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GAME after DEATH  作者: 硴月 楸
死して生を知る
48/73

47. Madman.

ソラくんの過去です。

…短くなってしまいました

昔から物分かりのいい子供で、いつも幼いながら泣くこともなくワガママを言うこともなく他の子供たちとも遊ぶこともなく、ただただ本ばかりを読みふけっていた。

そんな僕を大人たちは見ては「気味が悪い」と吐き捨てていた。

…今思えばこれが既に普通の人ではない証拠だったのかもしれない。

だけど、そんな僕でも両親は大切に大切に育ててくれた。


『まるで本当の我が子(・・・・・)のように…』





その事実を知ったのは6歳の時。

偶然両親が夜中にこっそり話しているのを耳にした。


「私……話そうと思うの…。あの子が私たちの子じゃないって……」


耳を疑った。

話を聞くと僕はどうやら捨て子だったらしいのだ。

「まだ早すぎるだろ!あの子はまだ小学一年生。受け入れることなんてとても…」

「だからこそよ…ただでさえ近所の人からは親に似てない、きっと養子よって陰で言われてるのに、学校でそのことがバレていじめられでもしたら……」

「いくらなんでも心配しすぎだ。そんなことには…」

「未来のことなんて誰にもわからないわよ!」

母の怒鳴り声を初めて聞いた。

僕のことを考えて、考えて、考えて、考えて、考えすぎて未来に不安を抱え、母は苦しんでいるのだ。

それがわかった途端、体は自然と動いていた。


「僕、大丈夫だよ」


隠れていた物陰から出て、必死の思いで母が楽になれるような言葉を選んで言った。


「いじめられても気にしないよ。だって僕の方がすごいしいっぱいいろんなこと知ってるもん。僕、大丈夫だよ?だから…」


……刹那、僕はとんでもない失敗を犯したことに気づいた。僕を見つめる二人の表情はそれぞれで、父は驚き。母は…絶望だった。

「ソラ………なん、で?」

「あ……僕…」

人生で初めて選択を誤ってしまった。

誰も困らないように負担をかけたくなくて生きてきたのに…台無しだった。



───それからの僕の人生は最悪だった。


すぐ翌日から母はストレスで倒れ、両親共に僕から距離をとるようになった。

そして母がようやく回復したかと思うと今度は父が家を出て行く形での離婚。

僕は母に引き取られることになった。


……全部、僕のせいなのだろうか?


「母さん…僕……」

「…ごめんなさい」

何を言っても何を聞いても返ってくる答えはそれだけだった。

僕の中にはただただ申し訳なさがあって、悲しさは不思議となかった。

僕がこの人たちに拾われなければこんなことにはならなかったのかもしれない。

だけど今更死んでも迷惑になるだけだ。

なんで母は僕を拾って愛してくれたのだろう。

なんで母は僕のことをいつも考えてくれたのだろう。

逃げることは簡単だ。でも、それをしなかったのは母を一人にしてはいけないという気持ちと一人になりたくないという気持ちがあったから。

依存するような形になってしまったが、それでも昔の母のことが忘れられなくて、本当に心から大好きで…いつかあの時の母に戻ってくれると信じていたから。

だから僕はそれからいっそう母に迷惑をかけまいと毎日毎日勉強に明け暮れ、友人なんて作る暇もなかった。

おかげで学校ではいじめの対象となった。


「キモイんだよ根暗」

「あんたがいるだけで空気が悪くなる」

「死ね」

「正直邪魔」

「なんで生きてんの?」


気付いた頃にはもう遅くて、いじめはエスカレートし、命の危険すら危うくなる時もあった。


…そのせいで僕は人が嫌いになった。


世界中にこれらと同じものがうじゃうじゃいるのかと思うと吐き気がした。

…はっきり言って僕は狂っていたのだ。

孤独になることがただただ怖くて…それだけだったのに……。



……それでも悪夢は終わらない。


今度は母が死んだ。たぶんストレスのせいだった。

医者の話はほとんど頭の中をすり抜けていって聞いてなかった。

…僕は全てを失った気分だった。


なんのために勉強をしていたと思う?


なんのために友人を作らなかったと思う?


