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GAME after DEATH  作者: 硴月 楸
死者は生を求めた
29/73

28. In consciousness...

新章、「死して生を知る」の始まり始まりです( ´ ▽ ` )

──暗い


上も下も左も右もわからない闇の底みたいなところに僕はいた。


「ここは?」


呟き声も喉の奥で響くだけ。

なにも見えない闇に、僕はなんだか「自分」という存在がいないのではないか、という感覚に陥ってしまう…。

とりあえず、不安を消すため手を動かしてみる。目には見えないが、確かに動いている。…一応、存在はあるようだ。

ほっと安堵するとともに僕はふと思い出した。


──「これ」は前にも経験したことがある。


確か、神が僕をあの世界に引き込む時に。

だが、今回はその神の声がない。

ということは、ここは似ている別の場所か…?


癖になった「考えること」を続け、悩んでいると、目の前に白く小さな光が現れた。

「なんだ…あれ」

僕は思考をやめ、引き寄せられるように光の元へ近づいた。

小さいのにとても温かい…何処か懐かしい光だった。不思議とこの光を見ていると安心する……



…不意に、僕は思い出した。


「そういえば、ミユキは?」

そうだ…!僕はたしか…路地でミユキに出会って……それで…




ふっと、光が突然消えた。






『また忘れたんだ…』


「…!?」

突然声がして、僕は飛び上がる。

…一体どこから?

辺りを見回すと、すぐ僕の真上にそれはいた。


『久しぶり…僕』


僕だ。幼い姿だが顔も、声も、全てが僕だ。

僕は信じられず、瞬きを繰り返す。


『そんなに驚かなくていいよ、僕。単に僕は、現世での「記憶」ってだけ。存在はしていない』


「え…でも、ここにいるじゃないか」


『そりゃあ、ここは僕の精神の中だからね』


「精神?」


『うん』


正直、わけがわからないし、信じ難い。でもなぜか僕の中ではその答えがストンと胸に落ちた。

だが、疑問はつきない。

「もし、仮にもここが精神の中だとしても…なんで僕はここにいるんだ?」

さっきまで僕は路地にいた。

そこでミユキの…


『思い出さない方がいいよ』


僕の声がかかり、またしても思考が途切れる。


「なんで?」


『そうしないと「僕」が壊れちゃう』


「壊れる?どうして?」


幼い僕は、僕の質問にしばらく間をあけ、口を開いた。


『……さっきの質問、なんでここにいるか、だったよね?』


唐突に話が変わった。

何事かと僕は眉をひそめる。

「僕の記憶」は瞳に悲哀の色を浮かべながら告げた。




『あのね、君も僕が忘れてしまった「記憶」なんだ』


記憶が僕の額に触れる。

すると、途端に僕の頭の中で、僕の長いようで短い物語がパラパラとページをめくっていった。




………思い…出した……




****************


(まぶた)を開く。

そこには見知らぬ天井と香り…。


僕は一体…どうしたのだろう……?


意識もぼんやりとして定まらない。

「………こ…は……?」

声がかすれる…。長い間眠っていたかのような奇妙な感覚だ。


と、その時、


「ソラッ!?」

突然、視界に泣きそうなくらい顔を歪めた金髪の少女が現れた。


…だが、僕はわからなかった。この少女のことが…なにもかも…


……この人…誰?



戸惑う僕に気づくことなく、少女は泣きそうだった顔を引き締め、涙を堪えながら皮肉たっぷりに言う。

まるでそれが当然というように…。

「……ようやくお目覚め?」

僕はなんと答えればいいのかわからなかった。

見知らぬ人に突然そんなことを…しかもタメ口で言われるなんて…思いもしなかった。

彼女は僕の知り合い…?いや、でも見たことない顔だし…

僕は逡巡した挙句、とりあえず失礼を承知で名前を聞いてから判断することにした。もしかしたらしばらく会ってないだけの知り合いかもしれないし……

僕は未だにかすれた声で問うた。



「………あんた…誰?」




返ってきたのは…


「え」


少女の絶望する顔。

僕は自分が言葉足らずだったのに気づき、慌てて言葉を重ねる。

「いや、違うんです!ちょっと顔が思い出せないだけで…名前聞いたら思い出すかもって思って…!」

「……………」

少女は…なにも言わなくなってしまった。

…やっぱり失礼だっただろうか……?

僕は無言に耐えきれず、後悔の波に襲われる。

謝るべきだろうか…?でも、やっぱり思い出せないし…

今更ながらなんとか思い出さないかと、記憶の中を探ってみる。


……が、


ふと、僕は動きを…考えをやめた。




そういえば、僕って…誰だっけ?





……僕は、その時やっと自分が記憶喪失なのだと気づいた。






──それは、静かな始まりだった。


感想や質問、アドバイス、評価、誤字指摘などお待ちしております(´・_・`)

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