14. Have no connection with.
今回はミユキ視点でお送りします。( ̄▽ ̄)
ソラ達と別れた私はさっそく情報収集に適した場所を探し始めました。
守塔、大通り、広場、新聞社など……最先端の町なだけあっていろんな場所が目につきます。
…でも、たぶんそういう場所はソラ達が調べると思うから後回し。
私は私じゃなきゃ調べられないような場所を調べなきゃ!
と、いうわけでやって参りました、路地裏!
薄暗くて不気味な雰囲気が漂っています……。
ここに秘密の店があるのです…!
私は昔の記憶を頼りに道を進んでいきました。右に左に枝分かれする道をわかる限り辿っていきます……。
するとしばらくして、なんとか目的の店にたどり着くことが出来ました。
知っている人じゃなきゃたどり着けないような薄暗い路地裏の奥深く、レンガづくりの小さな店。脇の方に掛かる汚れた板には「情報屋」という店名が書かれています。
「……全然変わってないなぁ…」
懐かしい思い出に浸りながら私は扉を開きました。
中も昔と同じ。わずかなロウソクの明かりに照らされる店内。
所狭しと並べられた本棚に、山積みにされたいかにも怪しげな本、そして店の奥にひっそりと構えられたカウンター…
店長は相変わらず片づけが苦手のようです。
思わずクスリと笑みがこぼれます
「すみませ~ん!誰かいますか?」
私が叫ぶと奥のカウンターから「ガタガタッ」という慌ただしい音が聞こえてきました。寝ていたようです。
「……っててて………大声で叫ぶなよ……」
「すみません!でも………って……あれ?」
薄暗くてもわかる。カウンターに現れたのは見慣れた人物とはかけ離れた青年だった。
「あれ!?バールさんは?あなた誰?」
前に来たときまでは白髪交じりのおじさん店主こと、バールさんが出迎えてくれたのに……なぜか今は若々しい青年………これはもしや…!
「若返り!?」
「いや違うから!」
青年はキレのいいツッコミをかましてきます。
「じゃあ、あなたは誰ですか?」
私が再度問いかけると青年は欠伸をしながら手招きをしてきました。
「……とりあえずこっち来なよ。店長の知り合いみたいだしコーヒーでも入れてやるから」
「あ……はい!」
お客さんに対してずいぶんと親しげな態度でしたが、私は素直にカウンターへと歩を進めました。
なんたってコーヒー!ここのは一段とおいしいのです!
私は急いで本棚の合間をぬって行くとカウンター前に並べられたイスに座って待った。
「…ほらよ」
ホクホクと湯気を出すマグカップが目の前に差し出されると私はそっとそれを受け取ります。
………暖かい……
コーヒーを飲み、懐かしんでいると青年は寝癖のついた髪を掻きむしりながら、やっと口を開きました。
「…俺はトウヤ。店長はこの世界に来て右も左もわからなかった所を助けてもらった恩人だ」
「へー!さすがバールさん!……でも、それがなんで店番なんかしてるの?バールさんは?」
「店長は現在遠出中なんだよ…」
「遠出?どこら辺まで?」
「さあ?「気の赴くままに」……って言ってたからな」
「あははっ!何それ」
相も変わらず放浪癖も治ってないということですね。
懐かしくっておかしくって笑いがこみ上げます。
ふと、トウヤは呟きを漏らしました。
「………それにしても……その髪といい目といい……どっかで見たことあんだけどな……」
「……?」
トウヤは私の顔を見つめては唸っていました。
……なにか私の顔に書いてあるのでしょうか…。
「…あんた、名前は?」
唐突に名前を訊いてきました。
「ミユキ、ですけど」
「!!!」
私が答えると、途端トウヤの顔が真っ青になりました。
「……………生きてたのかよ…っ!」
私は察しました。
……ああ、しまった。この人も曲がりなりにも情報屋だった……
私はマグカップをカウンターの上に戻しました。
「…………トウヤ……だっけ?」
