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GAME after DEATH  作者: 硴月 楸
死して生を知る
33/73

32. It begins calmly.

…賑わう港は、皆楽しそうな顔をしていて、ここが死後の世界だとか、魔物という脅威がいることとか忘れ去ってしまうくらい平和だった。

「くぅーっ、ようやく着いたな!」

大きな伸びをしながらトウヤは嬉しそうに声をあげた。

「やっふぅー!海!海!」

「抜けがけはダメだぞぉ!」

まるでカップルのようにはしゃぐセイナとシロ…。

まだまだ子供だな……。



うん…


ていうか……着いちゃったよ…


「ここが…」

「どうだ?いいとこだろ?」

僕のつぶやきにトウヤが期待の眼差しを向けてくる。…ちょっとうざい。

「……まぁ…」

「ははっ、相変わらずつれねーな」

トウヤにはそう言うが…正直、驚いた。

まさかここまでとは思わなかったのだ。


パラダイス・ガーデン…別名、安息の地という一つの小さな島。

島は木々で生い茂り、海辺の砂浜では多くの人々がくつろいでいる。また、島には巨大な大樹があり、島のほとんどがその影に覆われており、涼しげな風を運んでいる…。

トウヤの話によると、この島は北と南で気温が極端に違い、北は寒い冬の気候、南は暑い夏の気候となっているらしい…なので、一つの島で二つの季節が楽しめるお得な島だ!……とのこと…。


…まさに天国だな。



トウヤがやたら僕の顔を見てはニヤニヤしてるので…顔にでてないよな…と心配しながらも、ひとまず僕らは船をおりた。

「よし、じゃあまずはうちに行くか」

「? うち?」

トウヤの言葉に僕は動きを止めた。

トウヤの家がこの島にあるのか…?


………まさか…


「別荘か?!」

「いやいや、残念ながら俺、そんな金持ちじゃないから」

なんだ、残念…と僕は途端に興味をなくす。

「…たしかここに支店がある」

トウヤに代わってミカが僕の後ろから教えてくれた。…別荘じゃないならどうでもいいことだ。

「へー…」

「あからさまにつまんなそうな顔すんのやめい!傷つく!」

テンションの高いトウヤが非常に面倒くさかったので、僕はこれ以上関わらないようにミカへと話を振った。

「そういや…お前、僕たちについてきてていいのか?仮にも逆神会(クリミナル)なんだろ?」

そう、これが一番聞きたかったのだ。罪悪感があるにしろ、ちょっとした知り合い程度の関係なのに、わざわざついて来る意味がわからないのだ。

「……心配」

「心配?なんで?」

「私のせいだから」

「あれは事故だろ。別にお前に非はないんだからさ」

「……………」

ミカは黙り込む。

「まあ、仲間は多いほうが楽しいし、いいじゃんか」

「………別にいいけど」

トウヤの言葉に僕は渋々といったように呟く。…事実、ミカにはいろいろと助けられてるしな。


…だが正直、彼女の存在は僕にとってあまりいいものとは言えなかった。

彼女がいることで、なんだか僕が気を使わなきゃいけなくなるような……そんな気がしてしまってどうにも居心地が悪い。


トウヤはちらりとミカを見据えると、再び僕へと視線をうつした。

「ソラ、セイナちゃんと猫を呼んできてくんねぇか?いつの間にか二人揃ってどっか行っちまってよ」

そう言われて、ようやく二人が何処かへ消えているのに気がついた。

……直感的に、めんどくさいと感じた。

「えぇ……僕が?」

「もちろんいいよな?」

不思議と、トウヤの言動一つ一つに威圧感を感じ、反論ができない…。

てか、マジで怖いんですけど……

「…まあいいけど」

仕方なく、僕は逃げるようにしてセイナたちを捕まえに行くことにした。



「久しぶりの海!涼しいぃ!」

「海ってこんなに綺麗なんだぁ!すげぇ!」

二人は港のすぐ近くの海岸ではしゃいでいたのですぐに見つかった。

「おい、二人とも!そろそろ行くぞ」

「あ、ソラ!」

「えぇー、もう行くのぉ?」

「ぐちぐち言うな。さっさと行くぞ」

「はーい」

二人はやけに素直だった。それほどに今は機嫌がいいのだろう…。

「ねぇ、ソラ!後で海で泳いでいいわよね?ね?」

瞳をらんらんと輝かせ、セイナが訊いてきた。いつもツンツンしてるくせに、こういう時だけは一気に子供らしくなる。…いつもこんな感じだったらいいのに、現実はそう甘くないものだ…。

「泳いでいいかはトウヤに訊け。僕は知らない」

「なんだよぉ、素っ気なぁい」

「うるさい」

シロの間延びした声が僕の気分を逆なでする。僕は歩くスピードをあげ、トウヤのもとへ急いだ。

この二人の相手は本当に疲れる…

「セイナぁ!後で絶対に海行こうなぁ!」

「もちろんよ!何言われても絶対に行ってやる!」

背後で決意を固める二人の会話を聞きながらも、足は止めない。どうでもいい会話を聞く必要もない。

ついて来てるならそれで十分。僕の仕事は達成される。



「ま、でもぉ、どうせならみんなで海行きたいけどねぇ」

「……ミカと一緒はいやだ」

「? セイナぁ?」

「………………」


僕の知らぬ間に、先ほどまでの楽しげな雰囲気は一変していた。




───セイナはまだ「彼女」の秘密を知らない…。


感想や質問、アドバイス、評価、誤字指摘お待ちしております(´・_・`)


…マジで


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