轟音!
めっちゃ短くて中途半端な終わりかたです。ホーイ!
音楽で人に何かを与えたい。
俺がそう思い出したのはまだ小学生の時だった。
夜中に起きてしまったからテレビをつけたらそのバンドが映っていた。
きっかけはそれだけだ。俺は、きっとあの番組を見なくても音楽をやろうと思ってただろう。
という訳で俺は軽音部の扉を叩く。
「はぁい、どうぞー」
「空いてんぞー」
「失礼します」
体育館に併設された多目的ホール。その控え室にあたる所が軽音部の部室だ。
中に入ると女の子が二人、机の上に紙を広げて座っていた。
「新入生?」
「はい。赤城雄平です」
「入部希望かしら、助かるわ。私はギターの楓アキラよ。こっちは……」
「ベース。佐倉巴」
「二人とも二年よ。よろしくね」
そう言って手を差し出してくる身長高めの短髪先輩がアキラ先輩、後ろでずっとペンを握って紙を見てるのが巴先輩か。
「よろしくお願いします」
手を握り返すとうれしそうに一回頷いた。
「ところで雄平くん、あなたのパートは?」
「ああ、俺はボーカルです」
そう言うと巴先輩は肩を竦めて言った。
「ろくに楽器も出来ないくせに音楽に憧れて入ってくるボーカルオンリーパートな人」
「やめなよ、巴」
まあ居るんだろうな。でもムカついた。
「ボーカルだけどちょっとくらいなら弾けるっすよ」
「何を?」
「ベース、弾いてみましょうか?」
「そう。じゃあコレ弾いてみて」
そう言って机の上にあった紙とベースを渡される。
そこには五線譜におたまじゃくしという、ごく普通の楽譜があった。
「……五線譜っすか」
「tab譜じゃないと弾けない?」
「いや、大丈夫っすよ。ってかいいんすか? 僕スラップっすよ?」
「私も」
「じゃあ失礼します。アンプは?」
「そこ」
指されたアンプにシールドを挿してボリュームを絞ってから電源をつける。一回弦を全部弾いてからボリュームを少しづつ上げていく。
第二弦のペグを少し右に回す。弦を弾いて調弦の成功を確認。
楽譜を再確認してからベースを弾き始める。
難易度自体は低いから普通に弾けた。
「す、凄いじゃない!」
「バカにしてんすか?」
「そ、そんなことないよ! だって私たちtab譜じゃないと弾けないし」
「そうっすか。え? 私“たち”?」
「参考になった」
そう言ってtab譜にペンを走らせている。
お前なんかもう先輩つけてやんね。
「ってかそうならそうと始めから言ってくださいよ。じゃあtab譜くらい書いたのに」
「ごめん」
「そうよ巴。反省しなさい。
所でギターのtabも書けたりしない?」
「いいっすよ。貸してください」
あれ?俺ってtab譜書くために軽音入ったのか?
用語解説
五線譜:一番メジャーな楽譜。小学校の音楽とかで使う。
tab譜:ギターなら6本線、ベースなら4本線の楽譜(例外アリ)。何弦の何フレット目という風に書いてある。
ペグ:調弦する時に使う。ヘッドの横に出てるぜんまいみたいなの。
アルペジオ:ピチカート
ピチカート:アルペジオ
アンプ:AVアンプではない。
息抜きに書きました。
バイクと同じくらい音楽が好きなんです。