「………?ああ、そうだけど…」
刹那、トウヤの首もとに短剣を構える。
「…………バールさんの知り合いみたいだから今は殺さないけど、もしこの事をバラすようなことしたら、真っ先に殺しに来るから…」
「……っ!!?」
「分かった………?」
トウヤはゆっくりと首を縦に振りました。
………これだけすればきっとバラすようなことはまずしないでしょう。一安心です。
私は短剣を手早くしまいます。
「それじゃあ、さっそく訊きたいことがあるんだけど」
話も途切れたので私は本題に入ります。
「神様の居場所を教えて欲しいの」
この店はその名前の通り、誰でも知っていることから一部の人しか知らないようなコアな情報まで、あらゆる情報を売るお店なのです。
まあ、それはいいとして……。
言ってみて気づきましたが……この質問、漠然としすぎてますね。
「えーっと……それはまたずいぶんと漠然とした質問だな……」
トウヤも困ったように眉をひそめます。
でもこの質問のおかげでトウヤの私に対する恐怖心が薄まったような気がします。
「なんでもいいから情報ないかな?」
すがるように訊きます!しかし……
「そう言われても…情報が多すぎてなぁ……話すとなるとかなり時間がかかるぞ?」
「うっ……それはさすがに困る……」
長話なんて絶対に寝てしまいます!
…仕方がないので私はあきらめます。
マグカップを手に取ると、再び口を付け始めました。
「………他に訊かないのか?」
トウヤが突然訊いてきました。
「…なんで?」
「だって……もとはあんた………」
「関係ない」
「……は?」
目を丸くしてトウヤは私を見ます。
「トウヤが考えていることはだいたいわかる。でも……もう関係ないの」
「じゃあ、なんでまた「神の居場所」なんてこと訊くんだ?」
これだから分かってない人は……。呆れてため息が出ます。
「……生き返らせるため」
生き返るためではなく…「生き返らせる」ため…。
それだけが私の願い。
「私なんてどうでもいいの。でも……彼にだけは生き返って欲しい。生き返って、心から笑えるようになって欲しいの…」
飲み終えたマグカップを置き、私は立ち上がりました。
「あんた……本当に「ミユキ」って奴なのか?」
トウヤは困惑した表情を浮かべていました。
勝手な偏見を持たないでほしいものです、まったく……
私は仕方なく一言。
「トウヤ達の言うその「ミユキ」だったらもういないよ」
私はそう言うとそのまま振り向くことなく店を出ました。
……ちょっと昔のことを思い出してしまい憂鬱な気分になりました…。
赤くなっている髪の先をいじりながら路地裏を進んでいきます。
───過去なんて関係ない。
心にそう誓った。……でもやっぱり、ソラ達に知られるには気持ちの整理が不十分。まだ早い。
だから過去のことを知られるその時まで、出来る限りこの時間を楽しもう。守れるのなら命を懸けて守ろう。
そして、知られたのなら私は───。
路地裏を出て、守塔の近くに出ました。なにやらやけに騒がしい気がします………。
「あー、もう!うるさい!!すいませんって言ってるだろ!?」
ソラの声!
人だかりの方から聞こえてきました。
私はすぐさま駆け寄って、人垣をわけて前へ進み出ます。
……やっぱり予想通り、ソラでした。
セイナちゃんと喧嘩しているようです。
「ふふっ……よかった…」
嬉しいです。
ああやって本気で怒鳴るところ初めて見ました。
………なんだかんだ言ってソラも変わってきてるんだ……。
実感すると共に、ちょっと寂しい気もします。
「ああっ!やっぱり、ソラとセイナちゃん!」
私はにこにこといつもの笑顔を浮かべて二人の間に入ります。
……今のこの一時が永遠に続けばいいのに──…。
そんなことを思いながら、私は今日も笑います。
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