表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
GAME after DEATH  作者: 硴月 楸
死して生を知る
36/73

35. Heart to beat fast with.

「ただいまー」

「お、帰ってきたか」

ようやく女子組が店に帰ってきた…。


「……なにしてんの、あんたら」

セイナの第一声だった。


僕ら男子組は、トウヤの紳士的心によって早めに店に帰還し、女子組が来る前に少しでも負担を減らそうと片付けを進めていたのだが…。


これが、想像以上の重労働だった。


大量に積み重なる本たちを全て一度外に出し、店内のいたる所を雑巾掛けし、再び本を店内に運び込む…。


……正直泣きたいくらい辛いです。トウヤが見張ってなきゃ今すぐにでも逃げ出したい。


「おかえり、二人とも。ショッピングは楽しめたか?」

「おかげさまで」

珍しくミカが答えた。

本の束を持ち上げると、僕は何気なしに顔を上げる。


……というか、ちょっと待て…


疲れているのか、なんか変なものが見えたような…。

念のため一度本を置き、もう一度ミカとセイナの方へ視線を向け、確認する。


えーっと…まずミカとセイナがいる…んで、セイナはなぜかミカの横に寄り添ってて……加えてめっちゃ嬉しそうな笑顔で………。




…ん?



「何があった!頭でも打ったのか!?」

「は?あんたバカじゃないの?」

取り乱す僕にセイナの意外に冷静なツッコミが返ってきてしまった。

「いや、だって…お前、ミカと…」

「え?ミカちゃんがどうかした?」

「いや、ミカとお前って…って、え?ミカ"ちゃん"?」

「うん、ミカちゃんだよ。ねー?」

セイナの声にミカは少し嬉しそうに頬を染め、

「うん…」

と頷いた。


…どういうことだ……


僕が心配するほど二人の仲は最悪だったのに、ほんの数時間ほど見なかっただけであっという間にこんなに仲良くなっている…。


…一体何があったというのだ?


「まあまあ、いいじゃないの。それより早く片付けを済ませようぜ」

HAHAHAとやたら明るく笑うトウヤの様子からして、おそらくこいつが何かやったのだろうが…どうやったらこんな神業級のことができるんだ?わからん…

「ほら、ソラもぼーっとしてんな。さっさと本を運び込め」

「あ、ああ…」

一人だけ動きだしが遅れ、トウヤに押し出されるようにして店の外へ出た。


「……………」


あらためて外に出る度に思うのだが…

「さすがに多すぎるだろ…」

何度も何度も往復し、何度も何度も運び込んだというのに本の山は全く量が減っていないように見える。数え切れないほどだ…。

「ほらぁ、ソラも早く運べよぉ…」

死んだ魚のような目をしたシロが僕に怒鳴る…その手には積み上げた本が数冊。

「はぁ……」

「手伝う」

ため息をついているとミカがそう言って本の山へと進み出た。


…今更だが、あらためてミカを見て、服装が違うのに気がついた。

まあ、そのために買い物行ったわけなんだが……なんと言うか…ミカが女の子らしくなっていたのだ。

今までのミカは白いマントを着込んでいて地味な感じだったのだが、今は同じ白でもフリルのついた可愛らしいワンピース。乙女度がやたらUPしているのだ。


……これが、ギャップというものか…。


納得しつつ、そんな場合ではないと頭を振る。

ちょっと、可愛いと思ってしまった自分が妙に恥ずかしい…

…そ、それに、仮にも僕は男だ。女の子にこんな力仕事をさせる訳にはいかない。ここは、トウヤのように紳士的に…

「いや、いい。僕が…」

そう思って遠慮しようとしたのだが…


「? 何か言った?」


ミカは…軽々と何十冊もの本を抱えてしまっていた。


………あれ?こいつ本当に女か…?


「…?顔赤い。大丈夫?」

「へ?」

言われてなんとなくほおが熱いのを感じた。

おそらく、さっきのギャップの威力だろう…なんと恐ろしい…。

「な、なんでもない!ってか、お前、仮にも女のくせにそんなに持ってんじゃねーよ」

「? なんで?」

わけがわからないというように首を捻る。その首を捻る仕草も服の威力あってかわいく……って、げふんげふん!

「そういうのは男の仕事なんだよ!そんぐらい知ってろ!」

「でも、この方が効率的」

「効率より、安全!そんなに持って怪我したらどうすんだ」

「……………」

ミカが無言になってしまった。

よくわからないが、何か地雷を踏んでしまったか…?

「ま、まぁ、お前がやりたいなら勝手にやればいいけどな」

まるでセイナの照れ隠しのような感じになってしまったが、とりあえず取り繕おうと努力する。

あーもう…恥ずかしいなこの野郎!

気まずい空気が僕にのしかかる……


が、


「……ふふっ」

「…!」


おおぅ…笑った……。


なぜ笑ったのか理由はわからないが…普段笑わない奴が笑うと、服と同じでやはり威力が違う。

「ありがとう。私は大丈夫」

「そ、そうか。ならいいけど」

日差しのせいか、身体中がやたら暑い。

僕は急いで目の前にあった本を数冊抱え込むと店の中へと逃げるようにして駆け込んだ。


「…………………」

「ん?どうかしたの、シロ?」

「………いやぁ…なんでもなぁい」





それからの作業はあっという間だった。

ミカの働きには正直驚かされるばかりで、僕とシロが必死になって運び込んだ本の山をものの数分で運び終えてしまった。

…男の意地もへったくれもないな。


「てめぇら情けねぇな。男のくせに」

「うるせぇ…」

「うるさぁい…」

トウヤは相変わらず言葉がきつかった…。




…ともあれ、ようやく僕らは地獄から解放され、海へ行くことを許可されたのだった。



感想や質問、アドバイス、評価、誤字指摘などお待ちしております(´・_・`)




…マジで。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