39. Invasion not to stop.
更新、遅れました!ε-(´∀`; )
…これで夏ネタ終わりです!早いものだ。
僕が溺れるという事件の後も海で存分にはしゃぎ、さすがに疲れてきたので僕らは一先ず店に戻ることにした。
……のだが…
「というわけで、第一回肝試し大会開催だぁああ!」
「だから何故に?!」
店への道がある森に入ろうとするとトウヤが両手を広げて行く手を阻み、突然肝試し大会の開催をここに宣言した。
「あぁ…あぁあんた!アタシがお化け嫌いなの知ってて言ってるの!?嫌に決まってるでしょ!」
大のお化け嫌いであるセイナは当然のごとく猛反対した。
「その点は心配ない!セイナちゃんは俺と行けば大丈夫だ!」
「どこからそんな自信が出るのよ…」
「肝試ししながら俺が存分に笑わせてやるから」
「肝試しをしないという選択肢はないの!?」
「ない」
爽やかスマイルを浮かべるが、言ってる内容はセイナにとって最悪以外の何物でもない。セイナはすっかり顔面蒼白になってしまっている。
…なんというサドスティック!
「でも、肝試しをする場所がない…。みんな疲れてるからわざわざ移動するわけにもいかないし」
同情したのかミカがフォローを入れた。
…実際その通りだ。目の前の森は、肝試しをするほどの暗さはなく、むしろ木漏れ日が心地いいほどだ。
つまり、ここでは無理。
ならばどこでやるのかと考えるが、その前に遊びすぎた疲れがあり、移動なんてする気にもなれない…。
が、トウヤは笑顔を崩さなかった。
「それも大丈夫。待ってればすぐにわかるさ」
「どういうこと?」
訊いてもトウヤは答えず、ただただスマイル。
…お前の笑顔の方がよっぽど怖い気がするんだが…なんてこと言ったら殺されそうなので言わないでおこう。
僕らはトウヤに言われた通り、しばらく待ってみたが、とくに何が起こるでもなく、ひたすら心地いい風が過ぎ行くばかり…。
「…おい、トウヤ…」
痺れを切らして、僕が口を開く…と同時にようやく異変が起きた。
木々のざわめきがピタリと止まり、森の中に差していた日光が途絶える…。
わけがわからず、空を見上げてみるとそこには見慣れた空の代わりに鉛色の分厚い雲が広がっていた。
「なによ…これ…」
「いつの間に…」
「すげぇー…」
おもわず感嘆の声をあげた。
「これが、この島恒例の特殊な現象だ」
「? 何それ」
「この島にある木々の発する水蒸気がこうやって定期的に雨雲を生み出すんだ。それで突如こんな雲ができるんだってさ。しかも不思議なことに、雨雲なのに雨が降らないんだとよ」
「は?なんで?!」
「…詳しいことはまだ研究中だからよくわかってない」
「へー…」
「わからないことばっかりじゃない…」
納得する僕に反して、セイナは不満そうにぼやいた。
確かに神の居場所とかミユキって人の居場所とか…わからないことだらけだ。
「まぁ、この世界でも現実と同じでわからないことの方が多いんだ。仕方ねぇよ」
「むぅ…スッキリしない…」
「世の中そういうもんだ」
トウヤの言葉にイマイチ納得できてないようだったが、トウヤがなんとか丸め込み、セイナを黙らせた。
……わからないことの方が多い…か。
特に、僕にはわからないことが多い。多すぎる。
セイナやミカ、トウヤ、シロよりもわからないことが多い。
それもこれも彼らと過ごした記憶を全てなくしてしまっているから…。
……なくした記憶は…一体どんなものだったのだろう…。
悶々と考えにふけっていると、ふと視線を感じてミカを見た。
が、ミカは森の中の様子を伺っているようで、こっちなど全然見ていなかった。
…気のせいか…
そう思い、僕は‘‘もう一人’’を気にすることなくセイナたちの会話に戻って行った…。
…そんなこんなで、肝試しが始まった。
森の入り口から店までのルートを僕とミカ、トウヤとセイナとシロの2ペアで行くこととなり、しかも僕たちが最初の番と勝手に決定された。
…ああ、めんどくさい…。
「じゃあ、いってらっしゃーい!しばらくしたら俺らも行くからな」
「はいはい…」
半ば強制的だが、しかたなく僕とミカはトウヤの用意したロウソクを片手に森の中へ入って行った。
──森の中は想像以上に真っ暗で、ロウソクでかろうじて足元が見える程度だった。
…とは言っても、僕は愚かミカまでも「別に怖くない」という甘さの全くないこの状況を一体どうやって楽しめというのだろう…。
相変わらずトウヤの意図はわからない。
「暗いな…」
「…うん、暗闇の森みたい」
僕がつぶやくと、ミカが同意するように理解不能な言葉とともに頷いた。
…クラヤミノモリ……ってなんだ?
