「く、黒ちゃん先輩いますー?」
「トルクメニスタンです」と同日の放課後です。
ここでは『』が、扉越しの声と3人以上がはもった時として使用してますぜ!
『黒ちゃん先ぱーい』
放課後、バスケ部が練習を行っている体育館に一人の少女の声が響いた。
「? 誰だ?」
準備体操を行っていた部員達はお互いに顔を見合わせる。
『黒ちゃん先輩ってばー』
体育館の扉越しに聞こえて来る、少し高めの声に、
「黒ちゃんって誰だ?」
「名前に“黒”がつく奴なんていたか?」
「いたとしてもアレじゃね? 委員会に出席してていないとか」
「かなぁ?」
「おい、お前の友達にこんな声の奴いたか?」
「いや、いねーな。けど俺の彼女の声に似てr「お前彼女いないだろ」
「じゃあお前か?」
「いや、ちげーな」
「じゃー、先輩っすか?」
「おれじゃねーぞ。でも彼女はいr「嘘をおおきに、鴎崎先輩」鴻! お前生意気だぞ!?」
などなど、次第に話がそれて「かっこいいのに何故か彼女持ちが少ないバスケ部」の異名を持つバスケ部らしい反応をする。
やがて、
『………………………………………………ぐすん』
『え……?』
扉越しに聞こえて来たすすり声。
バスケ部員の彼女いるいない談が一気に消え、全員が焦り始めた。
「ちょ、ななな泣いちゃった……?」
「ええええ、……(現在進行形で)顔も知らない子を?」
「な、泣かせた?」
「おおお、俺らが……?」
「え、ちょ、……ええぇぇ」
「どどどどーすんのっ?」
「あーあ。鴎崎先輩が泣かしてもうたー」
バスケ部中学2年の鴻が呟く。
と、
「あぁ、鴎崎先輩の所為なんだ……」
「バスケ部の主将なのになにやてんだか……」
「部長には失望したなぁ」
「キャプテンだろー? 信じらんねぇ……」
ヒソヒソ……
ヒソヒソ……
ヒソヒソ……
「…………っだあああぁぁぁぁっぁぁっぁっぁぁ!!!!!
何なんだお前ら!! 言いたい事あんなら大きい声d『扉の向こう見てこい』はい」
部員の態度にきれた鴎崎(高校3年)だが、人数に勝てず素直に敗退。キャプテンの名が泣く。
とぼとぼと、頼りない足取りで扉に向かう彼。
「ったく、誰ですk『もぉいいです、先輩が無視すんならこっちも必殺技を使うまでですぜ!!』え?」
扉越しにそんな台詞が聞こえたかと思うと、次の瞬間、、、
すぱんっ!!!
どげしッッ!!!
スタッ
説明しよう!
すぱん(←体育館の扉が開く音
どげし(←扉のすぐ側まで来ていた鴎崎に、外にいた子の飛び蹴りがクリーンヒットした音
スタッ(←飛び蹴りした子が華麗に着地した音
「先輩が素直に開けてくれないからこーゆー事に……………………あれ?」
かなりアクロバティックな登場をしたのは小柄な金髪少女、鳶谷 赤菜であった。
彼女は無表情を崩さず、自分が蹴った人を確認し、人違いだと言う事に気づいたようで、
「…………。
…………。
く、黒ちゃん先輩いますー?」
『そこでまさかのスルー!?』
さすがに部員もびっくり。
「黒ちゃん先輩って、誰の事やねん。つかお前誰や」
『(鴻!?)』
眉根に皺をよせ、かったるそうに赤菜を睨む鴻。
部長を倒されても動じない2年に少し畏敬の念を抱いた様子の先輩方。
「自分、鳶谷 赤菜。ここの中1っす」
「…………ハッ(笑」
『(鴻ィィ!?)』
自己紹介をした彼女をあざ笑うかの様に見下す鴻クン。
しかし当の赤菜はビビってなどいないらしく、
「それよかお前は誰だ!」
「(!)……俺か? 俺はここの2年、鴻 灰や。
それよか、「黒ちゃん先輩」って誰やねん」
少しは効果があると思っていた睨みがスルーされ、少し驚いた鴻クン。
ソレもまるで気づかない赤菜は鴻と会話を続ける。
「燕 黒夜先輩の事っす」
『……あぁ〜、確かに“黒”だ』
納得する部員達。
「燕先輩なら今日は委員会で来ないで?」
「ま じ か」
ガビーン、と、ショックそうな声をだし、
「んー……伝えたいことがあったけどいっか……。
んじゃ、失礼しましたー」
そう言って赤菜は体育館を去っていった。
鴎崎先輩の体をまたいで。
*
「なんか、凄い奴だったなー……」
彼女の去った後、副部長の駒鳥は呟いた。
「ほんま、面白そうな奴ですね」
「お前が興味持つなんて珍しいな」
「そうっすか?
……まぁ、おもろそうな奴には興味ありますよ。現に、クラスに一人仲いい女子がおるんすよ」
「まじか。めずらしー」
人と群れる事が嫌いな鴻にも一人が寂しいと思う時があるんだ、と悟った駒鳥君。
「……寂しかったらおれに言えよ」
「…………キモイっすわ(引」
裏目に出てしまったのでした。
ところで、なにか忘れてません?
「………………。」
鴎崎先輩は部活終了間際に目を覚ましました。(by鴻
関西弁krtr!!!
いやちょっとね、寮生活してるって設定なんで、方言とか入れた方がいいのかなって、俺なりの工夫。
今回の目的は赤菜をバスケ部と絡ませる事。