なんのためになんのためになんのためになんのためになんのためになんのためになんのためになんのためになんのためになんのためになんのためになんのためになんのためになんのためになんのためになんのためになんのためになんのためになんのためになんのためになんのためになんのためになんのためになんのためになんのためになんのためになんのためになんのためになんのためになんのためになんのためになんのためになんのために!


……僕は絶望していた。




────…そして気づけば、僕は歩いていた。


イヤホンから流れるお気に入りの音楽もただの音の波となってすり抜ける。

濁った空をぼんやり見つめながらなんの意味もなく歩く。

全ての意味をなくして僕は一体これからどうすればいいんだ。

生きる意味なんてもの、もうないのに…なんで生きなければならないんだ。



人のざわめきが聞こえる。


車のクラックションが聞こえた。


突然大きな影に覆われた。


視線を横に動かすとトラックが目の前に迫っていた。



「ああ…死ねるんだ」



思ったことはそれだけで、不思議と笑みがこぼれた。

僕は、その日初めて自分から逃げた。


とても楽になれた気分だった。



*************************


世界は暗闇に包まれていた。

そんな中でも声がする。


『思い出しちゃったね』


…これが……僕?


『そうだよ。これが君だ』


嘘だ…こんな狂った奴が僕なんて……こんなの…


『ふふっ、ひどい言い様だね』


……なんで笑ってられるんだ…こんなに気持ちの悪いやつ相手に。


『それは昔の話じゃないか。今の君は少なくともまともだろ?』


………どうだか…僕はいつも何かから逃げていた。


『確かにね…でも、それでも君はミユキと会って変わっていった』


それは記憶がなかったから


『だけど確かに変わっていた』


変わっているもんか、僕は人に依存してなけりゃ生きてけないようなやつなんだ…いつも逃げて、記憶まで失って……


『それは少し違うよ』


何が?


『依存していたんじゃないよ依存させられていたんだよ』


…どういうこと?


『全部仕組まれていたことだったんだよ。君がまた人を嫌いになるようにするためにね』


何を言っている?


『気づかなかったの?君が御原家に拾われたのも、君の母がおかしくなったのも、君がいじめにあったのも、君が嫌なことがあれば逃避するようになったのも、君が今ここにいるのも、全部仕組まれたことなんだよ』


「何を、言ってるんだよ…」


『君はね、ワタシの手の内で転がされてたに過ぎないんだよ』


「お前……誰だ、誰なんだ!?」


『ワタシは君の本当の生みの親だよ…ソラくん』


目の前に(もや)のように霞んだ誰かが立ち上がる姿があった。

それは徐々に形をとり始め、ついには先ほどまで目の前にいた髪のやたら長い「神」が現れた。


「………っ!!」


『大丈夫、恐れることはないよ。だって…』


声が虚空に響き渡る。



『…だって、もう遅いんだからさ』



世界は色を失った。



『ワタシに隙を見せたからこんなことになるんだ。悪いのは君さ。でもまあ、もう大丈夫だよ。あとはワタシに全てを委ね、ワタシを信じてさえいれば心配はいらない』


「……な、にを…」


不思議なことに口が上手く回らない。

まぶたも重くなってきた……だるい。



『…つまりはね、君はワタシのものになるのさ』


意味がわからない、そう口にしようとしても口が開かず言葉にならない。

軽いパニックの中、神がスルスルと僕の方へ近づいてくる。

気づけば僕の足はツタのようなものに絡め取られ、動けなくなっていた。逃げられない…!


『大丈夫、君の人に対する憎しみや恨み、そして絶望の感情は残してあげる。だけど、それ以外は…いらないよね』


何をする気なんだ。

声にはならなかったが神は察したように笑みを深くした。


『原点に返すだけさ、心配なんて必要ないよ。というかそもそも君に絶望を抱かせるために今まで放っておいたんだからね』


神は鼻先が触れ合うほど近くに来ると目を細め僕を見つめた。


『…それじゃあバイバイ、ソラくん』



……刹那、身体中から意識が力が抜け落ちた。


僕は…「ソラ」は深い眠りについたのだった…。



現在スランプの為、話がよくわからなくなっております(´・_・`)

申し訳ないです…

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