「? なんだそれ?どっかのゲームのタイトルかなんかか?」
「……あ…いや、なんでもない…」
問い返すと、しまったと言わんばかりに顔をしかめるミカが目に入った。
…なんだ、今の顔…
不審に思うも、ミカに訊いても答えてくれないような気がして、僕は黙ってそのことについて触れないようにした。
…そうするとどうなると思う?
…そう。
結果として会話が尽きて無言状態という苦行が開始することとなってしまった…。
いやはや、静寂が一番苦手なのにどうしてこうも僕は会話を回すのが下手なのだろう…我ながら呆れて物も言えない。会話が続かないだけに…なんて言ってたら確実にスベってたな…。
と、思考もだんだん脇道に逸れ始める。
「…ねぇ……ソラ…」
すると、やはりというかさすがと言うか、ミカは沈黙を破って話しかけてくれた。グッジョブ!
「……ミユキ…って子のこと、今の君はどう思ってる?」
なにを訊かれるかと思えば、突然「ミユキ」について話を振られ、僕は戸惑った。…なんて答えればいいのか、正直よくわからなかった。
「どうって…言われても……そもそもそいつのことセイナたちの話でしか訊いたことねーしなぁ…」
困った僕は誤魔化す戦略を実行した。どんな反応を返されるか内心ヒヤヒヤだったが、幸いミカは「……そうだよね…」と小さく頷くばかりで特に気にした様子はなかった。一先ず安堵…。
…が、休む間も無くミカは質問を再び口にする。
「……本当に…全部忘れちゃったの…?」
ドキ…と胸の奥が少し痛んだ…。
今度の質問は何処か不安げな声だった。ミカがそっぽ向いてしまっていて顔色が伺えず、意思が読み取れない。
そのミカのわずかな態度の変化も気になったが、それより何故僕の傷口をえぐるようなことばかり訊くのかが気になった。
「なんでそんなこと……」
質問を返しかけたが、僕はミカを見てピタリとその口を止めた。
──…ミカの様子がおかしかった。
痛みでもこらえるかのように頭を抑え、体をくの字に曲げて苦しんでいた。ミカの手から落ちたロウソクは今や地に落ち、弱々しい火を灯したまま揺らめいている。
「ミカっ!!?」
突然の異常事態に頭の中がパニックになるが、なんとかしようと僕は駆け寄る。しかし、そんな僕をミカは突き放して拒絶した。
顔が真っ青で、何故かその瞳に殺意のような禍々しい何かを感じ、ぞっとした。
「…は……なれ、て……」
「な、なんで?!具合悪いんだろ?」
「チガ…う……から……」
「ならなんで?!」
「ウうぅッ……いイかラ…ハヤく…!」
低く獣めいた唸り声をあげながらミカがジリジリと後退するが、僕はどうすればいいのかわからず立ち尽くすばかり。
…本当はミカのこの豹変ぶりに驚いて、情けなく動けないだけなのかもしれないが…ともかく、僕はどうすることもできなかった。
「み…ミカ……」
「ゔううウゥあアアッ…」
ただただ名前を呼んで彼女がミカである、と確認することしかできない…
どうすればいいんだ…っ!!?
──が、刹那、ミカは突然力尽きたように地に倒れ伏した。
「………え……?」
僕の頭は、この状況についていけず、ついに活動を停止した。
今…なにが起こった……?
「暴走なんて…主様は望んでナイよ……」
気がつくと倒れるミカの側には見知らぬ少年が様子を伺うように座り込んでいた。僕は驚きのあまり肝試し中とはいえ悲鳴をあげそうになった。
「…っ!お、お前……」
「アっ…どうも、始めまして。自分、ダビュートと言いマス。ダビくんと呼んでクダさい」
律儀に頭を下げる少年に僕はますます混乱するばかりだった…。
ここからまたシリアス?になっていくのだった…。
という展開を避けるべく新キャラを明るい子にしましたよ!ww
次回からの活躍に期待ですよー!!




