおもわず黙り、そして


「…誰に向かって口を聞 イ テ イ ル …?」


悪魔の面を露わにする。

「……っ!?」

「元だからってオレの怖さは忘れてねぇよなぁ?」

「…ダカラト言ッテナンデモヤッテイイト思ウナ!」

「なんだ、また下剋上でもする気か?」

「マクシュラッ!!」

「アッハッハ!図星か?」

先ほどまでの緊張状態が嘘のように船長は明るく笑い、トウヤたちの肩からは力が抜けてしまう。

「大丈夫だ、今は神のやつソラにかかりきりだからな。何話してたって気にもしねぇさ。…てわけだから」

突然船長は振り返るとトウヤ、セイナを見つめた。意地の悪そうな笑みを浮かべたまま言う。

「お前らはソラを助けに行け」

「えっ…」

「ほらほら早く」

二人の背中を押し、ギュリィアの横からすり抜けさせる。が、そう簡単に通してもらえるはずもなく、あっけなくギュリィアの手に阻まれた。

「話聞イテイタノカ?主人ノ命ニヨリ通スワケニハイカナイ」

「心配いらねぇよ、策はある」

「ソウ簡単二信ジルト思ウカ?」

「元オレの部下だったんだ。お前のことはそれなりに分かってるつもりだぜ?」

「…………チッ」

勢いに負けたように手を下ろすのを見計らって船長は再度二人の背中を押す。

「せ、船長…!」

「じゃ、あとは頼んだよ」

「…もちろんだ」

トウヤは頷くとセイナの手を引いて走り出した。

セイナの脳裏にはツリーハウスでの出来事が走馬灯のように映し出される。

「トウヤ!船長が…」

「今はソラたちが先だ。船長も言ってたろ?」

セイナは一瞬振り向きそうになる。が、すぐに前へと向き直った。


「……さぁて、それじゃあ悪魔同士腹を割って話そうじゃないか…なぁギュリィア」


背後のそんな声はもう二人には聞こえはしなかった。






廊下をまっすぐ走ってすぐに左に曲がるとようやく目的の二人を見つけた。しかし…

「な、何やってるの!?」

「なんで二人が…」

ソラとミユキ。

二人はなぜか各々の武器を手に戦っていた。

ソラが銃弾を放ち、それをミユキは二本の剣で払い接近しては銃と剣を交差させている。

見ているだけでも本気だということが伝わってくる。

「止めなきゃ…は、早く止めなきゃ!」

焦ったようにトウヤに訴えるが、トウヤは難しい顔をするだけで動こうとはしない。

「どうしたの!早くしなきゃ…」

「俺たちに出来ることなんて…ない」

「なん…で……」

「あれはソラがどうにかしなきゃならない問題だ。俺たちじゃ今のソラの心に声すら届けられない」

ソラは神に精神を乗っ取られている状態。そんなソラを止める手立てなど…殺す以外の道はなかった。

そう告げるとセイナも顔を青くして俯いた。

「でも…」


「ナラ…力を、貸しまショウか?」


不意に背後に声がしてトウヤはとっさにセイナを守るように剣を構え振り向く。

…するとそこには誰もいなかった。その代わりそこにあったのは黒い雲のような奇妙な物体だった。

「なんだ、これ…」

「いやだなぁ、忘れたんデスか?ダビくんデスよ、ダビくん!」

「へ?ダビくん?」

出てきた名前に反応してセイナもトウヤの肩越しからじっと観察するが、どうしてもただの黒い何かにしか見えない。

すると、それを察したのか自称ダビュートは説明を簡単に加えた。

「神たちにコテンパンにサレタせいで具現化が上手くできなくてデスねぇ…ってそれより、手遅れになる前に始めマスヨ!」

「始める?何を?」

「精神への干渉デス」

言うや否やダビュートはソラとミユキの先頭の最中に突っ込んでいき、二人の間で静止すると途端に結界のようなものをトウヤ、セイナ、ミユキの三人の周りに張り巡らせた。

「トウヤ?セイナちゃん?な、なんなのこれ?!」

戦闘中だったミユキは動きを止め、ようやく背後に立つトウヤたちの存在に気づいたようだった。

一方のソラは理由は不明だが、突如力が抜けたように地に伏していた。

訳が分からずトウヤやセイナは愚か、ミユキまでもが手を止め呆然としていた。

そんな中、頭の中に直接響くような声が聞こえてきた。

「今から皆さん三人をソラの精神世界に送りマス。なのでそこでソラを説得し、連れ戻してきてクダさい」

いきなりの言葉に皆は反応ができなかった。しかしそんなの御構い無しに話は進んでいく。

「恐らくは防衛策として精神世界では何かにしらが起きると予想されマスが……そこは皆さんに任せるしかアリません。…この人のためにも頑張ってくだサイ」

「ち、ちょっと待っ…」

「デハ、ご武運を」

そんな声が聞こえたと思ったら黒い雲のダビュートは泡のように消えた。





───刹那、世界が黒く染まった。




音も光も何もない空間。

見えるのはミユキとセイナとトウヤの姿、そして前方に忽然と現れた真っ白な大樹。

よく見ればその木の幹にはソラらしき姿が見て取れた。

蔦が絡みつきほとんどその姿は隠れていたが、それでも彼らにはそれがソラだとすぐにわかった。

「ソラッ!」

ミユキが叫び、駆け出そうとするがその瞬間ふと気がついた。


…足が動かないのだ。


見ると足元には目の前の大樹と同じような純白をした蔦が3人の足元を覆っていた。

しかもその蔦は徐々に体を覆うように絡みつき始め、そして、あっという間。

悲鳴をあげる暇もなく彼らは白に包まれた……。





次からはミユキたちのトラウマとかほじくるかもです。

ごめんよ、皆…ゆるしてくれぇ

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