表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/7

1-2

 高野が再び目を覚ました時、デジタル時計はAM11:50を表示していた。

 

 ソファからのそのそと身体を起こし、伸びをする。

 

 ポキポキと小気味良い音が体中から鳴り響く。

 

 

 「今度こそ起きましたね」

 

 ソファの向かいにあるテレビから声がする。

 

 17インチの液晶には、少女の顔が高野を覗き込むように映っている。

 

 しかし、テレビの電源は入っていなかった。

 

 「ちょっとどいてくれないか。君がそこにいると点かないんだ」

 

 テレビのリモコンを持ちながら高野は言う。

 

 すると、テレビの画面内からずるり、と少女が這いつくばるように出てきた。

 

 さながらホラー映画のようだったが、高野は何食わぬ顔でリモコンの電源ボタンを押す。

 

 「私としては、何かしらのリアクションが欲しいところなのですが、高野さん」

 

 画面内から這い出てきた少女が浮上しながら言う。

 

 「初対面の時、私を見てあんなにも驚いていたのに」

 

 「そりゃそうさ。目の前に宙を浮く人がいたら誰だって驚く。僕も論外じゃない」

 

 リモコン操作でテレビ番組の選局しながら言う。

 

 しかし、どの番組も変わり映えのないものばかりであった。

 

 「やはり、この時間帯はニュースばかりやっていますね」

 

 少女が高野の背後に回ってきた。

 

 「12時から賑やかな番組も増えるけどね、そろそろ外出しないと」

 

 そう言って、立ち上がる高野。

 

 そのまま洗面台まで行き、冷水で顔を洗う。

 

 「今日はどちらに行かれるのですか?」

 

 ソファのある部屋から少女の声が聞こえた。

 

 仕切りのドアがないため、日常会話に難は皆無であった。

 

 「そうだな、今日は……」

 

 ソファのある部屋に戻った高野の視線の先にはテレビのニュース番組。

 

 ある事件の報道をしているようで、映像がスタジオから事件現場へと移り変わる。

 

 『こちらが事件場の北町の住宅地になります。被害者と思われる持ち物が未だ、現場に取り残されており……』

 

 リポーターの男性がマイク片手に事件現場を報道している。

 

 『被害者は、なおも行方不明で……」

 

 高野はそこまで聞いて、テレビの電源を切る。

 

 「北町の住宅地に行ってみようか」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