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GAME after DEATH  作者: 硴月 楸
死して生を知る
44/73

43. Talk to you.

港から森を避けるようにその周りをしばらく走ると賑わいはいつの間にか消え、人っ子一人いないそれはそれは険しい海崖に着いた。

あちこちの海面に岩がむき出しになっており、波が打ち寄せては高い飛沫を上げていた。

こんなとこのどこに船を停泊させているのか正直疑問だったが、船長に続いて歩いていくと緩やかな坂を下り、あっという間に崖の下の洞窟へとたどり着くことができた。

洞窟の中は暗くジメッとしており細い道が続いた。


「ここだ」

細い道に従ってしばらく歩き、船長は言うとようやく足を止めた。

道の先には広いドームのような空間が広がっていた。そこには海とつながる泉が広がり、そして場違いなほど派手な色をした船が停泊していた。

あれが海賊船だろう。それ以外に考えられない。

僕は確信するとようやくの目的地に足から力が抜け、地に崩れ落ちた。

しばらく休んでいないのでそのツケがまわってきたようだ…。足痛い…。

「ソラ、早く船に乗ろう」

休むためにも、とミカが手を伸ばしてきたのでそれに助けられながら僕はそのまま引っ張られるようにして海賊船へと乗り込んだ。




「…もういいか」

皆が船に乗り、慌ただしく出航を終えてしばらくがたったころに船長は呟き、振り返ると厳しい表情で僕らを見回した。

海のさざ波の音がやけに耳に残る。

潮の香りがどこか心地がいい。

「いい加減、何があったのか話してもらうぞ」

船長の一言に一瞬で甲板に集まる皆の空気が引き締まった。

逃げることに必死で話すことを忘れていた。

だが、話すとなるとどこから話していいのやら…

困っていると「いや違うか」と髪をかき乱しながら付け加えた。

「それよりまず聞くことがあったな……とりあえずそこの二人のことを教えてくれ」

船長はミカとトウヤへ視線を向けると問うた。その顔には笑みを浮かべてない。

どうやらこの人は身内には甘いがその分他人に対しては少し冷たい人のようだ。まぁつまり、僕も身内ということになっているようだ。……以前の僕は一体何をしたというんだ…?

「俺はトウヤ。もとは情報屋をやっていたが、こいつらの案内をするために今は休業中だ」

トウヤが進み出て自己紹介をする。続くようにしてミカも…

「お久しぶりです、船長さん。私はミユキです」

「ミユキ」がぺこりと頭を下げると船長は目を見開いて驚いた。

「…ミユキちゃん……君が?」

「はい」

まっすぐと船長の目を見つめミユキは頷いた。

途端に船長の表情は一変、笑顔が広がった。



……そうだ…こいつはミカじゃないんだ…



今更になって思い出し、反する僕の顔は曇っていく。

「ミユキ」は僕の…




頭に鈍い痛みが走る…。





──…それは記憶の歪み……。










『…また忘れるの?』









「…ソラ……ソラ?」

「っ!な、なんだ?!」

突然肩を掴まれ、反射的にその手を払った。


……その手はミユキのものだった。


「…あ…ごめん…」

「いいよ。それより、ソラ疲れてるみたいだし、とりあえず休んで来たら?」

「え…いいのか?」

視線を巡らせるとみんなの疲労しきった顔が映る。僕だけが休むわけにはいかないだろうが…

「もちろん俺たちも休むに決まってんだろ。な?」

「え…あ、そうよ!あたしたちも疲れてんだから」

「船長には私から話しとくから…ね、休んだら?」

揃ってそう言われては断る気にはなれず、これ好機とばかりに休むこととした。

「なら部下に案内させよう。部屋なら余るほど空いている」

そう言って甲板にいた海賊の下っ端を呼ぶと、僕を案内するよう指示してくれた。

海賊のくせして優しい人だな。

思いながら僕は重い足を動かし、その海賊の後を追う。

とりあえず今は休むことを優先しなければ…。



*************************


「…で、何があった?」

ソラが甲板から消えるのを見て船長は問うた。

「あいつには話せないような内容なのか?」

「はい」

「……神がらみか?」

「何故それを知って!?」

私の驚きに船長は瞼を落とした。

「…何かつながりでもあんのか?」

「ちょっと!トウヤ!」

トウヤの発言をたしなめながらセイナも少し不安なのかちらりと船長に視線を向けては俯いた。

船長はそんなセイナを一瞬うかがうように見ると決心したように口を開いた。


「……俺は悪魔だ」


私たちにだけ聞こえるような小さな声で船長は告げた。仲間には知られたくないのだろう。


悪魔…ダビュートと同じ悪魔…。


船長までもがそんな秘密を隠していたのか。

「ならダビュートを知っていますか?」

「ダビか?一応知ってはいるが、基本悪魔たちはあまり接触することがないからな。今何をやってるかまではさすがに……お前ら知り合いか?」

「ええ…まぁ……」

「にしても船長さんまで悪魔とは…」

「まあな。だから…実はあの時ソラとミユキちゃんに会ったのは偶然じゃない。俺がそうした。神の手が回る前にソラを殺そうとしたんだが…結局、失敗した」

「ちょ…ちょっと待って……船長、嘘だよね?!」

私もトウヤも船長の言葉を受け入れたが、たった一人セイナは…戸惑っていた。

一度にたくさんの事実を告げられ、整理が追いつかないのかセイナが顔を真っ青にして手を上げる。

「セイナ、戸惑うのもわかる…が、嘘偽りはない」

「で…でも……」

「……ミユキちゃん、セイナを外してもらってもいいか?」

船長はセイナの反応から彼女には今はまだ話すべきではないと判断し、私に許可を求めてきた。…私も同意見だったので「…わかりました」とすんなり頷いた。

船長は再び部下を呼びつけるとセイナを連れて行くよう指示した。

もちろんセイナは抵抗したが、船長が強く言うと黙って従った。


「というわけで、だ。次はお前たちの番だ」

残った私とトウヤに向かって船長は少しイラつき気味な声を上げた。

「いい加減話してくれてもいいだろ?」

「……そうですね」

船長も仲間にすら話したことがないようなことまで話してくれた。私たちも何も話さないわけにもいくまい。

私は今までの事の経緯を簡単にして説明した。

ダビュートや神、シロ、神に付き従う魔物のことすべて。

「……なるほどな…それは大変だったな。仲間が神で、しかもソラをなぜか狙っている…」

「その理由がなんなのかがわからないんだがな」

「私、知ってるよ」

言うと二人は目を見開き私を信じられんとばかりに見つめてきた。

「なんで知ってる?」

「砂漠の町で神がそう言ったんだ…」

その言葉でトウヤは納得したようだが、反して船長はますますわけがわからないと言ったように眉を顰めた。

そうだ、この人にはまだ話してないんだ。

「……詳しく教えてくれないか?お前らの知り合いとして、そして悪魔としても聞いておきたい」

決意の見える瞳が私を見据える。

本当に船長が悪魔であるのかすら怪しくなるほどその目は真剣そのものだった。

やっぱり人も魔物も同じなんだ…


「わかりました」


私は頷き、過去を思い返すように目を閉じた。

思いかえされるのは話すのも辛いような陰惨な記憶ばかり…でも、その中で唯一の光と言えるのがソラだった。


光が消えぬよう…私はそれだけのために戦う。


そのためにも私は全ての真実を知り、伝えなければならない。





「まず、話は私がこの世界に来た時にさかのぼります…」




それは、ソラの知らない話…




ようやく次回から過去編です。


……なんか頭の中こんがらがってきた…(ー ー;)


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