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GAME after DEATH  作者: 硴月 楸
死者は生を求めた
14/73

13. Looking for God.

少年は出会いを重ね、心にわずかな変化が訪れていた。


喜び、悲しみ、怒り。


多くの感情をその顔に映し出す。


それは少なくとも彼と、彼をよく知る者にとっては良い変化の兆しだと言える。



……考えないことをやめる。


少年は無意識にそれをするようになってしまっていた…。


********************


 明るい日差しが差し込み、僕は目を覚ました。

いつのまにかベッドから落ちたようで床に転がっている状態だった。おかげで首が痛い……最悪な目覚めだ。

ブーツの紐を結び直し、コートについたホコリを払うと僕はさっさと部屋を後にした。


今日はミユキも病院から退院するので、情報収集に徹底することとなっていた。

めんどくさいが、昨日セイナが化け猫にかまけてサボり、何一つ情報を得られていないのでやらないわけにはいかない…。

真っ直ぐに病院へ向かうと、ちょうどセイナが退院の手続きを行っているところだった。

「あ、ソラ!おはよう。よく眠れた?」

僕を見つけるとミユキは笑って手を振ってきた。僕は子供か!?

「ああ、おかげさまでゆっくり眠れましたよ。……ていうか、いいかげん手振るのやめろ」

「あ、ごめん」

無意識にやっていたのだろう。僕が側に来ても未だに手を振っていたことにようやく気づいたようで、あわてて腕を下ろした。

「今ちょうどセイナちゃんが手続き済ませてるところだよ」

「見ればわかる。それより…あー……」

言いよどんでから、確認を込めて僕は声を少し小さくして訊いた。

「体はもう大丈夫なんだよな…?」

すると、ミユキは何が嬉しかったのか満面の笑みを浮かべ

「大丈夫だよ、ありがとう」

と感謝までしてきた。

少し心配してやっただけなのに、何をそこまで喜ぶ必要があるのかまったくわからない。僕はやれやれと首を振る。

「ほら、二人とも!手続き済んだんだから早くここを出るよ!」

いつの間に終わったのか、セイナは僕らの肩を押すと無理矢理外へと連れ出した。

「おい、押すな!痛いだろうが!」

「はいはい、ならイチャイチャせずにさっさと出て下さいね」

「なっ!!」

イチャイチャ?僕が?ふざけるな!

怒りの言葉は沸き上がるものの、なぜかうまく口が動かなくなってしまい声には出せなかった。セイナの意地の悪い笑みがますます僕をいらだたせる。

「まあまあ、そんなに照れなくても」

「照れてない!怒ってんだ!!」

ミユキはフォローのつもりだったようだが僕には逆効果で、ますます苛立ち、顔を赤くして怒鳴った。


そんなこんなあって、情報収集は始まった。

まだこの町になれていない僕は迷う可能性も考えられるのでセイナとともに行動する事になった。ミユキは「この町については完璧に調べあげているから大丈夫」とのことなので心配ないだろう。


ミユキと途中別れると、僕たちことセイナと僕は早速一番人の集まる場所、つまり町の中央に建つ塔へと向かうことにした。セイナが言うにあの塔は「守塔(しゅとう)」もしくは「主塔(しゅとう)」と呼ばれ、この町のすべての情報やシステムを管理及び守護しているらしい。つまりあの塔はこの町の心臓のようなものなのである。

町のすべての情報があるこの塔はまさに情報を集めるにはうってつけだというわけだ。

「さあ、ここが塔の中よ」

「!! す…すげぇ……」

セイナの案内で僕は塔の内部へと入ると、思わず僕は立ち止まった。

円柱の壁に沿って複数の映像パネルや螺旋階段が続き、それぞれの階に床がないため一階からでも頂上部の様子がうかがえる。

「この塔は一階と最上階以外の階はなくて筒抜けの状態なのよ。…とは言っても最上階は入室禁止だから、正確には一階しかないと言う方が正しいんだろうけど」

「入室禁止?なんでだ?」

「最上階には映写機があるからよ。この町の空を膜に映しているやつね?」

「映写機で映してんのかよ!?」

果てし無く続いているように見えるこの町の空は、たった一つの映写機によって作られている。そう思うとあらためて町の技術力には感服させられる。

「なんでもかなり繊細な機械らしくて、ちょっとふれただけで壊れるらしいわ」

「へー」

「…ま、そんなことより、さっそく神についての情報を探さないとね」

感心するもつかの間、セイナに引っ張られ、僕は一階中央の受付につれてこられた。

僕らに気づいた受付の女性……いや、よく見るとロボットがこちらに営業スマイルを向ける。

「どうかなさいましたか?」

声にも人間独特の抑揚があり、本物の人間のようだった。あらためて僕はこの町の技術力の高さを思い知った。

「神が隠れていると思われる場所についての情報を教えてちょうだい」

馴れたように要求を伝えるとロボットは一瞬動きをとめた。

「申し訳ありません。件数が多いため、条件をしぼっていただけませんか?」

「やっぱ漠然とした要求は無理か…」

さすがのセイナも困ったように腕を組んだ。そりゃあ神がいそうな場所なんていくらでも考えられるもんな……

僕も頭を抱えそうになったが、ふと、神の言葉がよみがえってきた。


『ワタシは、暗く閉ざされた空間にいる』


「……そうだ…そうだった!!」

「ひっ!?な、なにがよ?」

僕の突然の叫びにセイナは飛び上がって驚く。

本当に飛び上がって驚く人なんかがいるんだ………じゃなくて!

「神は洞窟とか神殿みたいな暗く閉ざされた空間にいるんだ!」

「は?なんでそんなこと言い切れんのよ」

「神自身が言ってたんだ!」

僕が叫ぶとその場はしんと静まりかえった。セイナだけではない、周りにいた町の住人たちまでもが僕に注目し、言葉を失っていた。

僕は今更ながらにしまったと顔をしかめた。


「情報提供ありがとうございます」


そんな中、静寂を破ったのは受付ロボットだった。ぺこりと丁寧に頭を下げている。

「情報提供により件数がしぼられました。チップに記憶させますか?」

「………あ……お、お願いするわ」

「了解しました」

ロボットはそう言うと自らの首筋からチップをとりだし、僕らへと差し出した。

「こちらが情報チップでございます。ご使用の際はお気をつけください」

「ありがと」

セイナは一言返事を返すと僕の腕をつかみ、そそくさと塔から立ち去った。


ーー途中すれ違う人々の目はまるで盗賊のような好奇と欲に染まった色をしていた……。


感想や質問、アドバイス、評価、誤字指摘などお待ちしております(´・_・`)

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