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1-4

 北区の事件現場から帰宅した高野は、ソファに腰掛けテレビを点けた。

 

 数秒のラグの後、液晶画面にはマイクを持ったリポーターの姿が映し出された。

 

 右上のテロップには、『またも犠牲者が……。謎の少女連続失踪事件!』とあった。 


 

 「早速、ニュースで取り上げられてますね」

 

 幽霊少女が不安そうな面持ちで言う。

 

 

 「それほど異様ってことじゃないかな」

 

 カチカチとリモコンで他局の番組を確認してみる。

 

 ほとんどの局が少女失踪事件について報道されていた。

 

 

 「失踪事件ってのは、そんなに珍しいものでもないんだ」

 

 高野はそう言って、テレビの電源をオフにする。

 

 

 「ただ、今回のそれは、ほぼ同時期に3人も失踪している」

 

 「目撃者もいないんですよね。日中の街中にも関わらず」

 

 少女が下唇に人差し指を当てて、神妙に言う。

 

 どうやら、少女が頭をフル回転させている時は、このポーズになるようだ。

 

 「二人目の失踪者の方なんて密室で、しかも監視カメラにも映っていないって……」

 

 「そう、あり得ないんだよ。でも、あり得てしまった」

 

 高野は静かに目を瞑り、ソファに背中を深く沈めていった。


 

 「それはそうと、高野さん」

 

 少女の呼びかけに、「何だい?」と、その姿勢のまま応える。

 

 「今日のお昼ご飯、まだでしたよね?」

 

 「そうだね」

 

 時計を片目で確認する。午後二時を少し過ぎていた。

 

 「そうだね、ではないですっ!」

 

 少女は、高野の傍に、文字通り飛んできた。

 

 

 「この前だって、二日間何も口に含まずに過ごしてたじゃないですか」

 

 「何も、ってことはないよ。水くらい飲んださ、多分……」

 

 「きちんと栄養を摂らないと、手遅れになりますよ?」

 

 少女は心配そうに言った。

 

 

 よもや、幽霊に命の心配をされるとは。

 

 少しだけ動揺した高野は、「わかったよ」と一言、渋々ソファから腰を上げた。

 

 「さて、何を食べに行こうか」

 

 料理経験が皆無である高野には、自炊という選択はなかった。

 

 革製の財布を手に取った――と同時にインターホンの電子音が鳴る。

  

 「どなたですかね? ……はっ! もしかしたら、依頼者かも」

 

 そんな少女の楽観的な言葉を背に、高野はドアを開ける。

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